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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

7・22 入院患者差別・虐殺28ヵ年糾弾!
報徳会宇都宮病院糾弾!現地闘争が闘われる
(1027号4面)

 集会への連帯あいさつと連帯メッセージ

 「入院患者と連帯し宇都宮病院を糾弾し解体する会(糾弾し解体する会)」の呼びかけのもと、7月22日、午後1時より宇都宮市・陽南第二公園において集会が開催され、宇都宮病院に向けての戦闘的なデモがうちぬかれた。

 陽南第二公園の集会場には関東や宮城からマイクロバス、ワゴン車などで、「病者」、「障害者」、労働者、学生が結集し集会が開始される。

〈安井健彦氏〉

 まずはじめに、東京・山谷日雇労働組合の司会でシュプレヒコールがあげられる。「入院患者差別・虐殺を許さないぞ!」「宇都宮病院を糾弾し解体するぞ!」の声が宇都宮現地に響き渡る。多くの労働者人民の注目を集める中、闘争に駆けつけた安井健彦氏から連帯あいさつを受ける。28年前、「宇都宮病院事件」を命がけで告発した安井氏は「去年始めてこの場所に来ました。しかし、私にはこの公園に関する知識がずいぶん前からあった。院内の患者同士の会話で、『あいつまたあの公園でやられた』と。ここでは殺されなかったけれども、病院につれ帰ってやりたい放題。去年は帰って1ヵ月くらい気分が悪かった。今年も来たくなかった」「今日、宇都宮南警察署まで行った。南署で当時副署長をしていた男は、退職後宇都宮病院に来て部長となった。患者の遺族が訊ねてきて遺体を引き取るときに、白衣を着て医者のような顔をして嘘をついて、ごまかしていた」「入院患者が懐かしさのあまり訪ねてきても、びくびくしなければならない。まだ終わっていない。まだあの病院が続いている。まだ入院患者がいる。当時ぶん殴ってぶっ殺したやつがまだ看護人の顔をして働いている。皆さんの集まりは、非常に貴重である。ありがたいと思っている。でなきゃ一時間も寝ないで、東京から車にゆられてここまで出てくるもんか。みんな続けて欲しい。私が告発してから他の病院でもバタバタと不祥事が報道されている。まだ、日本には、3分の1くらいは非人道的、非人権的な、医療行為を行なっている病院がある。ぜひ続けていただきたい」「数は少ないが、私は失望はしていません。もし宇都宮病院の関係者がここに入ってきたら、もし手を出したら、左足がほとんど動かなくなっているこの私が、徹底的にぶちのめしてやる。みんな、気勢を上げて、この行動の基礎になっていただきたい。どうもありがとう」と、自分の人生を無茶苦茶にされた宇都宮病院に対する腹の底からの怒りを叩きつける。闘う部隊は安井氏の期待に満場の拍手で応え、安井氏の怒りをともにし、闘う決意を新たにしていく。
 
〈宇都宮病院糾弾闘争に注目する「精神障害者」〉

 続いて連帯メッセージを司会が読み上げる。最初に、毎年宇都宮病院糾弾闘争に力強いメッセージをいただいている、宇都宮病院に注目する「精神障害者」が現在入院中であること、そのため今年は連帯メッセージを受け取ることが出来ない状況にあることを司会が伝える。そして、氏と思いを共にして今年も宇都宮病院糾弾闘争を闘いぬくことを、全体の拍手で確認した。

〈優生思想と闘う富山市民〉

 次に優生思想と闘う富山市民からのメッセージが紹介される。

 「宇都宮病院入院患者虐殺事件は、日本の精神医療の特質を象徴する事件でした。『犯罪から社会を守る』ことこそが自らの使命である、と強調してきたのが精神医学でした。この差別と偏見に基づいて、『精神障がい者』のニーズによる治療の営みよりも、犯罪からの『社会防衛』が常に優先されてきたのが精神医療でした。こうして『精神障がい者』は常に『犯罪』とリンクされ、強制医療による隔離・収容政策の犠牲になってきました。そして『社会防衛』主義と営利主義の癒着の下で日本の民間精神病院は肥え太ってきました。そのもとでの腐敗と悲惨の象徴ともいうべきものが宇都宮病院患者虐殺事件だったのです」「『精神病院の不祥事』として騒がれ、国際的批判を浴び、以降の精神医療の流れを変えたといわれる宇都宮病院事件ですが、殺されていった、虐殺された多くの患者の実態解明、謝罪、関係者の処罰はなされてはいません。そのことからわかるように、『精神障がい者』に対する強制医療にもとづく隔離収容主義の根本は是正されてはいないのです。そういう負に彩られている日本の精神医療を患者中心のものに変えていくためにこそ、宇都宮病院事件を忘れ去ってはいけないと思います。勇気ある内部告発をした患者に応え、ともに開かれた普通の医療へと精神医療を変えていこうではありませんか」。

