御茶ノ水駅頭で情宣決起
6月8日、反戦・全学連の部隊は、陸上自衛隊施設部隊の「国連平和維持活動」(PKO)―南スーダン第2次派兵阻止の情宣決起を闘った。
午前10時、ヘルメットとゼッケンを装着した反戦・全学連の部隊が、冒頭シュプレヒコールを挙げる。「PKO―南スーダン第2次派兵を阻止するぞ」「労働者人民虐殺を許さないぞ」「自衛隊海外派兵を粉砕するぞ」。その後、反戦・全学連の部隊は、アジテーションを開始するとともにビラまき情宣を開始する。情宣決起は道行く労働者人民の注目を集め、ビラは次々に受け取られていった。公安刑事どもや駅職員、さらには「オウム対策」に駆り出された制服警官らが反戦・全学連の情宣行動を監視していたが、一切の情宣妨害を跳ね返し、情宣行動を最後までやりぬいた。最後に、再度シュプレヒコールをあげて、情宣決起を終了した。
野田連合政府による第2次派兵の決定は、強引なものであった。かねてからのスーダンと南スーダンとの衝突激化を受け、政府内部からも第2次派兵への疑問が噴出していた。そこで4月24日、防衛相・田中が南スーダンに調査団を送り込むことを発表。5月10日、野田連合政府は、南スーダン情勢に関する防衛省調査団からの報告を受けた。調査団の報告は「現時点では南北間の軍事的緊張は限定的で、全面的な戦争に突入する可能性は極めて低い」「自衛隊の活動への影響は特にない」などと言いなすものであった。はじめから「派兵すべし」の結論ありきの調査活動であったのだ。そして、野田連合政府はシナリオ通りに陸自施設部隊の予定通りの派兵を強引に決定した。翌5月11日、防衛相・田中は自衛隊に対して、南スーダンのPKOへの陸自施設部隊の第2次派兵の「行動命令」を発した。これを受けて防衛省は「南スーダン派遣施設隊」を編成。第2次派兵部隊は第11旅団(北海道・真駒内)など陸自・北部方面隊を主力とする部隊である。5月25日、第11旅団は真駒内駐屯地において、第2次派兵部隊の「紹介行事」を行ない、防衛副大臣・渡辺らが訓示している。そして、防衛省が5月31日に要項を発表。翌6月1日に先発隊23人が成田空港から民間機で出撃。6月9日に本隊の第1波約150人、6月22日に第2波約110人の出撃をうちだしている。総勢約330人からなる部隊が、第1次部隊と交代して南スーダンに布陣することになる。
自衛隊の南スーダン出兵を許すな
昨年7月にスーダンから、南スーダンが分離・独立した。国連はただちに南スーダンにおけるPKOとして国連南スーダン派遣団(UNMISS)を設置。任期は一年だが、いくらでも延長可能である。UNMISSは北側のスーダンに対する「和平監視」に加え、南スーダンの「治安維持」に当たることを「任務」としている。すなわち、スーダンと南スーダンとの衝突に身構え、南スーダンを防衛して「国作り」を進める部隊として活動するPKOである。
野田連合政府は今年1月11日、中央即応連隊(宇都宮駐屯地)を主軸とする、約330人からなる第1次派兵を行なった。民主党内には「PKO協力法」が定める「参加5原則」の武器使用基準の緩和を求める声もあったが、この南スーダン派兵については現行法の枠内での派兵とした。しかし、同時に野田連合政府は、「武器輸出3原則」をさらに緩和し、国際共同開発・共同生産への参加と人道目的での装備品供与の解禁も決定している。
第1次部隊は「比較的治安が安定している」とされる首都ジュバに宿営地を設営した。そして現在、第2次以降の本格派兵のための条件整備を行なうとともに、現地で道路や橋梁などの社会インフラ整備を行なうとされる。施設部隊の活動に必要な機材はジュバから約2000キロ離れたケニアの港湾都市・モンバサや、国連の物資集積基地があるウガンダのエンテベから輸送している。
