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12・18「キヤノン偽装請負争議総決起集会」が開催される
(1046号1面)

 12月18日、「キヤノン偽装請負争議総決起集会」が、キヤノン本社のある下丸子の大田区民プラザで午後6時30分より開催された。会場にはすでに多くの支援者が結集し、勝利解決に向け熱気に包まれている。

 午後6時30分、司会の紹介で集会が開始された。まずはじめに司会が、キヤノン争議の簡単な概略を紹介する。2011年5月に始まった都労委での審問が今年の3月に終結したが、「偽装請負」を告発し、組合員が衆院予算委員会においてキヤノンの「偽装請負」の実態を訴えたことにより、御手洗会長が非難され国会で査問寸前にまでいたったことを嫌悪し、不当労働行為にいたったことを立証してきたこと、御手洗会長は今年3月の株主総会で徹底して争う姿勢を見せていたが、審問終了後の4月の調査において、一転して「正社員」雇用2人を含む和解協議を始めることが決まり、この年末まで和解交渉を進めてきたことを説明し、「来る12月20日、都労委での和解を控え最大の山場を迎える中で、本集会を開催することとなりました。この総決起集会を成功させ、当事者の納得いく解決をかちとり、失業、不安定雇用の無い社会を作り出していきたいと思いますので、最後までご支援お願いします」と支援を訴えた。

 連帯あいさつとして、けんり総行動実行委員会代表であり、東京全労協議長の纐纈(こうけつ)氏、東京争議団副議長の斉藤氏、大田区労働組合協議会議長の星野氏、大田労連事務局長の寺田氏の発言があり、続いて、「キヤノン10年の歩み、人間らしい働き方を求めて」と題して、詩の朗読を織り交ぜながらニュースや報道番組のビデオ上映でキヤノン争議の10年に及ぶ闘いの経過が紹介され、月桃の花歌舞団によるキヤノン争議支援の創作歌が披露された。

 弁護団からの報告として久保木弁護士が、「20日の都労委、27日の裁判所の和解と続く中で、キヤノン側はこれ以上の和解交渉はしないと圧力をかけてきている。その圧力を撥ね退けるために、短期間で集中して支援をお願いしたい」「2人については関連会社とはいえ、キヤノンに勤務する和解が成立しうるところまできている。反動的な司法、国会の状況を考えれば、全員ではないが、キヤノンと名のつく会社に2人が働き続ける和解が成立しうるということは、大変なことだ。全国で同じような問題を抱えて闘っている『非正規雇用』労働者の励みになりうるんではないかと思っている」「2006年に当該が国会で訴えたこと、2007年に『偽装請負』について栃木労働局が是正命令を出したことが大きい。組合の結成、闘いがあったからこそだと思う。同じような立場の『非正規雇用』労働者のことも考えて闘ってきたことが世論を動かした。組合側の要求は2人以外については和解金で交渉している。不当解雇であり今でも雇用関係があるということで要求しているが、キヤノンはそう考えていない。非常に低い金額を提示している。労働委員会で裁判所の和解案を乗り越えるような和解を出させることがぜひ必要なことだ。アピール、要請書など集中的にあらゆる手段を講じて支援を広げていただきたい」と訴えた。

 連帯アピールとして日本印刷労組ジーケイアイ、JAL不当解雇撤回裁判を闘う争議当該、いすゞ自動車争議を闘うJMIU、東芝争議を闘うユニオンヨコスカ、パナソニックPDP偽装請負争議を闘う当該吉岡氏が発言し、会場に駆けつけた争議を闘う当該や組合の紹介があり、集会に寄せられた「キヤノン偽装請負の公正な解決を求める学者・法律家・文化人アピール」が会場の拍手で採択された。

 キヤノン原告団からの決意を受けていく。最初に本日仕事で参加できない当該の決意を司会が代読し、闘病中ということで参加できない当該のビデオメッセージが映し出された。続いて、会場に結集している争議当該が次々に決意表明に起ち、最後に阿久津氏が「この秋に労働契約法が変更され、有期雇用労働者の契約が5年までとなった。その影で契約更新を定めていなかった有期雇用労働者の上限を定めるということがされ始めている。そういった不利益変更を防ぐためには組合に入って闘うしかない。今の状況では組合に入るだけで不利益扱いをされる。私たち『非正規雇用』労働者が全員ではないが、会社に戻る解決をすることは、あきらめずに闘かって良かった、組合に入ってよかったと思える。そういう解決をすることで泣き寝入りしている労働者の励みになる。最後の最後まで5人と皆さんで頑張る。本当に本日はご支援ありがとうございます」と訴えた。

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 12月20日、午後6時30分から「キヤノン偽装請負争議」の東京都労働委員会(都労委)第23回調査(和解)が行なわれた。キヤノン側と組合側の約五時間に及ぶ交渉の末、都労委の示した和解案によって午後11時30分、和解が成立した。和解内容は組合員2人の関連会社への「正社員」としての雇用と3人の解決金、キヤノン側に再発防止の不断の取組みを継続することを明言させた内容。この和解によって10年に及ぶ「キヤノン偽装請負争議」が終結した。