〈楠 敏雄氏〉

 さらに、楠 敏雄氏(全障連相談役)からのメッセージが紹介される。

 「1984年に安井氏をはじめとする宇都宮病院の患者さんによる命がけの告発を機に満天下に明らかとなった病院側の差別性は、国連の場においてもとり上げられ、日本の『精神障害者』に対する人権侵害の実態が暴露されることとなりました。さらに、1990年代に入ってからの大阪における大和川病院事件の発覚以降、『精神障害者』の社会的入院の解消が行政レベルでもようやく課題とされ、わずかながらの法改正も行なわれました。しかしながら、精神病院からの『退院促進事業』や地域移行の施策はほとんど進んでおらず、むしろ『心神喪失者等医療観察法』に基づく『精神障害者』への隔離・抹殺が強化されているのが実態です」「『障害者』を依然として治安の対象とみなす支配権力の攻撃や精神病院協会などの営利主義的体質、さらには、社会に根強く残る予断と偏見によって、多くの『精神障害者』が未だに孤立を強いられ、必要な支援も受けられない状態のまま放置されています」「『社会的弱者』を排除せず誰もが共生できる社会、それが『障害者権利条約』で掲げられている『インクルーシブ社会』の理念です。しかし、現実の政治・経済・社会の状態は、そうした理念に逆行するものと言わざるを得ません。とりわけ、消費税の導入や原発の推進、『非正規雇用』労働者の増加など、われわれとして絶対に見過ごすことのできない課題が山積しています」「今こそ、労働者・被差別大衆の広範な隊列を構築して、デタラメな政治と危険な勢力を打ち破るために、固く団結して共に闘いぬきましょう」。

〈全障連関西ブロックで闘う仲間〉

 そして、全障連関西ブロックで闘う仲間からのメッセージだ。

 「資本主義のもとでは、医療は資本に支配され、患者を治療することよりも、医療資本の利潤追及が最優先されます。宇都宮病院における入院患者への数々の暴行・抹殺は、『精神病者』を食い物にして増殖しようという資本の論理と、それを法制度的に支える国家権力・行政によって引き起こされたものです」「安井さんをはじめ入院患者を先頭とした闘いが、宇都宮病院のやりたい放題をくい止め、日本の精神医療を変革してきました。しかし、今日でも、『精神保健福祉法』や『心神喪失者等医療観察法』のもとで、『精神病者』差別―抹殺政策は継続しているのです」「医療を資本の支配から解放することなくして、『精神病者』解放は実現できません。資本主義社会の変革を展望する闘いとして、宇都宮病院糾弾闘争を闘いましょう」「全障連が歴史的に切り拓いてきた差別糾弾闘争の地平を継承・発展させるため、全国『障害者』解放運動共闘会議の結成へと闘いぬきます。共に闘いましょう」。

〈全障連中四国ブロックで闘う仲間〉

 最後に全障連中四国ブロックで闘う仲間からのメッセージが紹介される。

 「宇都宮病院は28年前に入院患者を差別・虐殺したことを何ら反省することなく、今もなお、差別・虐殺の収容所として存在をしています。それは政府も栃木県行政も『精神病者』への虐殺を容認してきたからです。虐殺された患者さんのくやしさ、無念さを思い、宇都宮病院の存続を絶対に許さず徹底糾弾をたたきつけていきましよう」「法務省による保安処分の適用対象の拡大、新たな保安処分導入を許さず阻止し『心神喪失者等医療観察法』撤廃、全国の保安処分施設の解体への闘いをかちとっていきましよう」「去る6月20日には、『障害者自立支援法』の一部見直しただけの『障害者総合支援法』成立が強行されました。『障害者総合支援法』粉砕し介護の商品化を粉砕しよう。『脳死―臓器移植法』撤廃。『尊厳死法』案の国会への提出を許さず優生思想の強化を粉砕しよう。『障害者』差別―抹殺への攻撃をはねかえし『障害者』解放闘争の革命的飛躍をかちとりましよう」「全障連の歴史的地平を継承・発展させ『障害者』差別糾弾闘争を闘える新しい全国組織である全国『障害者』解放運動共闘会議の結成をかちとっていきましょう」「野田政府は福島第一原発の事故にひとかけらの責任も痛みも感じず、多くの労働者に被曝を強制しています。にもかかわらず、大飯原発の再稼働を強行し、日帝の核武装を進めています。首相・野田が8月6日被爆地広島を訪れることを許さず、闘う被爆者(二世・三世)と連帯し8・6広島反戦闘争を闘います。『障害者』解放闘争の前進に向けて共に闘いましょう」。

