大阪市役所前にてビラまき情宣と集会
7月26日、「大阪市立学校活性化条例反対! 市職員への言論弾圧を許すな! 市役所前集会」が闘いとられた。「大阪市立学校活性化条例」や「大阪市職員の政治的行為の制限に関する条例」などの可決・成立が、翌27日の七月大阪市議会閉会日に強行必至というなか、「『日の丸・君が代』強制反対ホットライン大阪全国集会実行委員会」より呼びかけられたものだ。午後6時30分からの「市役所前集会」に先立ち、1時間前の午後5時30分から、仕事を終え退庁する労働者や道行く労働者人民に対して、集会への結集を訴えるビラまき情宣が行なわれたが、「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」の仲間も、闘う教育労働者とともにビラまき情宣と「市役所前集会」に結集し闘いぬいた。
午後6時30分になり、大阪市役所そばの中之島公園・女性像前での集会が開始される。集会のはじめに、「ホットライン大阪」事務局代表の黒田伊彦氏が、「『大阪市職員の政治的行為の制限に関する条例』は、公務員労働者への言論弾圧であり、治安維持法体制の再来だ」と橋下―「大阪維新の会」を徹底弾劾した。
日本共産党大阪市議より市議会の動向について報告を受けたのち、結集した労働者から現場からの闘いの報告を受けていく。まず、「なかまユニオン大阪市職員支部」の労働者が、このかんの「入れ墨アンケート問題」について報告を行なう。また、「大阪市職員の政治的行為の制限に関する条例」について、「『条例』は明日成立するかもしれないが、その運用にはどんどんクギを刺していくよう運動を進めていく」と闘う決意を明らかにする。大阪教育合同労組の教育労働者は、「これまで『越境入学はしない・させない』を実践してきた。『学校選択制』はこれを否定するもので、非常に腹が立っている」と怒りを表明した。「学校事務職員労働組合神奈川」の労働者は、神奈川でも「日の丸」「君が代」強制の動きが強まっていることを報告し、大阪の動きに注目し連帯して闘うことを明らかにした。「君が代」不起立当該の教育労働者2人の発言ののち、大阪市内各地での「市民熟議」などの取り組みの報告があった。
次に、「ホットライン大阪」事務局より、「日の丸」「君が代」処分撤回闘争をはじめとした秋の闘いを準備していこうとの行動提起がなされた。
最後に、大阪市役所前に移動し、「『大阪市立学校活性化条例』を撤回しろ」「『大阪市職員の政治的行為の制限に関する条例』を許さないぞ」「『教育基本条例』『職員基本条例』を撤廃しろ」「教育・福祉切り捨ての予算案を撤回しろ」とシュプレヒコールを叩きつけ、行動を終えていった。
「大阪市立学校活性化条例」成立弾劾
7月27日、7月大阪市議会で本会議が行なわれ、「大阪市立学校活性化条例」、「職員の政治的行為の制限に関する条例」、「大阪市労使関係に関する条例」、「政治的中立性を確保するための組織的活動の制限に関する条例」が可決・成立した。これを徹底弾劾する。
「大阪市立学校活性化条例」は、今年の2月・3月大阪市議会に「大阪市教育基本条例」(5月大阪市議会で成立)とともに提案され、継続審議となってきた。
この「条例」は、「大阪市立学校活性化条例の運用に当たっては、校長が学校運営における責任と義務を全うするためには、組織マネジメントや人材育成を含めた十分な裁量が校長に与えられることが重要であることにかんがみ、市長及び教育委員会は、教員の人事・給与を含めた学校運営に関する校長の裁量を拡大するよう留意すること」という附帯決議に明らかなように、校長の権限を限りなく強化し、教育労働者の「自治権」などの権利を弱体化させるものである。しかも、「校長の原則公募」が規定されており、校長の任用権は教育委員会にある。文部科学省―国家権力の学校運営への介入強化に他ならない。
