解放トップ
トップに戻る
解放最新号
バックナンバー
論文
定期購読

東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

3・10 内田「死刑」判決49ヵ年糾弾!
浦和地裁(現さいたま地裁)包囲―糾弾闘争へ
(1048号5面)

 反革命差別「死刑」判決49ヵ年徹底糾弾!

 1964年3月11日、浦和地裁・内田は無実の部落民=石川一雄氏に対して、「死刑」判決を打ち下ろした。1963年5月1日に起きた「女子高生誘拐事件」で警察権力は、身代金を受け取りにきた犯人を40人以上の厳戒態勢の中で取り逃すという失態を演じた。結果、世論からの批判が集中し、焦った権力は「生きた犯人を捕まえろ」という国家公安委員長の号令の下、「犯人は知能程度が低く、土地の事情にくわしい者」として被差別部落に200人以上も捜査員を動員し差別捜査を集中した。そして、別件で石川氏を不当逮捕し、連日昼夜問わずの拷問的取り調べを強行し「自白すれば10年で出してやる」「自白しなければおまえの兄を逮捕する」とウソとペテンで石川氏を追いつめ、ウソの「自白」を強要したのである。

 浦和地裁・内田は石川氏の少年時代を「小学校すら卒業せず、他家で奉公人として過ごし、家庭的な愛情に恵まれることがなかった」「そのことは人格形成に強い影響を及ぼした」と、被差別部落への差別意識をむきだしにし、「部落は悪の温床」「部落民ならやりかねない」という予断と偏見のもと、十分な審理もせず、公判開始からわずか半年のスピード審理で石川氏に「死刑」判決を強行したのである。この内田の反革命差別「死刑」判決こそが、狭山差別裁判の元凶であり、石川氏に三一年七ヵ月もの獄中監禁生活を強制したのだ。事件発生から50年、内田「死刑」判決から49年、現在も石川氏は「見えない手錠」で縛り続けられながらも、再審開始―無実をかちとるために闘いぬいている。

浦和地裁・内田反革命差別「死刑」判決49ヵ年を怒りも新たに徹底糾弾しよう。  

第三次再審棄却策動を打ち砕け

 1月30日、第12回目の「三者協議」が開催された。弁護団は「三者協議」に先立ち、昨年12月26日に、手ぬぐい、腕時計に関する捜査書類、「犯行経路・現場」を特定する捜査書類などの証拠開示勧告申立書を東京高裁に提出した。今年1月21日には欠番となっている証拠物の証拠開示勧告を、1月24日には「脅迫状・封筒の筆記インクについてX線分析器による科学的な分析」を求める鑑定嘱託申立の補充書を提出している。これに対し、検察側は、1月22日付け、1月29日付けの意見書と、捜査報告書など19通の証拠を開示した。開示された証拠は、手拭い・腕時計・自白の「秘密の暴露」に関わる捜査報告書など。弁護団は開示された証拠について精査していくとしている。しかし、検察は、「犯行現場」に関わる捜査報告書など、石川氏の無実を明らかにする証拠については、「一切開示する必要が無い」とあくまで開示拒否の姿勢を貫いている。弁護団は未開示の証拠についてさらに追及し、検察に対して反論していくとともに、「Oさんの証人尋問」を求め、早急に事実調べを行なうよう訴えた。また、今後4月末には「自白」や「殺害方法」に関する新証拠を提出する。検察側も意見書を提出するとしている。次回5月の「三者協議」はまさに狭山闘争の山場を迎えることになる。

 これまで「三者協議」で検察側は計100点ほどの証拠を開示してきた。しかし、その内容はあくまでも状況証拠であり、石川氏の無実を決定的にする物的証拠については「不見当」「開示する必要はない」と言いなし、まったく開示する気配すら見せていない。それどころか弁護団が提出した新証拠について反論の意見書を提出する有様だ。司法―国家権力は開示によって証拠の捏造や、拷問のような取り調べとウソとペテンで石川氏にウソの「自白」を強要したことが明らかになることを何よりも恐れている。だからこそ、アリバイ的に証拠を小出しにし、石川氏無実を明らかにする証拠はすべて「開示拒否」を貫き続けているのだ。東京高裁・小川はアリバイ的な証拠開示でも開示は開示、と言わんばかりに高検の出方を見据え、弁護団が要求する物的証拠について検察側に「柔軟に対応するように」などとウソぶいている。そもそも「欠番の証拠」について「内容を具体的に」などと弁護団に指示を出しているが、証拠リストすらない状況で欠番の証拠内容がわかるはずもない。小川自身今だに事実調べを行なっておらず、いつでも棄却をだせる状況を作り上げ、その時期を虎視眈々と狙っているのである。

