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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

進撃する全学連
全国学園で新歓闘争に大勝利 (1017号4面)

首都圏・北関東

首都圏・北関東での新歓闘争を闘う

 全学連に結集する学生は、2012年の新歓闘争を、大飯原発再稼働阻止の闘いに一点集中して革命的学生を組織し、今中哲二氏を招いての5・6全学連新入生歓迎講演集会へ登りつめていく闘いとして貫徹した。

 全学連が新歓闘争に突入した4月、福島第一原発の大事故以降も稼働していた最後の原発である北海道電力・泊原発三号機が定期点検に入り、日本の全ての原発が止まる日が目前に迫っていた。政府は「全機停止」の事態をなんとしても避けようとして、関西電力・大飯原発三号機・四号機の再稼働に躍起になっていた。全ての原発が停止し、「原発なしでもやっていける」事がばれたら、核武装のために原発にこだわってきた事が顕になるからだ。

 強引に原発を再稼働させようとする野田政府に対して、人民の怒りが渦巻いている。全学連はまさに今が日帝の核武装に向けた原子力政策に風穴を開ける好機と判断し、大飯原発に対する現地でのデモに決起するとともに、大飯原発の再稼働を阻止し、核武装につながる原子力政策に反対し、全ての原発の廃止を求める全国署名活動を展開した。

 全学連に結集する首都圏の学生も署名活動を行ない、今中氏を招いての新入生歓迎講演集会への結集を呼びかけ、革命的学生の組織化に着手する。明治大学社会思想研究会、駒澤大学社会福祉研究会、千葉大学医療問題研究会、宇都宮大学新聞会は、それぞれの大学のみならず、首都圏の大学で、あるいは街頭での署名活動を連日にわたって繰り広げる。

 「私、やる!」と言って初めて署名するという学生が駆け寄ってくる。「探したんだ、どこで署名をやっているのかわからなかった」「マスコミは嘘ばっかりだ」「原発をゼロにするため、頑張ってくれ」とカンパを置いていく人が続出する。足を止めて署名する学生は、情宣隊と討論して全学連パンフレットを購入していく。

 この状況におののいたのが公安警察だ。連日のように情宣隊について回り、監視し、妨害を試みる。そうしないと、革命的学生運動の巨大な奔流が、堰を切ったように押し寄せる事が目に見えているからだ。とりわけ明治大学における革命的学生運動の組織化に対する妨害は執拗に行なわれた。公安警察は私服刑事を、明大当局はファシストガードマンにスーツを着せて、京王線明大前駅に張り付かせて署名活動を監視する。公安刑事はわれわれと討論し署名した学生をつけまわしては「どんなことを話したのか」「あいつらは殺人者集団で、爆弾を作っている」などと話しかけ名前を聞き出そうとする。明大当局お抱えのファシストガードマンは活動を終えた情宣隊を尾行しようとして、摘発され一蹴される。また、昨年権力と一体となって新聞会つぶしに奔走した宇都宮大学当局は、新聞会による正門前での署名情宣に対してさえ妨害してくる有様だ。

 全学連はこのような敵対を粉砕し、この間蓄積してきた〈戦時下の新たな革命的学生運動〉を組織しぬく力を発揮して、革命的学生の組織化を前進させた。

全学連新入生歓迎講演集会をかちとる

 今中哲二氏、来たる

 全学連中央執行委員会は京都大学原子炉実験所・助教の今中哲二氏を講師に招いての5・6新入生歓迎講演集会を企画し、成功をかちとった。

 今中哲二氏は大学院時代より原子力政策に疑問をもちはじめ、研究者として原子力を進めるためではなく、一貫して「原子力をやめることに役に立つ研究」に従事してきた。そのかたわら、愛媛県・伊方原発一号機の原子炉設置許可取り消しを求めて周辺住民が起こした伊方原発訴訟などを支援してきた人士だ。

 講演集会当日の5月6日は、稼働している原発の最後の一基となった北海道電力・泊原発三号機が定期検査に入ったため、奇しくも「稼働原発ゼロの日」となった。時を得た企画に、「ビラを受け取った」「インターネットで知った」という一般の方も多く参加し会場は満席状態だ。

全学連中央執行委員会があいさつを行なう

 司会からのあいさつと若干の注意事項の説明の後、主催者である全学連中央執行委員会からあいさつが行なわれる。「全学連も、4月に続いて、一昨日の5月4日にも、再稼働阻止を掲げて、現地闘争に取り組み、おおい町でのデモを行なってきました」「こんなにまでして原子力政策にこだわるのは核武装のためです」「原発の再稼働を阻止する取り組み、原発の新設・増設を許さない取り組み、核燃料サイクル計画の完成を許さない闘いが不可欠です」とし、「すべての原発の廃止、原子力政策の廃止の闘い。中東反革命戦争のさらなる拡大と、自衛隊の海外派兵を許さない闘い。日・米・韓による新たな朝鮮戦争を許さない闘い。安保の強化に反対し名護新基地の建設を阻止していく闘い」への結集を新入生に訴える。

