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11・13 パナソニック第2・第3申立事件中労委闘争が
闘われる
(1041号7面)

中央労働委員会で、パナソニック第2・第3申立事件第2回調査

 11月13日午後1時30分、中央労働委員会においてパナソニックPDPとパナソニック本社に対する申立事件の第二回調査が行なわれた。

 控え室にはすでに争議当該吉岡氏や、弁護士、組合をはじめ多くの支援者が調査に臨むべく結集している。

 まず、調査が始まる前に、先行事件について不当な棄却命令出されたことが組合側から報告された。「中労委でのパナソニックPDP不当労働行為再審事件は、大阪府労委での不当命令を踏襲した形で棄却された。第1の争点である、除籍期間を超えて却下されるか否かについて却下されるとし、継続する不当行為は退けた。その根拠は明らかにされていない。最高裁は期間工採用とその後の隔離してのリペア作業と雇い止めが不当行為であると認めた。具体的に労働組合法に照らしてどんな問題があるのかということを本来労働委員会は審議しなければいけない。しかし、これを除籍期間として内容は関係ないしその問題には触れない、とした決定を出している」と中央労働委員会の命令に怒りをにじませた。そして、最高裁決定後、団交要求した際、「パナソニックPDPは、最高裁決定で吉岡氏との雇用確認はされなかったし地位が否定されたのでこの時点で従業員ではない、として団交に応じようとしない。しかも、こちらの要求について一つ一つ否定している。そして、この問題は最高裁判決で決着がついている、パナソニックに対して債権債務は無い、したがってこの問題にパナソニックが応じる必要がないと言いきっている」「一番の問題は除籍期間を持ち出して第1の問題である雇い止めを根本から否定することに問題がある。第2、第3事件でもう1回あの解雇はなんだったのか、偽装請負はなんだったのかはっきりさせたい。パナソニックは思うがままにパスコの社員をよその会社に雇用変更し、労働条件を変更し、吉岡氏たちを自分の会社の労働者と同じように扱ってきた。しかし雇用関係はない、自由に使えるよその会社の社員というものをパナソニックが権力を使って作り出し解雇した。その問題提起をした吉岡氏を解雇した。この本質をもう一度労働委員会に突きつけなければならない」と訴えた。

 予定より15分遅れで第2回調査が開始された。パナソニック側からは代理人弁護士1人、組合側からは組合代表と当該の吉岡氏、代理人弁護士久保木氏と河村氏、他1人、計5人が向かい合った。

 はじめに中窪公益委員より、組合側からとパナソニック側からの準備書面や証拠説明書などの提出書類、そして証拠申請書の提出に対するパナソニック側からの意見書などの確認がなされた。また、争点について先行事件の争点と今回の争点についての「訂正部分」の説明がされた。

 まず、労働側の調査から行なわれた。中窪公益委員から組合側からだされた証拠申請書について、「すでに初審で審問している。議事録でカバーされていることをもう一度改めて審問する必要性は無いのではないか」という趣旨の発言があった。先行事件で決着がついていると言わんばかりの発言である。これに対し、弁護士は、「議事録に書いてある部分の捉え方について、関わった人からきちんと経過を踏まえた話をしていただかないと理解するのは難しい。表現のあり方は議事録に書いていることだけでは伝わらない。論点では先行事件で尋問は確かにしているが、こちらの論点と相違があった。証拠の申し入れについては、もし重なる部分があれば変更するが、団交拒否か否かの部分についてはぜひ聞いていただきたい。佐藤先生の意見書を見てから判断してほしい」と訴えた。しかし、「事実関係であれば見ることもできる。会社側から意見書も出ている。初審と何処がどう違うのか具体的に」として否定的な回答となった。

