2月15日、「東京けんり総行動実行委員会」主催で東京総行動が開催された。東京・山谷日雇労働組合の仲間と、東京都地域連合労働組合、神奈川県地域連合労働組合の仲間は、争議当該を支援すべく東京総行動に駆けつけた。
トヨタ東京本社に対して怒りのシュプレヒコール
12時25分、すでに多くの支援者が駆けつけ、主催者からこの間の経過が報告される。「フィリピントヨタで働く労働者が作った労働組合をフィリピン政府が認めたその直後にトヨタは233人の組合員を解雇するという暴挙を行なった。組合つぶしのための不当攻撃です。そして、デッチ上げの刑事告訴による裁判は今も続いている。トヨタは刑事告訴後、さらに4人を解雇し、現在237人解雇され、闘いは12年目に入る。私たちは断じて許さない。何年たとうと解決するまで闘う」。
まずはじめに、「フィリピントヨタ労組を支援する会」代表が、「フィリピン・トヨタの労働者に対する解雇を要求に沿って解決するために闘いを進めてきた。トヨタは、今年も1兆円を越える大きな利益を上げるといわれている。それはトヨタで働く多くの労働者の働きと大勢の労働者にトヨタの車を買っていただいたことによる利益。その労働者に対してトヨタは労働条件を向上させる努力をしてきたのか。輸入物価が上がり、インフレが進行すれば労働者の生活は厳しくなる。トヨタは利益を労働者に還元するべきだ。それこそが世界のトヨタに求められている。そして、労働条件について、きちんと団交の手続きをとり争議の解決を図るべきだ。しかし、トヨタは『現地のことは現地で』と突き放し、誠意ある解決への方向性を示さそうとしない。皆さんの支援の力を得て私たちは要求に沿った解決をするまで闘いぬく」と訴えた。
全造船労働組合関東地協事務局長が、「フィリピントヨタは、労働組合員を233人も解雇し、さらに配転に抗議したことで4人を解雇した。その状態が12年続いている。フィリピンではこのような争議は珍しくないことだが、こんなに長期にわたる例はない。それほどトヨタの対応がひどいということだ。このトヨタの対応に世界の労働者が怒り抗議している。1日も早い勝利を目指して世界の労働者と共にトヨタに対する闘いを強化していく。皆さんの支援を得て今年も勝利に向け闘っていく」と支援を訴える。ここで降り始めた雨を振り払うようにトヨタ東京本社に対してシュプレヒコールが叩きつけられる。「トヨタは組合つぶしをやめろ」「争議を解決しろ」「団交に応じろ」「勝利するまで闘うぞ」と力強いシュプレヒコールが響き渡る。続いて、東京全労協議長が、「全ての労働者の権利と人権侵害に対して職場から、地域から反撃のこぶしをあげ、勝利解決するまで闘う決意だ。トヨタは莫大な利益がある。それを労働者に還元して争議解決していくことにどうして向かないのか。まったく不当な対応に満身の怒りがこみ上げる。共に最後まで闘おう」。日本基礎技術で見習い期間中解雇争議を闘っていた本田氏が、「東京総行動の取り組みで昨年7月の中労委で争議を解決できた。今後も闘いの支援に取り組んでいく。共に闘いましょう」。
最後に、「フィリピントヨタ労組を支援する会」事務局長から「2月12日、デッチ上げの刑事裁判が行なわれた。トヨタは時間稼ぎをしようと告発人である証人を出廷させなかった。今日、申し入れでこのことを強く抗議した。3月16日は争議から12年目。現地では抗議行動が取り組まれ、デッチ上げに対して強く訴えていく」と報告がなされ、「団結ガンバロー」でトヨタ東京本社前の抗議行動を終えていった。
ヤンマー東京支社前で抗議行動