また、保護者や生徒らの意見を学校運営に反映させるためとして、「学校協議会」を各校に設置すると定めており、「学校協議会」は、学校の運営計画や「不適格教員」への対応について校長に意見を述べることができるとされている。しかし、「学校協議会の委員は、保護者等又は教育委員会が必要と認める者のうちから、教育委員会が校長及び当該学校の所在する区の区長の意見を聴いて任命する」とされており、校長と市長・橋下の「イエスマン」として選ばれた区長の意見を聞いた教育委員会の意向に沿う委員が選ばれるのであり、橋下と文部科学省―国家権力の学校運営への介入を強化するための「学校協議会」に他ならない。橋下は、「閉鎖的な学校現場を保護者らの選択や評価にさらすことで教育の質が上がる」と主張し、滋賀県大津市の「中学生自殺問題」をも追い風にして、この主張が正しいかのごとく喧伝されている。しかし、「学校協議会」一つを取ってみても、労働者人民、とりわけ、長時間労働や共働きを強いられている低所得の家族にとっては、関わる時間も取れないのであり、ブルジョアや高所得の「保護者」による学校運営への影響力が強まるだけである。橋下は、プロレタリアから教育を奪い、ブルジョアのための教育を充実させようとしているのである。
さらにこの「条例」は、学区外通学を例外的に認める現行の「指定外就学制度」の適用を拡大するものである。部落差別などを拡大・強化する「越境通学」を「学校選択制」の導入と合わせてどんどん拡大していこうというのだ。こんなことを許してはならない。
「大阪市職員の政治的行為の制限に関する条例」などの成立弾劾
「大阪市職員の政治的行為の制限に関する条例」は、橋下提案の原案では「原則懲戒免職」となっていたものを、「大阪維新の会」と公明党が「懲戒処分として戒告、減給、停職または免職」との「修正案」を出し、これに自民党が賛成して成立した。この「条例」は、大阪市職員(市立学校の教職員も含む)の政治活動を勤務時間外も含めて禁止するというものである。集会で政治的意見を述べることや政治団体の刊行物の配布など10項目を禁止し、地方公務員の政治活動を国家公務員並みに制限し、地方公務員法の改悪に道をつけようとするものである。こんなものを断じて許すことはできない。
「大阪市労使関係に関する条例」は、「大阪維新の会」、公明党、自民党の賛成多数で成立した。第4条の「管理運営事項」の規定では、「条例の企画、立案及び提案に関する事項」や「行政の企画、立案及び執行に関する事項」など14項目は「労働組合等との交渉の対象とすることができない」としている。労働組合は行政の施策に対して何一つ意見してはならないというのだ。「懲戒処分、分限処分、職員の採用、退職、転任、昇任、昇格その他の具体的な任命権の行使に関する事項」についても交渉の対象ではないとしており、当局の不当処分等に対する労働組合のいかなる抗議に対しても、交渉には応じないというのだ。さらには、第12条には「労働組合等の組合活動に関する便宜の供与は行わないものとする」とあり、まさに労働組合敵視の不当労働行為そのものである。断じて許すことはできない。
「政治的中立性を確保するための組織的活動の制限に関する条例」は、橋下提案の原案が「大阪維新の会」と公明党の賛成多数で可決・成立した。第1条の「目的」には、「この条例は、本市が行政運営において組織的に政治的活動を行っているとの疑いを市民に与えることがないようにするため、市長その他の職員の責務を明らかにするとともに、政治的行為であると疑われるおそれのある行為を市長その他の職員が職務として行うことを制限することにより、公務の政治的中立性を確保し、もって市民から信頼される市政を実現することを目的とする」と規定されており、第2条の「責務」では、「公職の選挙において特定の人を支持し、またはこれに反対するために職務上の組織若しくは権限または影響力を用いているのではないかとの市民の疑惑や不信を招くような行為を、職務として行ってはならない」と規定されている。「市民の疑惑や不信を招くような行為」という恣意的な判断で「懲戒処分」されるという代物である。
教育現場での「日の丸」「君が代」強制と対決し不起立を闘う教育労働者や、労組破壊攻撃と闘う自治体労働者と連帯し、闘っていかなければならない。
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