労働委員会に吉岡氏が命令の不当性を訴える

 次に、2009年7月29日付けで提出されている「パナソニック争議の早期解決に対する要請書」の提出をめぐって、パナソニック側と要請書を持参した吉岡氏とのやりとりが分かりにくい、との意見があり、具体的な陳述書の提出が求められた。中窪公益委員は、「パナソニックは和解の意思がなく厳しい状況」としながら、組合側に突破口はあるのかとの質問がなされた。弁護士は、パナソニックの別のケースで「非正規雇用」で和解をかちとったケースや、電気産業業界で偽装請負事件などで和解事例を何件か提出していることを伝えた。また、中窪公益委員はパナソニックの経営状況に触れ「かなりの厳しい状況だがどう思っているか」と、またもやパナソニックに偏った質問を投げかけてくる。補佐人から「経営状態とは関係なく、会社の転換期には解決のチャンスがある。マイナス材料ではない。和解を望んでいるからこそ話し合いが必要。それこそ委員側の努力をお願いしたい」と訴え、弁護士は、「パナソニックは人権侵害行為であるリペア作業についてこの部分だけ切り離して解決を促しても『上告している』の一点張りで話し合いを拒否している。しかし、初審命令では組合側が『平行線』を作り出したということで認定している。会社側が交渉そのものを拒んでいる不誠実さが初審命令ではきちんと捉らえられていない。認定に入っていない。これは重要な問題だ。司法判断に委ねていることが団交に消極的になることを正当化する理由にはならない。われわれの主張、立証を踏まえて、中労委でも一度きちんするよう会社側に示すことが突破口につながると思っている」と訴えた。最後に、当該吉岡氏が訴える。吉岡氏は、「初審では『平行線』は組合側がやっていると認定しているが、それは違う。団体交渉の休憩時間に偶然録音したものでは、『平行線でいかなあかん』と言っているのはパナソニック側の弁護士。この弁護士は『裁判所が仮に不法行為と言うのであれば真摯に受け止めざるを得ない』と言っている。真摯に受け止めるなら、団体交渉で解決するべきだ。『平行線でいかなあかん』と会社側が最初から結論ありきで団体交渉を行なっていた肝心な部分が認定されていない。今回この部分を強調したい。『平行線』を作り出していたのはどちらなのか、しっかりと確認してほしい」と先行事件での中労委の棄却命令に対し、怒りをにじませながらも冷静さを貫き訴えた。

 その後、会社側の調査があり、最後に再度パナソニック側と組合側と両者が同席し、次回調査期日と書類提出期日が確認され、第2回調査が終了した。

弁護団より経過報告

 調査終了後、控え室において調査の報告が行なわれた。
 河村弁護士は、「今日結審されるのではないかと危惧していた。尋問を行なう方向性が見えてきた。しかし、問題の本質はどう解決するかだ。先行事件ですでに判断が出ている。このことを踏まえて、他事件の和解ケースを集め主張していく。話し合いによる解決を求めていく。年明けの次回期日は最後の戦場だ。がんばります」と決意を込め述べた。久保木弁護士は、「事実認定で『平行線』になっていた、という大前提があった上に色々と決めつけていた。また、2009年7月29日付けの要請書のやり取りについて、陳述書の提出がなされたが、これは、2008年7月の第2回団交での話しを、1年後の2009年7月29日に要請書で出している。この陳述書提出は何を意味するのか。1年間、何もやっていないのではないのか、というところを落としどころにしようとしているのではないか。油断できない。また、『平行線』の事実認定がおかしい。こちら側がやったと話し合う気もなく決め付けている。初審は事実認定できずに、中労委もそれを引き継いでいるのかどうか。あの部屋の中だけの勝負ではない。色々な動きを作る。パナソニックが和解する気になるまで頑張ります」と決意を述べた。

 控え室に姿を現した大山労働側委員は、「内容を絞らないといけない。先行事件を踏まえた反論をやるしかない」と述べ、大山労働側委員は退任することとなり、次回からは全国一般の労働側委員に引き継ぐことを報告した。

 吉岡氏は、「今日のポイントは『平行線』は会社側の弁護士が作り出したということ。『不法行為』は真摯に受け止めるなら真摯に団交に応じるべき。単純な問題だ。どう突破口を開くか、中労委だけでは難しい。11月4日のパナソニックデモは争議当該が久しぶりに3人集まって、盛り上げて訴えられた。パナソニック争議について一人でも多くの人に関心もってもらうように今後も第2弾、第3弾と考えていく。厳しいが審問はできそうな気配がある。しっかりと事実を訴えていきたい」と厳しい局面であるなか、闘いへの決意を明らかにした。

 その後、結集している支援者から自身の争議への支援の訴えがあり、最後に「キヤノン非正規労働者組合」の阿久津氏が、「自分の裁判も和解に向かっているが、キヤノンは裁判所と話し合って、低い和解金で不当な和解を推し進めようとしている。自分たちはあくまでもこちらの要求を貫きとおしたい。12月18日には、午後6時30分から大田区民プラザで『キヤノン争議総決起集会』を開催する。こちらの考えをキヤノンに示していきたい」と発言した。

 吉岡氏の闘いは「非正規雇用」で働く労働者にとって、働く権利をかちとる闘いである。「労働者派遣法」の改悪と「労働契約法」の改悪によって更に「総非正規化」が推し進められようとしている。電気産業界では13万人に及ぶリストラが目論まれ、パナソニックは4万人の解雇を掲げているとされている。パナソニックの経営状況のいい加減さを厳しく指摘し、「偽装請負」の責任を追及し、報復的解雇に決して屈することなく「職場復帰」を掲げ、全国で働く「非正規雇用」労働者の展望を切り拓くべく、先頭で闘い続ける吉岡氏の闘いに何としても勝利していかなければならない。そして、結成された全国労働組合運動交流会に一人でも多くの「非正規雇用」労働者の結集をかちとり、雇用の原則である「無期限雇用」「直接雇用」をかちとる闘いの隊列を作り出していこう。