今中哲二氏、演壇に立つ

 司会が簡単に講師の紹介を行なったのち、今中氏がさっそうと演壇に立つ。氏は、ざっくばらんに聴衆に話しかけ、講演集会に集まった一人一人をひきつける。冒頭、自らが「原発をなくすための研究」をするに至る経緯を学生時代の体験から明らかにするため、1969年以降の学生運動の話をして会場を盛り上げる。そして「お金持ちになるということは、人から物を奪う権利を持つことだ、世の中で偉くなるということは人を踏みつける権利を持つことだ、ということを大学、大学院を通じて私自身身につけたというか、身につけざるを得なかった」と語り、自らの生き様を明らかにしていく。

 福島第一原発の事故に関して、「地震・津波がきっかけとなって起きたことは確かなんですが、ちょっと考えたら、それは簡単に防げたはずなんです。40年、50年前から、『原発は安全です。安全です』とずっと言ってきた。原発が危ないと思ってはいけない。地震や津波が危ないとは言ってはいけないということで、こういう意見は全部潰して、そういうことを言う人は全部飛ばして、結果この福島事故に繋がったんだと私は確信しています」。

 福島の放射能汚染に関して、「われわれみたいな者でもみだりに入っちゃあかんというのを超える値が、この飯館村、原発から30キロ離れたところに忽然と出てました。驚いたことにまだ人が普通に住んでまして、こんなんありかという状態で、びっくりしました。大変な汚染があることがわかっても結局何の警告も出されなかった。まったく不思議なことが起きました」。

 こうまでして日帝が核政策を進める根拠を、「日本国としてはいつでもその気になったら原爆が出来るような技術的能力を備えておくこと。核燃料サイクルと核オプションというのは、表では言いませんけれども裏では密接に結びついている。泊の原発が停まって日本の原発が全部停まる、日本の原子力技術がなくなる、衰退する。そうしたらこの技術がなくなってもいいのかという脅しが出てくることはまず間違いないだろうと私は思ってます」。

 そして個人的意見として、「1970年代くらいから衣食住基本的なところは足りたと思います。何が大事なのかをもう一遍改めて考えて、これから原子力のない時代をどう生きていくのかということが課題だろうと思います」と結ぶ。

活発な質疑応答

 講演を終了した今中氏に対して盛大な拍手が送られた後、質疑応答に入る。昨年政府が行なった「収束宣言」に関する質問に今中氏は、「野田さんが言った収束は、セレモニーですよね。何の意味もない話だと思います。汚染された水を汲み上げて、外にある浄化装置で放射能を浄化してまた入れるという、賽の河原の石積みみたいな作業をずっとやっていてとても収束しているという感じでもない。チェルノブイリの『石棺』みたいな形でちゃんと覆いを入れて中のボロボロになったものを取り出しますという計画で30年。だけどそんなものまさに絵に描いたスケジュールだから、どうなるかわからない。でも、大変な作業がづっと続くことは確かだと思います」。日帝の原子力政策の目的が核武装であること、日帝が「夏の電力不足」というペテンを弄して原発の再稼働を強行しようとしていることが明らかになった。また、多くの人が放射能による晩発性の健康被害に関する誠実で正確な情報を切実に求めている。「除染や表土剥ぎの効果はあるのか」「とりわけ若年層に対する健康被害はどうなのか」「ひまわりの里にする計画があるが効果はあるのか」といった質問が、自身や関係者が現地福島に住んでいる集会参加者からなされた。

稲盛秀司氏から発言を受ける

 講演集会の締めは、全国労働組合運動交流会の結成に向けて奮闘しているヤンマー争議の当該、稲盛秀司氏からの発言だ。稲盛氏は「琵琶湖ユニオンという労働組合を結成して、私と共に500人の非正規の労働者の半分が解雇されたという争議を闘っています」「私自身が大阪で仕事をしていたときに、大飯原発そして九州の川内原発の燃料棒集合体の上下ノズルという部品の試作に携わった。この試作を作るに当たって一番最初はステンレスの塊から全部部品を削りだして作っていました。こういう経緯もあるので、私は大飯原発の再稼働なんぞは絶対に許さない」「今の学生さんというのはインターネットで沢山の情報を持っていると思います。その情報を生かすも殺すも、自分の行動次第です。私自身はヤンマーという企業から解雇されたいわば失業者です。その失業者でも、自分の経験を基におおい町に働きかけをすることで一つの原発が停まった。これは事実です。自分が持っている情報を生かして、そしてそれを行動につなげる。これで初めて、世の中を変えていく第一歩になると私は考えています」と、檄を飛ばす。

 全学連はこの講演集会の成功を力に、新たに結集した新入生と共に、革命的反戦闘争を機軸に、2012年階級攻防に総決起する決意だ。