日帝は、「南スーダンの国づくりに貢献する」として、石油権益などを確保するための活動に踏み込んでいる。PKOと連動した政府開発援助(ODA)の活用を「車の両輪」に据え、医療・教育施設の建設に加え行政や衛生、農業といった分野で非政府組織(NGO)とも連携した人材育成・技術協力も進め国家の基本的機能の構築を支援するという。日帝は自衛隊派兵をテコに、南スーダンに食い込み、権益を確保しようというのだ。
また、部隊の輸送や補給路を確保するため、海上自衛隊の輸送機なども動員し、陸・海・空の輸送手段を組みあわせた運搬が計画されている。国連補給基地があるウガンダのエンテベやケニアの首都ナイロビに派兵することも実施計画に盛り込まれている。
昨年11月28日には、南スーダンPKOの司令部要員として9月末までの期限で陸上自衛官2人がジュバのUNMISS司令部に派兵された。さらに、第2次の司令部派兵も行なわれ、5月26日には交代要員の2人が出国している。
野田連合政府がどう言いくるめようとも、南スーダンではいつ戦闘が激化してもおかしくない状況である。自衛隊はそんな南スーダン現地で、「国益」のために南スーダンを防衛し、帝国主義支配に抵抗する労働者人民に銃口を向ける軍事展開を行なっているのだ。
中東―アラブ諸国労働者人民虐殺を許すな
そもそもスーダン自身、帝国主義のアフリカ植民地分割支配の結果、英帝の植民地として振り分けられた地域である。独立後も内戦は絶えず、1983年以降はイスラム原理主義の強いスーダン北部とキリスト教徒の多い南スーダンとの対立が続いている。さらに、南スーダンは独立して以降、イスラエル・シオニストとの接近が指摘されており、周辺のイスラム原理主義勢力との対立の激化は必至である。しかも、南スーダンでは石油が獲れることから、スーダンとの石油権益争奪戦も激化している。
昨年7月の独立後も南スーダンでは、スーダンとの間での国家債務の配分や国境の画定、石油収益の配分などをめぐる問題が決着していない。そして、南スーダン北部では難民キャンプへの空爆や武装勢力との戦闘が頻発している。とりわけ、国境付近の油田地帯・アビエイ地区をめぐる争奪戦が激しさを増している。4月に入って産油地のヘグリグを南スーダンが一時的に制圧して軍事的緊張が高まった。4月18日にはスーダン大統領・バシルが、「我々の目標は、南スーダン市民を『スーダン人民解放運動』(SPLM)から解放することだ」とまで宣言している。国連安保理が仲介に入り、国連安保理は、5月2日には両者の衝突の即時停止を求める内容を盛り込んだ決議案を全会一致で採択した。しかし、翌3日には早速スーダン軍が国境付近を空爆している。5月29日、国境紛争をめぐる「和平交渉」が開始されてはいるが、どう状況が転がるか、わかったものではない。いつ戦闘が激化して首都ジュバに及び、自衛隊が労働者人民を虐殺することになってもおかしくないのだ。
陸自施設部隊のPKO―自衛隊南スーダン第二次派兵を阻止しよう。自衛隊海外派兵を粉砕し、自衛隊の即時撤退をかちとろう。われわれは自衛官に、出兵を拒否するよう訴えるものである。
パレスチナをはじめとする中東―アラブ諸国で、大衆決起が爆発を続けている。中東労働者人民の怒りの矛先は、ソマリアだけでなく南スーダン派兵にも踏み込み中東反革命支配に参画する日帝にも向けられていることを、肝に銘じなければならない。自衛隊による中東―アラブ諸国労働者人民虐殺を許してはならない。
闘う全世界労働者人民と連帯し、日帝足下から革命的反戦闘争の爆発を巻き起こし、戦争遂行の野田連合政府打倒へ進撃しよう。 |