「戒告」46人の処分を維持
10月31日午後2時、東京高裁第15民事部(裁判長・井上繁規)は、2005年、2006年に「君が代」不起立・不伴奏を理由とした都教委の懲戒処分撤回を求めて闘われた東京「君が代」裁判第2次訴訟に対して、「減給」「停職」の処分については取り消しを命じたものの、「戒告」処分については都教委の裁量権を認め原告らの請求を棄却する不当判決を打ち下ろした。「停職」1人、「減給」21人の処分は取り消しされたが、「戒告」46人の処分は維持されたのだ。石原都政の下、教育現場における「日の丸」「君が代」強制と「愛国心」教育が進められ、果敢に抵抗する教育労働者の闘いを鎮圧する都教委の処分攻撃を司法権力が追認する今回の高裁判決を徹底的に弾劾する。
今年1・16最高裁判決によって「減給」以上の累積加重処分への制約を課されたとはいえ、都教委は「戒告」処分の乱発と「再発防止研修」を質量共にエスカレートさせながら不屈に闘う教育労働者の闘いを根絶するための攻撃を強めている。
1・16判決後の2011年度卒業式、2012年度入学式での不起立被処分教育労働者に対する「再発防止研修」においては、これまで「戒告」被処分者への教職員研修センターでの「研修」95分間が195分間に大幅延長。「センター研修」1回のみだったものが、「研修」前に「受講前報告書」の提出を強制。「センター研修」後もセンター等の「訪問指導」が月1回程度、所属校校長による「研修」、そしてこれらの学校での「研修」終了後、再び「センター研修」受講を義務付けるものへと改悪されてきている。執拗に繰り返される「研修」はまさに「君が代」不起立を闘う教育労働者への「転向強要」の攻撃にほかならない。
「日の丸」「君が代」強制許すな
都教委が狙っているのは不起立教育労働者への解雇攻撃である「分限免職」処分だ。都教委による「分限免職」処分も見据えた攻撃を打ち返し、強まる反共・排外主義とナショナリズムの鼓吹に対して「日の丸」「君が代」強制を許さず闘いぬいていかなければならない。
この日の東京高裁の判決を迎え、原告らと支援の労働者人民は「強制反対」の横断幕を先頭に力強い行進で高裁門前に結集し、101号法廷では傍聴席を埋めつく体制を整えて判決に臨んでいった。出廷した裁判長・井上が判決主文を読み上げただけですぐに閉廷となり、高裁門前では待機する仲間の前に「都教委の暴走に歯止め」「一部勝訴」「停職は違法」「減給は違法」とする旗が掲げられたが高裁前では原告と弁護団が都教委による「10・23通達」合憲の井上判決を徹底的に批判していった。そして、東京高裁に対して「判決弾劾!」「処分撤回!」と怒りをこめてシュプレヒコールを上げた。高裁傍聴と報告集会には東京・山谷日雇労働組合の仲間も結集して闘いぬいた。
午後3時、日比谷公園内の千代田区立図書会館地下ホールで報告集会が開催された。この報告集会では都の教育行政に対してさまざまな問題を取り組んでいる仲間からの活動のアピール、報告もなされた。
極右ファシストの「愛国心」教育攻撃を粉砕せよ
弁護団から雪竹事務局長が判決に対する報告を行なう。「今回の判決は分量は相当ボリュームのある大部なものになったが、内容を見ると1・16最高裁判決を踏襲したものでしかない。都教委が行なった『減給・停職』は取り消し、しかし『戒告』は裁量権の範囲内で妥当とするもの」。他に報告集会に出席した金井、白井、加藤の各弁護士も高裁判決の不当性を弾劾した。
休憩をはさんで、記者会見に臨んだ原告・弁護士たちが報告集会に合流し、記者会見の様子などを報告する。記者会見に出席した近藤徹事務局長よれば、1・16最高裁判決後の東京高裁の判断が示された判決で、マスコミ各社の関心も高く「出席した記者数は20社で質問も活発に出た」ということである。また、石原慎太郎の「都知事辞任」表明=放り出しを受けて、都の教育行政の今後について教育関係者の感想や受け止め方などの質問も記者から問いかけられた、という。近藤事務局長は、「『君が代』処分441人という大量処分に止まらず、石原がやってきた教育行政で現場に混乱と破壊がもたらされた。その責任をとらずに都行政を放り出したことは絶対に許せない」と弾劾のコメントを出し、最後に「第二次訴訟を闘った原告は全員一丸となって最高裁での上告審に臨んでいこう」と訴えた。
自民党総裁への安倍の復活、石原の国政への転進、橋下徹の「維新の会」など極右ファシストどもが競って改憲攻撃に踏み込もうとしている。その軸となっているのが「日の丸」「君が代」強制と「愛国心」教育の攻撃だ。闘う教育労働者と連帯し、朝鮮反革命戦争とファシズムへの突撃と対決し闘いぬこう。
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