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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

全国各地で「9・1防災訓練」=自衛隊治安出動訓練を粉砕せよ (1027号6面)

「防災訓練」という名の自衛隊治安出動訓練を粉砕せよ

 1923年9月1日の関東大震災時、政府は、首都の治安維持のために戒厳令を公布、軍隊を大量に投入した。そして、「朝鮮人暴動」をデッチ上げ、「不逞鮮人(ママ)が来襲して、井戸へ投毒、放火、強盗、強姦をしている」などの極悪の排外主義を大煽動し、軍隊、警察、さらに自警団として組織された地域の在郷軍人会、消防団、青年団などによる朝鮮人・中国人虐殺を凶行した。その後に「朝鮮人暴動の背後に社会主義者あり」として大杉栄らの拘束・虐殺、南葛労働会の川合義虎ら10人の拘束・虐殺(亀戸事件)がなされた。

 これを「教訓」とする「防災訓練」とは、危機にのたうつ日帝が、労働者人民の怒りと組織された暴力的闘いから国家権力とブルジョア社会秩序を防衛するためのものである。自衛隊の治安出動―内乱鎮圧攻撃をもって労働者人民の闘いを暴力的に鎮圧し、さらに、関東大震災時の自警団のように地域末端からファシズム勢力を組織化していく訓練なのである。こうして「防災訓練」は国、自治体、自衛隊、海上保安庁、警察、消防、企業内(職場)防災組織、町内会などの地域防災組織の総力をあげた訓練として全国各地で強行されている。毎年8月30日から9月5日までを「防災週間」と設定し、9月1日の「防災の日」を中心に全国各地で「防災訓練」が行なわれているのだ。

 治安出動―内乱鎮圧訓練を絶対に許してはならない。全国各地で「九・一防災訓練」=自衛隊治安出動訓練粉砕の闘いに決起せよ。

陸・海・空三自衛隊の「自衛隊統合防災演習」を許すな

 7月16日から20日にかけて、自衛隊は「自衛隊統合防災演習」を行なった。目的を「首都直下型地震発生時における自衛隊の統合運用による指揮所活動を演練し、…自衛隊の震災対処能力の維持・向上を図る」とした、陸・海・空三自衛隊による独自の治安出動訓練である。

 参加人員約5000人で、自衛隊は、幕僚監部等(内部部局、統合幕僚監部、陸上幕僚監部、海上幕僚監部、航空幕僚監部、情報本部、情報保全隊、指揮通信システム隊など)、陸上自衛隊(各方面隊、中央即応集団、通信団、警務隊、中央輸送業務隊など)、海上自衛隊(自衛艦隊、横須賀地方隊、システム通信隊群など)、航空自衛隊(航空総体、航空支援集団、航空教育集団、航空システム通信隊、補給本部など)が参加し、内閣官房、警察庁、総務省など関係府省庁、東京都、埼玉県など首都圏八都県市の自治体が参加し、加えて、はじめて在日米軍が参加している。東北・関東大震災時に「トモダチ作戦」を行なった米軍と自衛隊が日米調整所を設置し、米軍も演習に参加した。

 7月16日から17日にかけ、「自衛隊統合防災演習」の一環として、陸自第一普通科連隊(練馬駐屯地)は、「災害対処訓練」と称して、練馬駐屯地から「東京23区展開部隊」285人を展開させた。夜間から深夜に迷彩服の部隊が23区内を歩き回り、練馬、板橋、台東など7区役所では庁舎内、敷地内の駐車場などで宿営し、通信訓練、交信訓練を行なった。また、駒沢公園などの都立公園、清掃工場など13ヵ所に活動拠点を設けて情報収集活動を行なっている。これらは自治体からの要請ではなく、自衛隊が独自の判断で区役所、東京都の施設に協力をはたらきかけ、まさに自衛隊主導の下で治安出動訓練を実施したものである。

 陸自第一師団傘下の首都圏の部隊は、各地に進出して訓練を行なった。16日午前、第32普通科連隊(大宮)は、埼玉県内の上江橋から秋ケ瀬橋の間の荒川で、隊員約40人がボートで進軍。上陸後は、約2時間かけて朝霞駐屯地まで行進した。午後は、第一施設大隊(朝霞)が荒川の戸田橋付近で、渡河ボートとアルミ板で軽門橋を組み立て、ショベルカーを水路輸送している。翌17日、第一高射特科大隊(駒門)の隊員約100人、車両約30両が静岡県駒門駐屯地から東名高速、国道1号線、国道246号線の主要三経路を使って進軍し、19日までの期間中、横浜市一帯に避難所=宿営地を設置した。17日〜18日には、三ツ沢公園に宿営する訓練を行なっている。

 空自は、埼玉県入間基地で、埼玉と東京北部を受け持つ後方補給実動訓練を約150人体制で行なった。

 「自衛隊統合防災演習」はまさに自衛隊の治安出動訓練そのものであり、ここで訓練された内容と質をもって9月1日前後に行なわれる各地の「防災訓練」を主導していくのである。

朝鮮反革命戦争へ向けた治安出動訓練粉砕

 東京都の「防災訓練」は「東京都・目黒区合同総合防災訓練」として、9月1日に行なわれる。会場は都立駒沢オリンピック公園、目黒駅周辺、都立林試の森公園などであり、最大の会場は駒沢オリンピック公園会場である。ここには、警察・消防・自衛隊などが集中し、防災機関共助による救出救助訓練、公助による救出救助訓練、ヘリ離着陸訓練などを行なう。

 東京都は今年度、町会や自主防災組織をはじめとした36の団体を「東京防災隣組」と認定し、「防災隣組」の組織化を推し進めている。こうした「防災隣組」の推進は、地域末端からのファシズム大衆運動へと組織されていく危険性をもっている。戦前、日本における「隣組」制度は、「異質なもの」を素早く「非国民」としてあぶり出し、「国民総動員体制」を下から支えたのだ。関東大震災時に自警団が朝鮮人・中国人虐殺を凶行した歴史を忘れてはならない。ファシスト都知事・石原のもとで推進される「東京防災隣組」なるものの組織化に厳重な注意を払わねばならない。

 首都圏9都県市(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市)の「9都県市合同防災訓練」も9月1日、中央会場を横浜市西区の横浜みなとみらい21地区耐震バース及び20街区として行なわれる。横浜みなとみらい21地区耐震バースでは、防災関係機関(消防・警察・自衛隊・海上保安庁等)と町の防災組織などによる総合的な実践訓練を実施し、参加者1万人規模としている。中央防災会議(会長は首相・野田)は政府調査団をこの訓練に派遣する。

 首都圏では、防災訓練に陸上自衛隊練馬駐屯地の部隊が大量に投入される。陸自練馬駐屯地は、首都圏を含めて関東一円を管内におさめる第一師団の司令部を置き、内乱鎮圧を存在意義とする第一普通科連隊を擁する首都内乱鎮圧の拠点なのだ。第一師団は別名「政経中枢防衛師団」と呼ばれ、大都市部における市街戦専門の部隊である。

 こうした部隊がわが者顔で主導する「防災訓練」=治安出動訓練は朝鮮反革命戦争遂行と表裏一体のものである。絶対に許してはならない。粉砕せよ。