陸自部隊の首都制圧訓練粉砕を闘う
陸上自衛隊第1師団による「市街地訓練」強行の前日である7月15日、反戦・全学連の部隊は陸自部隊の治安出動―首都制圧訓練粉砕に起ち上がった。
午後5時、反戦・全学連の部隊は陸自第1師団のある陸自・練馬駐屯地正門に進撃する。正門は、わが部隊の登場に身構え、門を閉ざして警戒されている。横断幕を広げ、陸自第1師団にシュプレヒコールを叩きつけた。「『市街地訓練』を粉砕するぞ」「自衛隊治安出動訓練を粉砕するぞ」「首都制圧訓練を粉砕するぞ」「練馬駐屯地を解体するぞ」。正門には「警備 練馬駐屯地」「警務 MP」と書かれた腕章をつけた自衛官が4人〜5人と、ビデオカメラを回す私服の自衛官がいたが、手出しすらできず、反戦・全学連のシュプレヒコールに圧倒されてボーゼンと立ち尽くすのみである。こうして、思う存分シュプレヒコールを叩きつけた反戦・全学連の部隊は、東武東上線・東武練馬駅頭に登場し、ビラまき情宣を展開した。「市街地訓練」粉砕を訴えるアジテーションが街中に響くと、道行く人々の注目を集め、配布するビラは吸い込まれるように受け取られていく。反戦・全学連の闘いへの共感の渦が広がっていくのを実感した。ビラは短時間になくなり、情宣行動を終了した。
7月16日〜17日、陸上自衛隊第一師団・第一普通科連隊が、「災害対処訓練」として、東京23区の区役所内に「宿泊」する「市街地訓練」を行なっている。自衛隊史上初となるこの「市街地訓練」こそ、「防災」に名を借りた治安出動―首都制圧訓練そのものであった。また、この「市街地訓練」は、従来の「防災訓練」にあった「自治体の要請」なる外観を取り払っての、自衛隊独自の訓練として強行された。連隊長・本部の指揮下、陸自の指揮命令系統を実際に動かす、自衛隊単独の訓練である。自治体の制動すら許さないという、とんでもない突出ぶりである。
第1師団・第1普通科連隊による「市街地訓練」では、「首都直下型地震を想定」の名の下に、迷彩服とヘルメットを着用した自衛隊員285人が練馬駐屯地から出撃した。7月16日午後7時、まず地上偵察要員として4台のオートバイが出発。続いて、21人の将校クラスの隊員が10キロ以上の装備を身につけ、徒歩で都内七ヵ所の区役所へ向かった。宿泊先の区役所では、自衛官は「連絡員」として会議室や敷地内の自衛隊車両で仮眠しながら「無線通信による情報収集訓練」を行ない、各区の先遣小隊170人が10人前後の班編成で19班に分かれ、都内13ヵ所の活動拠点へ向かい、「被害状況調査訓練」の名の下に都内を徘徊している。翌17日は昼まで「通信訓練」などを実施、23区すべての区役所と交信訓練。オートバイ部隊も自衛隊東京地方本部の10ヵ所の出先機関などを回り、通信設備の確認を行なった。
「市街地訓練」=首都制圧訓練を弾劾する
当初、自衛隊は全23区での宿泊をうちだしていたが、自衛隊が実際に宿泊したのは、地元の練馬の他、板橋、文京、葛飾、荒川、足立、台東の計7区役所にとどまった。他の区役所は軒並み「休みで人がいない」などを理由にまともに対応せず、中には自衛隊員の立ち入りを拒む区役所もあったという。迷彩服姿で区役所に出向き都内を徘徊する自衛官に対する、労働者人民の怒りが都内各地で噴出した。
今回の「市街地訓練」は、7月16日〜20日に行なわれた「自衛隊統合防災演習」の一環であった。「自衛隊統合防災演習」は、「首都直下でマグニチュード八・二(最大震度七)の地震が起きたことを想定」した訓練であり、参加要員は約5000人で、東北・関東大震災後初である。自衛隊が主導し、警察・消防なども参加しているが、在日米軍も初めて演習に参加して連携の確認などを行なっている。
