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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

5・23「パナソニック包囲デモ」を闘いぬく 〈大阪〉 (2010号1面)

京橋公園での集会

 5月23日、「吉岡さんをパナソニックの職場に戻し、人権侵害・不当な雇い止めをなくす会(吉岡会)」の呼びかけで、「パナソニック・大企業の大量解雇許すな! 新自由主義的労働法制全面改悪阻止! 5・23パナソニック包囲デモ」が闘われた。「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」も結集し、ともに闘いぬいた。

 午後6時半、京橋駅の間近にある京橋公園で集会が開始される。まず、パナソニックPDP争議当該である吉岡力氏が発言に立ち、「6月19日、中央労働委員会で審問が行なわれます。怒りを徹底的にぶつけていきたいと思います。パナソニックの労働者の人権を無視した経営のあり方に対して、本日の行動で追及していきたいと思います」と訴えた。「吉岡会」共同代表の田中氏は、「6月19日、中労委で審問が開始される。前回の4月19日の調査では、証人採用するかどうかが一つの大きな問題であったが、甲南大学の武井寛教授が意見書で不当労働行為の継続性ということを強く主張してくれた結果、審問が決定した。この間、パナソニックPDPが吉岡さんと組合をいかに排除してきたのか、その継続性を中労委で立証していく」「パナソニックは、経営が非常に厳しい状況をむかえ再建を迫られている。パナソニックは、補助金を受け地域から雇用するとしてきたが、経営が悪くなるとリストラを進めてきた。吉岡さんただ一人の問題ではない。パナソニックの反社会的な行為と闘っていくために、吉岡争議は非常に意義がある」と訴えた。「吉岡会」共同代表で「なかまユニオン」委員長の井手窪氏は、「大阪府労働委員会は、労働委員会としての存在意義を放棄し、『解雇されてから1年以上経っている』と、非常に形式的な理由だけで門前払いをした。中労委では、実質審議をきちんとやっていく」「パナソニックは、吉岡君と『なかまユニオン』の要求に対してずっと拒否をしてきた。さまざまな妨害行為を行なってきた。この間ずっと、パナソニックの不当労働行為が継続している。パナソニックが吉岡君を職場に戻さないこと、労働組合の団交要求を拒否していること、このことについて、中労委で判断させていく。全力で取り組みたい」と決意を明らかにした。次に、参加団体の紹介ということで、吉岡氏が「いつも集会・デモに参加してくれている『釜ヶ崎労働者の会』のみなさん。本当にいつも参加していただいてありがとうございます」と紹介した。「なかまユニオン」と関西合同労組も紹介された。吉岡氏は続けて、「『非正規雇用』の問題、労働法改悪による労働条件の問題、『非正規雇用』労働者の権利がどんどん改悪されている。パナソニックPDPの問題というのは、労働者全体の問題と思っております。労働者の権利を守るということで、中労委で徹底的に闘っていきたい。今後ともご協力よろしくお願いします」と訴えた。日本基礎技術争議当該の本田福蔵氏からデモ中のシュプレヒコールの確認があり、集会の最後に、「5月25日、大阪市議会で『教育基本条例』『職員基本条例』が、『大阪維新の会』、自民党、公明党の多数で可決強行されようとしている。『日の丸』『君が代』を強制し、人権を無視し、処分していくことを絶対に許さない闘いをしていきたい」として、5・24大阪市議会採決直前集会への参加が呼びかけられた。

「ツイン21・OBPパナソニックタワー」へ向けたデモ

 午後7時、大阪ビジネスパーク(OBP)にあるパナソニックの象徴=「ツイン21・OBPパナソニックタワー」へ向け、「パナソニックは首切りやめろ! 吉岡君を職場に戻せ!」の横断幕を掲げ、デモが開始される。「パナソニックは赤字の責任を取れ!」「大坪社長の会長就任を許さんぞ!」「大坪社長はパナソニックから立ち去れ!」「大量首切りを許さないぞ!」「吉岡君を今すぐ職場に戻せ!」。デモ隊は怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。デモ行進中に吉岡氏は、「最高裁は、パナソニックが私に行なった一連の行為に対して、『報復の不法行為である、人権侵害である』と認定しました。にもかかわらず、パナソニックは、私に謝罪しておらず、職場に戻していません」「大きく報道されていますが、パナソニックは、7800億円の赤字を出し、数万人の社員の首切りをしました。パナソニックは、私の問題についても、まったく解決しようとしていません。パナソニックがまともな経営をしていくためにも、私の問題を解決しなければなりません」「6月19日、中労委での審問が行なわれることになりました。中労委闘争では、人権侵害の問題を徹底的に追及し、事実関係を明らかにしていきたい」「ぜひとも本日のパナソニック包囲デモに注目し、私たちの行動をご理解していただきたい」と訴えた。

 デモ終了後、大阪市大正区の会社に10年務め、パワハラを受け、組合を作ったら不当にも解雇され、毎朝大正駅に立ち会社への抗議行動をして闘っている女性労働者の闘いへの支援要請が本人からあった。最後に吉岡氏が、「すべての労働者の権利を守るため、パナソニックで働いている人の権利を守るため、そして、僕の職場復帰を目指して、ここに集まったみんな、団結してガンバロー!」でこの日の闘いを締めくくった。

 パナソニックは、吉岡力氏をはじめ多くの労働者を「偽装請負」状態にして劣悪な労働条件でコキ使い、膨大な利益を上げてきた。吉岡氏が組合に加入し大阪労働局に「偽装請負」を告発したところ、パナソニックは吉岡氏を元の職場から排除し真っ黒なテントで隔離し「みせしめ労働」をさせたあげく、2006年1月、5ヵ月で「雇い止め解雇」を強行した。最高裁は2009年12月、吉岡氏とパナソニックとの間にあった「黙示の労働契約」を認めず、吉岡氏とパナソニックの雇用関係を認めた大阪高裁判決を覆し、雇用関係を認めない不当判決を下した。しかし、その最高裁ですら、吉岡氏の内部告発に対しパナソニックが報復として行なった黒テントでの「みせしめ労働」と「雇い止め解雇」を「不法行為」と認定し、損害賠償を認めざるをえなかった。にもかかわらず、いまだにパナソニックは「不法行為」の責任を取らず、吉岡氏を職場に戻していない。

 吉岡氏は、大阪府労働委員会に「不法行為」である不当労働行為の「救済申立」を行なってきたが、府労委は、パナソニック出身者が会長を務める会社の社外監査役をしていた井上隆彦を公益委員に据えたうえで、2011年5月、不当にも理由を述べることもなく、「救済申立」を却下・棄却し、パナソニックを擁護する極めて不当な命令を出した。これに対して吉岡氏は、事実上の利害関係者である井上を公益委員に任命した大阪府知事と、井上を公益委員に推薦した大阪弁護士会に対する責任追及など、井上を担当公益委員から降板させる闘いで反撃し、さらに、中央労働委員会での闘争を闘いぬいている。

 闘う「非正規雇用」労働者と連帯し、「労働者派遣法」撤廃―「直接雇用」「無期限雇用」をかちとれ。「労働契約法」改悪―「有期労働契約」法制化攻撃を粉砕せよ。