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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

7・8「心神喪失者等医療観察法」施行7ヵ年糾弾
対国立・精神医療研究センターデモを闘いぬく (1026号6面)

安井健彦氏が連帯あいさつ

 刑法改悪阻止関東活動者会議(刑関活)は、7月8日、全国の闘う仲間と共に、東京・小平市中央公民館での集会と国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)に対するデモとして、「心神喪失者等医療観察法」施行7ヵ年糾弾の闘いを闘いぬいた。

 午後1時半、全障連で闘う「障害者」をはじめ全国から闘う仲間が結集するなか、東京・山谷日雇い労働組合の仲間の司会で、集会の開始が宣言される。「『心神喪失者等医療観察法』撤廃!」「保安処分施設を解体するぞ!」。シュプレヒコールが鳴り響く。

 はじめに、「宇都宮病院事件」告発者である安井健彦氏からの連帯あいさつだ。「私は岐阜県の小さな病院で入院させられたのですが、医者の診察はなしです。そのまま宇都宮病院に連れて行かれた。そして2ヵ月半経った。自衛隊あがりの看護長が来て『武村さんの診察だ』と言われたので、武村さんってだれかと聞くと、『あんたの主治医だよ』と言われた。その時にどういう根拠で入院させられたのか聞くと『すぐに出しますから』と言われた。しかし、そのすぐは5年1ヵ月以上後でした」「私、宇都宮病院に行って、1回も医療を受けたことはありません。殴られて、歯が上下ガタガタになって、背骨をやられて左足が痛くてしょうがない。今日もここまで来るのに苦労した」「私が大騒ぎを起こして、あるタイプの医者には蛇蝎のように嫌われ、良心的な医者にはよくやってくれたとほめられて、少し精神医療は進歩した。だけど抜け道はいくらでもある。良心的になっていたなら、旧武蔵病院は黙認できるが、そうなってない。みんなの目を光らせていただきたい」と、集まった参加者への期待を込め、檄を飛ばした。安井氏の発言に圧倒的な拍手がおくられた。

集会に寄せられた連帯メッセージ

 集会に寄せられた連帯メッセージを司会が代読する。
 全障連関西ブロックで闘う仲間からは、「民主党主導の政府が誕生した2009年から現在にいたるまで、『心神喪失者等医療観察法』のもとで何百人もの『精神障害者』が保安処分施設に隔離されてきました。さる6月20日には『障害者自立支援法』を一部見直しただけの『障害者総合支援法』の成立が強行されました。こんな政府との『政策協議』をいまだに続ける『障がい者制度改革推進会議』の行く末に未来はありません。全障連の歴史的地平を継承・発展させ、全国の『障害者』の怒りを差別糾弾闘争に集約するための組織の確立が早急に必要です。全国『障害者』解放運動共闘会議の結成を何としてもかちとるべく、共に闘いましょう」。

 優生思想と闘う富山市民からは、「『心神喪失者等医療観察法』は保安処分法です。それを推進したエネルギーは、『危険で野放しになっている精神病者を放っておくな』というものでした」「旧武蔵病院は、犯罪精神医学の拠点です。危険人物であると判断されれば、新たな隔離の対象となる、ということです。そういうことと対決していくものとして本闘争と連帯していきたいと思います」。

刑関活が基調提起

 刑関活が本闘争の基調を提起する。基調ははじめに、「心神喪失者等医療観察法」が「精神障害者」差別にもとづき「精神障害者」を治安対策として隔離・拘禁する保安処分法であることを暴露する。そして、「法」成立に至る過程で大々的な「精神障害者」差別キャンペーンがなされ、「法」施行下では適用を受けた「精神障害者」が「自殺」に追い込まれ、抹殺されている実態を明らかにする。旧武蔵病院は「法」施行時、全国で唯一の保安処分施設であり、今日では全国の保安処分施設の中心的な存在であるとしたうえで、「法」撤廃を実現するための有効な闘いは保安処分施設を解体する闘いであるとし、国立精神・神経医療研究センターを糾弾し直接デモをぶつける闘争の意義を明らかにする。さらに、刑法改悪―新たな保安処分導入を許さず、差別糾弾闘争と労働者階級との階級的共同闘争で、戦時「障害者」差別―抹殺攻撃と全面対決し、野田政府を打倒しようと提起する。2006年に法制審議会「被収容人員適正化方策に関する部会」が設置され「初犯者」「薬物犯罪者」を対象とする「刑の一部執行猶予」「社会貢献活動」という名の新たな保安処分導入が狙われてきたが、今通常国会で「関連法」成立が狙われているのだ。この基調が、会場全体の拍手で確認された。

