反戦・全学連、市ヶ谷駅頭で決起
12月10日、反戦・全学連の部隊は、PAC3が配備されている市ヶ谷現地に登場し、自衛隊の地対空誘導弾パトリオット・ミサイル(PAC3)、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)実戦運用粉砕を訴える情宣行動をやりぬいた。
午前10時、市ヶ谷駐屯地直近のJR市ヶ谷駅頭に登場した反戦・全学連の部隊は、冒頭シュプレヒコールを市ヶ谷一帯に響かせる。「自衛隊のPAC3、SM3実戦運用を粉砕するぞ」「朝鮮反革命戦争突入を阻止するぞ」「米軍・自衛隊を解体するぞ」「日帝国家権力を解体するぞ」。続いて、部隊はビラまき情宣を開始する。アジテーションが市ヶ谷一帯に響くなかでのビラまきは道行く労働者人民の注目を集め、配布されるビラは次々と受け取られていった。警視庁公安刑事どもはいつになく大挙出動し、弾圧を画策して情宣行動を監視するも、手出しすらできない。情宣行動をやりぬいた部隊は最後に再度シュプレヒコールをあげ、闘いを終了した。
12月1日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の朝鮮宇宙空間技術委員会は、「人工衛星」を12月10日〜22日の間に、北朝鮮西方の東倉里にある「西海発射場」から打ち上げると発表した。かねてから北朝鮮は「宇宙利用の権利」を主張しており、11月15日の国連総会でも「わが国の宇宙開発計画に基づいて引き続き実用衛星を打ち上げる」と表明していた。これに対して野田政府は即座に「長距離弾道ミサイル発射」とし、同日夜の関係閣僚会議で、北京で12月5日から開催予定だった日朝局長級協議の延期を決め、北朝鮮に通告した。そして、防衛相・森本は自衛隊に対し「弾道ミサイル破壊措置準備命令」を出し、自衛隊は迎撃ミサイルの配備を着々と進めてきた。そして、12月7日、野田政府は安全保障会議を開き、「ミサイル防衛」(MD)システムで迎撃態勢を取る「弾道ミサイル破壊措置命令」を決定。防衛相・森本は「弾道ミサイル破壊措置命令」を自衛隊に発令した。
野田政府は、そもそも北朝鮮の放つ飛翔物が日本に到達する可能性が皆無にもかかわらず、「破片の落下など万一の事態に備えるため」と称して、ミサイル迎撃態勢をとった。「沖縄など南西諸島上空を通過する恐れ」を煽りたてながら、沖縄本島の2ヵ所と宮古島、石垣島にPAC3を移送、配備した。同時に、陸自の衛生隊や化学防護隊も沖縄に配備した。さらに、首都圏にも防衛省のある市ヶ谷駐屯地、習志野演習場(千葉)、朝霞駐屯地(埼玉)にPAC3を配備した。海自はイージス艦3隻を日本周辺海域に配置し、SM3を配備した。在日米軍も、自衛隊と歩調をあわせて北朝鮮への監視体制をとった。こうして野田政府はわずか一週間で、PAC3とSM3の配備を完了させたのである。野田政府はひたすら「北朝鮮脅威」を煽りたてながら、本格的な戦時体制構築を見据えたシミュレーションを行なったのである。軍事的には、北朝鮮のミサイルの最後的な無力化を狙うことで、より優位に朝鮮反革命戦争に踏み込む態勢作りを推し進めた。そして、自衛隊の沖縄配備を通して、中国を牽制するための自衛隊の沖縄・先島諸島への恒常的配備に弾みをつけようとした。さらに、マスコミなどを最大限動員して反北朝鮮―反共・排外主義煽動を行なうことで、戦争推進の「世論」形成を進め、反戦・反基地闘争を圧殺しようとしたのだ。
反北朝鮮―反共・排外主義煽動を粉砕せよ
しかし北朝鮮は、12月10日の段階で「技術的問題」があるとして準備の遅れを強調、一旦「12月29日までの打ち上げ延期」を発表していたが、12月12日になって、急転して打ち上げに踏み切った。午前9時49分に打ち上げられた飛翔物は、予定されたフィリピン方向の軌道をたどり宇宙に到達、衛星の軌道に乗った。北朝鮮は、「『光明星3号』(人工衛星)を正確に軌道に進入させた」として「打ち上げ成功」を発表、改めて「平和目的」を強調した。
この事態に直面した野田政府は動揺を隠すことができず、首相・野田は「極めて遺憾であり、到底容認できない。国際社会と連携しながら、厳しく対応する」、官房長官・藤村は「わが国を含む地域の平和と安定を損なう安全保障上の重大な挑発行為であると言わざるを得ない」「安保理決議に違反しており容認できるものではなく、北朝鮮に対して厳重に抗議し遺憾の意を表明する」とした。その陰で、防衛省・森本は12日当日、そそくさと「弾道ミサイル破壊措置命令」を解除した。