東京駅八重洲口前にあるヤンマー東京支社前には雨が降り続ける中、ビラまきが開始され大勢の支援が駆けつけている。まず、司会からヤンマー争議を闘い昨年12月から肝臓癌で闘病中であった佐々木真一郎氏が2月12日、長浜の病院で逝去されたという報告がなされた。佐々木氏の闘いに敬意を表し全員で黙祷を行ない抗議行動が開始される。
最初に、「キヤノン非正規労働者組合」の阿久津氏が、「昨年12月、キヤノンは『非正規雇用』労働者であった私たちを『正規雇用』労働者として雇用するという判断をして和解解決した。ヤンマーも稲森氏、そして本来であるなら戻るはずだった佐々木氏、どうか職場に戻してほしい。『正規雇用』として働いていれば、健康診断が受けられ早期に癌も発見でき、亡くなることも無かったはずです。キヤノンの争議当該にも膀胱癌で闘病中の人がいます。生活に追われ、体調不良は気がついていても健康診断に行く暇がなく発見が遅れてしまい、摘出するかどうかまで来ている。キヤノンは争議を続けることが無益だと言い和解解決した。ヤンマーもこんな無益な争議を早く止めてほしい。稲森さんを職場に戻してほしい。それがヤンマーが亡くなった佐々木さんに対してできる弔いです。これからも稲森氏が『正社員』として職場に戻るまで闘う」と共に闘うことを訴えた。続いて、日本航空JALの不当解雇撤回を闘う当該から「労働者は労働することで給料をもらい生活を支える。高い水準の仕事をするためには職場の環境整備は欠かせない。組合を作って組合を通して経営側と交渉し、環境を整え、高い水準の仕事をこなしていく、当たり前のことです。なぜ、疎まれなければいけないのか。私たちは機械ではない。環境が悪ければ仕事ができない。JALは航空会社です。安全が確保できなければ成り立ちません。JALの経営陣が言うように『利益なくして安全はない』などということをやっていたら、この先どんなことが起こるか。私たちは会社に色々なことを要求してきた。客室乗務員85人が解雇され、今年の春まで900人以上を新規に雇用している。その新規雇用は全て『契約』です。研修の半分を『心の教育』として会社に従順な人間にすることに使っている。私たちは現場に戻ってまた色々なことを要求するために闘う。大きな支援の力で戻るまで闘う」と力強い決意が述べられた。日本基礎技術見習い期間中解雇争議の本田氏、「非正規雇用」で闘う争議当該と次々とヤンマーに対する争議解決を迫る訴えが続く。
最後に、ヤンマー争議当該・稲森氏がマイクを握る。雨の中駆けつけてくれた支援者にお礼を述べながら「佐々木はこの闘いの半ばで倒れましたが、私はヤンマーを絶対に許すことはできません!」と涙に声を詰まらせた。支援者から「頑張れ!」の声援が飛ぶ。「びわ湖ユニオンと団交を行なっていた会社の社長が、佐々木の葬儀に駆けつけてくれた。組合と丁々発止の団交を行なっていた間柄でも信頼関係を築けたからこそだと思う。しかしヤンマーはこの東京総行動の申し入れのときも『佐々木さんはどうしているんや』と言っていた。私はヤンマーの佐々木さんを侮辱した態度を絶対に許すことはできない!」「山岡社長、佐々木さんの霊前に手をついて誤りなさい! 絶対に許しません!」とヤンマー本社に向け全身から声を振り絞るように怒りを叩きつけた。「ヤンマーが誠心誠意使い捨てにしたことを謝罪するまで、命の限り闘い続けることを決意します。今後もご支援よろしくお願いします」と涙ながらに佐々木氏の分まで闘い続けることを訴えた。
本田氏の音頭で全員が怒りのこぶしを振り上げ「ヤンマーは佐々木氏に謝罪しろ」「稲森さんを職場に戻せ」「最後まで闘うぞ」と怒りのシュプレヒコールを叩きつけ、ヤンマー東京本社前の抗議行動を終えていった。
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