 今一度確認しなくてはならないのは、決して司法―国家権力に「公正・中立」の幻想を持ってはならないと言うことである。「三者協議」が開始されてすでに3年半、一度も事実調べを行なっていないことでも明らかだ。そして、改悪刑事訴訟法を盾にとり、開示された証拠だけでなく、「三者協議」の日程すら極秘にしてきた。司法権力は1974年の東京高裁・寺尾の反革命差別「無期懲役」判決から今日まで棄却決定を打ち下ろし続けてきた姿勢をまったく変えようとはしていない。第三次再審棄却策動を絶対に許してはらない。司法権力を二重、三重に取り囲み、東京高裁に事実調べを迫り、東京高検に全証拠開示を迫る徹底糾弾の嵐を叩きつけよう。第三次再審棄却策動を粉砕しよう。

第三次再審闘争勝利、狭山闘争の歴史的勝利へ進撃せよ

 狭山第三次再審闘争はまさに今年山場を向かえる。申請から丸七年、「三者協議」からは3年半を経過し、後は事実調べか石川氏無実を明らかにする物的証拠の開示かを、東京高裁・東京高検ともに迫られている。石川氏不当逮捕から50年という節目の5月には第13回目の「三者協議」が予定されている。

 これまでの「三者協議」での証拠開示によってあたかも第三次再審闘争が大きく前進したかのようにとらえるのは決定的な誤りである。司法権力はこれまで弁護団が提出してきた数々の新証拠について、寺尾判決以降40年近くも事実調べも証人尋問も行なっていない。ろくに検討すらせず全て退け、棄却を強行し、ひたすら狭山闘争の解体を狙ってきた。狭山闘争が戦闘的部落大衆と労働者人民との階級的共同闘争と大衆的実力闘争・武装闘争で部落解放運動の飛躍を切り拓き、国家権力糾弾・打倒の闘いとして闘いぬかれてきたことに何よりも恐怖しているからだ。ウソとペテンで石川氏を「犯人」とした司法―国家権力こそ石川氏の無実を百も承知している。だからこそ事実調べを行なわず、弁護団が提出した数々の新証拠に追いつめられながらも、何が何でも「部落民である石川が犯人」として棄却を強行し続けているのだ。石川氏の無実は揺るぎのないものであり、裁かれるべきは司法―国家権力なのである。  

 石川氏は新年のメッセージで「いつ裁判所が結論を出してくるかという切迫した状況」「確定判決を覆す重要な証拠は検察の保管庫に眠っており、職責を全うしない検察側の対応を厳しく糾弾しなければならない」「私の完全無罪への核心は証拠を開示させる一点につきる。不退転の決意で闘う」と司法―国家権力に対して闘う決意を明らかにしている。この石川氏の決意に全力で応えきっていかなければならない。

 部落解放同盟内社民・こえ派は、部落差別に貫かれている狭山事件を単なる「冤罪事件」として切り縮め、「司法の民主化」要求を通して狭山闘争幕引きを加速させている。山場を迎えている5月の狭山闘争についても、新たな取り組みや積極的な取り組みなどどこにも無い。「各地で積極的に」とお茶を濁すだけである。

 石川氏不当逮捕から50年、この節目の年に何としても再審開始をかちとっていかなければならない。石川氏の怒りと無念を共有し、司法権力への「公正・中立」を求めるような一切の幻想を捨て去り、戦闘的部落大衆とともに実力・武装の闘いを切りひらこう。社民・こえ派の狭山闘争幕引き策動を突破し、狭山闘争の新たな局面を実力で切りひらき、第三次再審闘争に勝利しよう。〈差別裁判糾弾、階級裁判粉砕、国家権力糾弾・打倒〉の闘いの旗幟をより鮮明にし、狭山闘争の歴史的勝利へ進撃しよう。 