基調提起と決意表明

 「糾弾し解体する会」から、基調が提起された。基調は第1に、「宇都宮病院事件」の事実経過を暴露する。第2に、「宇都宮病院告発は世界的にも注目され、『精神衛生法』は、『精神保健福祉法』に変えられたが、『精神障害者』差別法としての根本は変わっておらず、宇都宮病院は今もなお存在している」と問題を提起する。そして、第3に「宇都宮病院を糾弾し解体する闘いを頑強に続けることで、宇都宮病院による患者への差別・虐待を阻止し、『精神障害者』隔離・抹殺政策と対決しよう。差別糾弾闘争の飛躍をかちとり、宇都宮病院を解体しよう」と呼びかける。基調は全体の拍手で確認された。

 続いて、結集した仲間からの決意表明だ。

 全障連東北ブロックで闘う仲間から、「宇都宮病院は、患者さんを虐殺したのみならず、その後私たちの仲間の面会活動などに妨害を加え続けてきた。その歴史を絶対にわれわれは忘れることは出来ません」「1995年の『精神保健福祉法』は名前は変わったものの、その実態は強制収用法です。しかも、不審者に対する通報義務をも『法』の中に盛り込んでいるなど、全く許せない法律が今日でも続いているのです。このため多くの『精神障害者』が地域から隔離、あるいは監視のもとにおかれており、まさに『精神障害者』に対する差別は強化され続けています」「加えて、『心神喪失者等医療観察法』は、まさに実質的な保安処分であり、これによって多くの『精神障害者』が社会的入院を余儀なくされています」「『心神喪失者等医療観察法粉砕』、そしてこの宇都宮病院解体闘争の前進をかちとりながら、多くの『精神障害者』との結びつきを、地域全国を通して構築していこうと思います」。

 刑法改悪阻止関東活動者会議(刑関活)で闘う「精神病者」は、「私は、1年の中でもこの時期が一番調子が悪いのですが、ここに集う仲間のおかげで本集会に今年も参加することが出来ました。それは私にとってすばらしいことであり、差別をのりこえ、抹殺される立場から闘う立場へ自身を変革する闘いでもあります。殴り殺されていった多くの患者の無念を思い、本日の闘いを是が非でも闘いぬいていきましょう」「私は『病者』として、この社会の敵と見なされて隔離―抹殺されることに対して、徹底的に闘います。しかし、私は、この社会の敵であることには誇りをもっております。なぜなら、『病者』『障害者』を排除し抹殺することを認める、この資本主義社会こそ間違っているからです。人間が人間として当たり前に生きることが出来る社会を創るために私は全力をもって闘っていきます。山谷の労働者とともに、野田政府による朝鮮反革命戦争突撃の中で『病者』『障害者』を差別し、排除し、虐殺しようとする攻撃と真っ向から闘いぬくことを明らかにします」。

 反安保労研全国センターの仲間は、「宇都宮病院で入院患者の差別・虐殺が行なわれた背景にあるものは、『精神障害者』を『危険な存在』としてみるブルジョア社会の差別意識であり、それを政策の中に貫徹してきた『精神衛生法』であることをはっきりさせて闘わなければなりません」「医療福祉で働く労働者が、患者と共に闘い生きていくのか、それとも患者を利益を生む対象として利用し虐殺していく共犯者となるのか、労働運動にとっても鋭い問題が突きつけられています。宇都宮病院を糾弾し続ける闘いは、この医療・介護・福祉の現場で働く労働者を『精神障害者』をはじめとする患者と共に闘い生きる団結の下に結集させるための大きな根拠になるものです。闘わない労働運動=『連合』傘下のUIゼンセン同盟は介護労働者を『日本介護クラフトユニオン』に組織化して、患者を抑圧する側に立たせようとしています。このような労働運動とはいえない労働運動を突破する戦闘的な労働組合運動の結集軸として6月24日に全国労働組合運動交流会(全労交)が結成されました。そして、焦眉の課題である原発の再稼働攻撃に対して、大飯現地で、被曝労働を強制されてきた現場労働者との結合をめざして、すべての原発の廃止に向けた闘いを貫徹しています」。