北朝鮮は今年、金正恩が第一書記に就任したばかりであり、金正日の後を受けて「瀬戸際外交」を演じることで米帝との交渉を引き出そうとしている。野田政府もそんな北朝鮮の基本姿勢は百も承知であり、だからこそ北朝鮮との間で「国交正常化」をちらつかせた「協議」を進めてはいたが、野田政府はそもそも「国交正常化」なぞする気はなかった。ただただ北朝鮮を追いつめて「協議」を決裂させ、日・米・韓による朝鮮反革命戦争突入の口実にすることだけを目的に動いていただけのことである。米帝のアジア・太平洋への戦力・兵力の重点配備、オスプレイの沖縄・普天間への配備、日帝の「尖閣諸島」(中国名・釣魚列島)の国有化、自衛隊の「南西方面重視」「島嶼防衛能力強化」、日・米・韓の合同演習、反北朝鮮―反共・排外主義煽動、右翼ファシストの暴力的台頭、これらすべては朝鮮反革命戦争に向けた動きだ。日帝は、朝鮮反革命戦争突撃の尖兵として立ち回っているのだ。
朝鮮反革命戦争突入を阻止せよ
今回の北朝鮮の「打ち上げ成功」により激しく動揺を示したのは、米帝と韓国政府であった。韓国国防省は「ミサイルの射程能力は約一万キロ」と分析し、「北朝鮮の長距離弾道ミサイルが米本土に到達可能になった」とした。北朝鮮にとっては、米本土まで届くミサイル技術を備えたことで、「外交交渉に有利」となる新たなカードを手に入れたことを意味する。自国が「長距離弾道ミサイルの射程圏内に入った」ことに動揺する米帝は、12月12日の発射直後に、「国際社会が団結して、『国連決議に明白に違反している』という強いメッセージを送らなければならない」とし、そして「報いを受けることになる」と北朝鮮を恫喝した。韓国政府は、事前の情報収集に失敗したばかりか、独自の人工衛星打ち上げもできておらず、「北朝鮮に先を越された」ことに「軍事的優位が崩れた」とばかりに動揺を露にしている。
日・米・韓は、「制裁」強化のための新たな国連安保理決議採択を狙い、北朝鮮への圧力強化に動いている。「イラン並み『制裁』を」と叫びたて、国連安保理常任理事国の中国・ロシアを牽制しながら、朝鮮反革命戦争突撃をさらに加速しようとしている。
折りしも日帝足下では12月4日に衆院選が公示され、12月16日の投開票に向かって議会内勢力が選挙戦を行なっていた。自民党やファシスト勢力は、「北朝鮮のミサイル発射」を受け、より苛烈な朝鮮反革命戦争突入を声高に叫びたて、野田政府を右から攻撃している。とりわけ自民党・安倍は、野田政府の「ミサイル発射への対応」の「不徹底ぶり」をなじりながら「北朝鮮への独自制裁を」などと朝鮮反革命戦争突入を絶叫している。そもそも総選挙では、安倍が憲法九条改悪=「自衛隊を国防軍へ」などを公然と叫びたて、「日本維新の会」・石原が「憲法九条があるから多くの同胞がさらわれて殺されても取り返すことができない」なぞと反北朝鮮―反共・排外主義を煽る暴言を撒き散らしている。各勢力は軒並み、戦争政策と労働者人民からの収奪強化を競い合った。その結果、自民・公明が衆院議席の三分の二以上を獲得して圧勝し、「日本維新の会」も躍進する結果となった。その直後から、安倍は憲法改悪への着手を言明した。「翼賛議会」形成を飛び越え、総選挙を通したファシズムへの接近がいよいよ現実のものとなろうとしている。そして、安倍は首相就任後初の外交として、2013年1月下旬の訪米―日米首脳会談をうちだし、朝鮮反革命戦争に向けた連携をさらに強化しようとしているのだ。
総力戦として準備される朝鮮反革命戦争との闘いは、日本階級闘争の帰趨を決する闘いである。闘う韓国労働者人民、在日朝鮮労働者人民と連帯し、反北朝鮮―反共・排外主義煽動を粉砕しよう。活性化を強める右翼ファシストを撃滅し、朝鮮反革命戦争とファシズムを粉砕する革命的反戦闘争の爆発をかちとろう。戦争遂行の政府打倒・日帝国家権力解体、ソビエト権力樹立・労働者政府樹立へ攻め上ろう。
12・10青年実と沖日労がPAC3実戦運用阻止を闘う〈沖縄〉
パレットくもじ前で情宣決起