部落解放運動の革命的飛躍・前進を切り拓け

 安倍政府が誕生した。石原・橋下との連携を強めつつ極右政府による改憲攻撃が急速に進行しつつある。まさに、ファシズムへの急接近が開始されようとしているのだ。安倍は「国防軍の創設」を叫びたて、「領土問題」「反中国」を煽りたてながら、朝鮮反革命戦争突撃の戦時体制形成を推し進めている。オスプレイの普天間配備など日米安保の強化・拡大を強行し、在日―在沖米軍を増強している。日帝の核武装を核心とした原子力政策の「再稼動」をもっての維持と推進を強行し、資本の営利のためには地域住民の被曝さえかまわずその命さえ奪おうとしている。また、「雇用の拡大」を掲げ「若者の雇用を確保する」と幻想をばら撒きながら軍事強化のために借金地獄を作り出し、そのツケを消費税増税で労働者から絞りとろうとしている。そして、戦時体制形成を成し遂げるために、労働者の監視を強化し、部落解放運動解体攻撃を一気に激化し部落解放運動の生命線である差別糾弾闘争の解体攻撃を強めようとしている。

 「人権委員会設置法」案は、「人権擁護法」案や「人権侵害救済法」案とほとんど変わらないものだ。昨年9月に閣議決定され、国会へ提出が狙われていた。しかし、安倍政府の誕生で見送られている。極右の安倍は「戦後レジームからの脱却」を叫びたて、改憲攻撃の尖兵として振るまってきた。極右の立場から「人権侵害救済法」案を批判し「成立阻止」を叫びたててきたのである。安倍は、差別主義・排外主義だけを煽るだけ煽って一挙にファシズムへと急接近しようとしているのだ。

 世界大恐慌爆発情勢下、資本主義社会の危機が深まり、部落差別はますます拡大・激化し、全国で差別事件が激発している。「土地差別調査事件」は不動産会社・広告会社・調査会社が一体となって部落差別を行なっていたものだ。「在特会」なる極悪右翼ファシストが奈良の水平社博物館前でハンドマイクで差別発言を繰り返す事件が起きたが、これに対して、昨年6月に150万円の慰謝料だけの判決が奈良地裁からだされた。その後、この極悪右翼ファシストは水平社博物館に「11月3日に街宣する」と予告メールを送りつけ、車で乗りつけたが、これは当の本人が警察に事前に連絡していたため連行されて中止というデキレースであった。しかし、送られてきたメールでは「私は差別をなくすことを目的に活動をしており、これまでに差別したことはありません」などと居直っている。この極悪右翼ファシストは到底反省なぞしておらず、繰り返し部落差別を策動しているのだ。差別落書きや差別ハガキなどの事件は後を絶たない。こうした差別事件に対して部落解放同盟内社民・こえ派は「告訴・告発」方針を常態化させ、「人権侵害救済法案の早期成立を」と推進を加速させている。また、部落差別を単なる人権問題へ、部落解放運動を「人権教育・啓発」運動、「人権の町づくり」運動へと切り縮めようとしている。

 「告訴・告発」の方針化は差別糾弾闘争を破壊し、差別者を擁護し、部落差別を拡大させている。安倍政府の誕生でファシストどもがますます差別煽動を激化させてくることは明らかだ。激発する差別事件に対しては徹底した差別糾弾闘争で闘わなければ、部落差別の根底的廃絶をかちとることは絶対にできない。部落解放同盟内社民・こえ派による「告訴・告発」方針を踏みしだき、差別糾弾闘争の復権を成しきろう。ファシストどもによる悪辣な差別煽動を打ち砕き、部落解放運動の戦争翼賛運動=ファシズム融和運動への転換を粉砕し、部落解放運動の革命的飛躍・前進をかちとろう。

 朝鮮反革命戦争を粉砕する反戦闘争の爆発をかちとり、戦争遂行の安倍政府を打倒しよう。差別主義反革命革マルを解体・絶滅し、天皇主義右翼ファシストを撃滅しよう。