全国から結集した仲間が決意表明

 基調の次は、全国から結集した仲間の決意表明だ。はじめに、全障連東北ブロックで闘う仲間だ。「怒りも新たに本日の闘いを闘いぬいていきたい。残念ながら『法』の施行は許したものの、闘いはまだ終わってはいない。保安処分施設を解体することがこの『法』の無力化になる」「全障連の思想と運動を継承しつつ、実力闘争、差別糾弾闘争で闘う全国『障害者』解放運動共闘会議の結成に向けて奮闘します」と、本闘争の最先頭で闘う決意を明らかにした。

 刑関活で闘う「病者」の仲間は、「『心神喪失者等医療観察法』は『精神障害者』を社会の敵とみなして隔離し、抹殺しようとする法律です。保安処分施設である旧武蔵病院を糾弾するデモを闘いぬこうではありませんか。問題なのは、人間を追いつめていく資本主義社会の人間関係であり、こんな社会を変えない限り『精神障害者』の解放も、すべての人民の解放もありえません」と、力強く闘う決意を明らかにした。

 全障連中四国ブロックで闘う仲間は、「国立精神・神経医療研究センター(旧武蔵病院)は、戦前戦後と『精神障害者』を地域から隔離・収容し、治療という名で実験や虐待を行なってきた病院です。現在は『心神喪失者等医療観察法』のもとで研究や啓発活動をつかさどりながら保安処分施設の存在を支えている病院です。絶対に許すことは出来ません」「『尊厳死法制化を考える議員連盟』が『尊厳死法』の制定を目論んでいます。2人の医師の判断で、現在延命措置をしている人も対象に、延命措置を行なわなくても罪に問わないという『法』案を国会に上程しようとしているのです。このようなことは絶対許してはなりません」と訴えた。

国立精神・神経医療研究センターへ怒りのデモ

 福岡で介護闘争を闘う仲間は、「介護闘争を闘う中で、『障害者』をとりまく差別の問題や、資本主義社会の中で蔓延している差別の問題や、人々が生きるのにつらいと思うような事柄について考えることができています。本日の闘争も権力に対して、病院や悪質な医者に対して怒りをぶつけるだけではなくて、『精神障害者』『精神病者』を追い込んでいるものが権力だけではなくて差別の目を持った、偏見の目をもった多くの人々、私たち自身であるということを肝に銘じながら、自分自身の闘いとしてかかわっていくことが大事だと思います。本日も頑張りましょう」と、日々の介護闘争からつかんできた闘う決意を明らかにした。

 決意表明の最後は、反安保労研全国センターだ。「6月24日に、全国労働組合運動交流会(全労交)の結成がかちとられています。これを力にして、戦後労働運動の限界を突破していく労働運動の前進をかちとる。差別糾弾、『障害者』解放を闘う『病者』・『障害者』の仲間と共に、階級的な共同闘争を推し進め、戦争を見据えた『障害者』に対する差別―抹殺の攻撃を許さず闘いぬいていきます。合理化や大失業の攻撃、朝鮮反革命戦争とファシズムへの突撃と断固対決し、共に政府打倒へと進撃していきましょう」と訴えた。

 一時間の集会を終えいよいよデモに出発だ。デモ隊は国立精神・神経医療研究センターに向けて進撃し、怒りも新たに「国立精神・神経医療研究センターを解体するぞ!」「『心神喪失者等医療観察法』粉砕!」「戦時『障害者』抹殺攻撃粉砕!」とシュプレヒコールを叩きつける。小平市の住民をはじめ労働者人民の注目を集め、戦闘的デモを闘いぬいた部隊は、本闘争を力に、「心神喪失者等医療観察法」撤廃に向けた闘いを強めるとともに、7月22日「入院患者差別・虐殺28ヵ年糾弾! 報徳会宇都宮病院糾弾! 現地闘争」に決起することを確認して闘争を終えていった。