宇都宮病院へ進撃する戦闘的デモ

 全学連からは、「国家権力は石川文之進をはじめとした患者虐殺の下手人を擁護し、宇都宮病院の体制を維持させた上で、病院の実態を暴露し糾弾して闘う労働者人民を徹底して弾圧し続けている」「国家権力は2011年12月、『電子計算機使用詐欺』などという罪名を持ち出して闘う学生を不当逮捕し、その間に宇都宮大学の革命的学生運動を破壊するという攻撃に出てきた。このような暴挙を断じて許すことが出来ない」「首都圏の大学においても攻撃が激化しているが、〈戦時下の新たな革命的学生運動の創出〉という課せられた使命をここであきらめるわけにはいかない。今日、反戦や反原発の闘いが大きく取り上げられるようになってきてはいるが、ただ人が集まればいいとか、権力の指示にただ従うような運動では、新たな時代を切り拓くことなど到底できはしない。問題は本当に原発を廃止していく、あるいは沖縄の基地を解体していく、そして現実に戦争を止めていく実力での闘い、武装した闘いをなしきっていくことである。そのことができるのはわが全学連をおいて他にはないんだということを、大きく突き出していきたい。学生運動の飛躍こそが、新たな時代を切り拓いていくのだということをすべての学生に突きつけ、その生き方を問うていく。資本主義社会を打ち倒し、差別を廃絶し、プロレタリア共産主義世界革命の一翼を担うものとして、全学連をさらに強固に作り上げていく決意です」。

 全国反戦は、「宇都宮病院をもう一刻も存続させてはならない。今こそ徹底糾弾し解体しつくす闘いを断固として叩きつけていこうではありませんか」「野田政府は、朝鮮反革命戦争への突撃をますます強めている。オスプレイが明日にも岩国に搬入されようとしている。日・米・韓三国の合同海上軍事演習に初めて海上自衛隊の部隊が参加し、朝鮮反革命戦争を見据えた演習が強行されている。『防災訓練』と称して陸上自衛隊練馬駐屯地の自衛隊員が迷彩服で出撃し、区役所を宿営地としながら首都東京を制圧する訓練を強行するというとんでもないことまで行なわれている」「全国反戦は8・6広島反戦闘争、そして8・9長崎反戦闘争に取り組み8・26全国反戦集会を開催する。ここに結集した仲間が、全力でこれに結集し共に闘いぬかれることを訴えます」。

 全体の発言を拍手で確認し、集会の最後にシュプレヒコールをあげる。隊列を整え、宇都宮病院に向けたデモの出発だ。

 「精神病者」、「障害者」、山谷労働者をはじめとした労働者・学生は宇都宮病院に進撃する戦闘的デモを打ちぬく。病院の正門前に到着すると「宇都宮病院解体」「患者さんと連帯して闘うぞ」とシュプレヒコールをあげ、宇都宮病院への怒りを叩きつける。正門は閉じられ、ちゃちなバリケードが設置されているが、部隊は存分に宇都宮病院を糾弾し、陽南第二公園までデモを貫徹した。

 最後に、「糾弾し解体する会」の仲間から「われわれは、7・8『心神喪失者等医療観察法』施行7ヵ年糾弾闘争と本日の宇都宮病院糾弾闘争を連続して闘いぬいた。入院患者と連帯し、宇都宮病院解体まで闘いぬこう。法務省は、『初犯者』『薬物犯罪者』に対する『刑の執行猶予期間中の保護観察』と『社会貢献活動』の強制を目論んで、刑法等『関連法』の一部を改悪する法案を今国会で成立させようとしている。刑法改悪―新たな保安処分導入を許すな。戦時『障害者』抹殺攻撃を粉砕しよう。全国『障害者』解放運動共闘会議の結成に向け闘おう」と集約提起がなされ、闘争を終了した。