自衛隊は一連の訓練の内、16日〜18日の3日間を公開した。陸自朝霞駐屯地では、陸・海・空の自衛隊が「統合任務部隊」を編成し、各自治体との連携や物資輸送を調整する訓練を行なっている。そして、第1師団傘下の首都圏の陸自部隊が各地に進出している。まず16日午前、第32普通科連隊(大宮)が荒川に現れ、埼玉県内の上江橋から秋ケ瀬橋の間、水路を隊員約40人がボートで進軍。上陸後は、約二時間かけて朝霞駐屯地まで行進し、午後は第一施設大隊(朝霞)が荒川の戸田橋付近で、渡河ボートとアルミ導板で軽門橋を組み立て、運転手を乗せたままのショベルカーを水路輸送するパフォーマンス。翌17日、第1高射特科大隊(駒門)の隊員約100人、車両約30両が静岡・駒門駐屯地から東名高速、国道1号線、国道246号線の主要3経路を使って進軍し、19日までの期間中、横浜市一帯に避難所=宿営地を設置。17日〜18日には、神奈川県警とともに三ツ沢公園に宿営する訓練。さらに、19日には在日米軍が参加し、「日米調整所」を置く朝霞駐屯地で図上演習を行なっている。
戦時体制形成を粉砕せよ
野田政府は今回の訓練の検証結果を受けた、「首都直下地震の対処計画」を今年末までにまとめるとしている。野田政府は、より具体的な自衛隊・在日米軍の首都制圧計画を練り上げようとしているのだ。ここで自衛隊が掲げる「防災」などまったくの口実でしかなく、「自衛隊統合防災演習」、特に「市街地訓練」は明確な治安出動―首都制圧訓練である。もともと第1師団は、治安出動―首都制圧のために配置されている。自衛隊は、首都制圧のための拠点として、区役所を機能させようとしていることを、今回の訓練であけすけにした。自衛隊は、今回の「市街地訓練」での使用を拒否した区への圧力を、さらに強めていくであろう。自衛隊が地域社会への進出を強めることで、革命的反戦闘争を芽のうちに弾圧し、公務員労働者をはじめとする地域の労働者人民を根こそぎ朝鮮反革命戦争に動員しようというのだ。
東京都内では「市街地訓練」に先立つ6月12日、銃で武装した陸自隊員による「レンジャー隊員養成訓練」なる街頭制圧訓練が、「防災」の名の下に強行されている。東京都内6・8キロを3時間ほど行進するというものだった。訓練とはいえ、自衛隊員が東京都内で武装行進するのは1970年以来42年ぶりである。自衛隊内でも「災害現場になぜ銃が必要なのか」という批判が出るほどの暴挙であり、地元の労働者人民の怒りのなかで強行されている。治安出動をもくろむ自衛隊の突出を許してはならない。陸自・練馬駐屯地を解体し、米軍・自衛隊を解体する反基地闘争の爆発をかちとろう。
野田政府は、自民・公明との結託を強めて翼賛国会を形成し、従来にないスピードで戦時体制形成を推し進めている。特に米軍・自衛隊の強化・実戦化はすさまじい。沖縄・先島諸島への自衛隊配備や名護新基地建設、MV22オスプレイの沖縄配備を策動している。そして、6月21日〜22日には、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)をにらんだ日米韓3国合同海上軍事演習が行なわれ、この演習に海自艦隊が史上初めて参加している。
野田政府は、労働者人民の間で沸き起こる反戦・反原発などの機運を芽のうちに叩き潰し、労働者人民を戦争に動員できる体制を構築することで、総力戦としての朝鮮反革命戦争に突入しようとしている。そんななかで、自衛隊・警察などの官僚的軍事的統治機構の突出が進行している。そして、反北朝鮮―反共・排外主義攻撃を強める右翼ファシストが活性化し、戦時体制形成を後押ししている。朝鮮反革命戦争とファシズムの危機が加速度的に進んでいるのだ。
進行する戦時体制形成を粉砕することが、日帝足下労働者人民の責務である。実力・武装の闘いで、朝鮮反革命戦争突入を阻止する革命的反戦闘争の爆発をかちとろう。翼賛国会を粉砕し、戦争遂行の野田政府を打倒しよう。 |