12月10日、天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会と沖縄・首里日雇労働組合は、地対空誘導弾パトリオット・ミサイル(PAC3)実戦運用阻止闘争に決起した。
正午前、部隊はパレットくもじ前(那覇)に登場し、青ゼッケンと青ヘルメットで身を固め、ビラ撒きを始めた。同時にアジテーションも開始した。「PAC3配備と自衛隊の大規模移駐を弾劾し、PAC3の実戦運用を阻止しよう」、「『弾道ミサイル破壊措置命令』によるPAC3沖縄配備を粉砕しよう」、「戦争遂行体制の形成を粉砕しよう」、「11月に強行された日米共同統合実動演習に関連して石垣島・与那国島・西表島・多良間島では自衛隊の通信訓練が行なわれた。PAC3配備は自衛隊配備の地ならしだ。新たな自衛隊の配備を阻止しよう」、「反共・排外主義を撃ち破り、朝鮮反革命戦争を粉砕しよう」、「日米軍事基地解体・帝国主義軍隊解体をかちとろう」、「12月23日の普天間大行動に結集し、オスプレイ撤去まで闘おう」、「普天間基地解体・名護新基地建設阻止、高江ヘリパッド建設阻止を闘おう」という訴えが周囲に響き渡った。修学旅行で沖縄を訪れた高校生や、昼休みで「県」庁舎から出てきた労働者などが青ヘル部隊の登場に注目し、次々とビラを受け取っていった。
「弾道ミサイル破壊措置命令」弾劾
12月1日、北朝鮮が「人工衛星発射」を表明して以降、沖縄全域は1週間足らずで戦時下に叩き込まれた。呉基地(広島県)を出港した輸送艦「くにさき」が、5日、石垣港に入港し、570人もの陸自部隊とともにPAC3が陸揚げされ、港近くの埋め立て地「新港地区」に配備された。6日、同じく呉基地を出港していた輸送艦「おおすみ」が宮古島市の平良港下崎埠頭に入港し、PAC3が陸揚げされ空自宮古島分屯基地に配備された。また、民間の宮古空港には陸自・多用途ヘリUH―60JAと空自・救難捜索機U―125A各1機ずつが配備された。七日、沖縄本島中部の中城港湾新港地区(沖縄市)に「くにさき」が入港し、陸揚げされたPAC3は陸路で空自の那覇基地と知念分屯基地にそれぞれ配備された。他に与那国島には50人規模の自衛隊が配置された。1日夜の「弾道ミサイル破壊措置準備命令」以降急ピッチで進められたPAC3配備と自衛隊移駐に呼応して、「県」や当該各自治体は「危機管理対策本部」を設置した。「県」庁舎や各市庁舎には自衛隊員が配置された。多良間村役場や石垣島にある竹富町役場にも「連絡要員」として自衛隊が配置された。こうして前回4月のPAC3配備強行の際とは異なり、「弾道ミサイル破壊措置命令」発令前にPAC3配備がほぼ完了し、前回より200人多い1900人もの大規模な自衛隊が移駐した。1週間足らずで、沖縄の陸自部隊は2倍近くに膨れ上がったのである。
米軍は11月末より嘉手納基地に電子偵察機RC135S(コブラボール)やRC135W(リベットジョイント)を配備し、態勢を整えた。12月に入ると在日米軍司令官はオスプレイの「本格運用」を宣言し、朝鮮反革命戦争の遂行態勢を強化した。
朝鮮反革命戦争突入を許すな
PAC3配備に併せて、反北朝鮮―反共・排外主義も強まった。石垣市議会は「北朝鮮の人工衛星と称する弾道ミサイル発射実験に抗議する決議」を採択した。「県」教育庁は、市町村教育委員会や各高校長などに宛てて「北朝鮮のミサイル発射」に注意を呼びかける文書を送付、各学校では児童・生徒にプリントが配布された。マスコミは「人工衛星」=「弾道ミサイル」と断定した報道を流し続けた。地域末端までありもしない「脅威」が煽られたのである。
わが青ヘル部隊は反北朝鮮―反共・排外主義を撃ち破り、断固として闘いに決起した。われわれの訴えに対し「がんばれよ」と声をかけていく年配の男性や、「ビラください」と手を伸ばしてくる高校生もいた。多くの共感をかちとり、約一時間の情宣闘争を終了した。
前回4月には、反共・排外主義煽動のなかを市民団体や労働団体がPAC3配備反対を掲げ「県」への要請行動や抗議集会・デモを行なったが、今回は沈黙した。社民や日共は、衆院選にファシストらが乱立しファシズムへの衝動がかつてなく強まる中で、PAC3配備に沈黙し「北朝鮮のロケット発射」に抗議するだけという惨状をさらした。われわれは、反共・排外主義を撃ち破り、韓国をはじめ全世界で闘う労働者人民と連帯し朝鮮反革命戦争突撃を粉砕する反戦・反基地闘争の飛躍をかけて闘いぬく。 |