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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

5・4大飯原発再稼働阻止第2波現地闘争に決起 (1016号5面)

 大飯原発に実力進撃するデモ

 5月4日、反戦青年委員会と全学連は、福井県おおい町にある関西電力・大飯原発三、四号機の再稼働を阻止すべく、現地闘争に起ち上がった。4月7日の現地闘争に続く第2波めの闘いだ。「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」の仲間も決起、また、ヤンマー争議当該で「びわ湖ユニオン」書記長の稲森秀司氏もおおい町現地にかけつけ、現地闘争をともに闘いぬいた。

 午後12時45分、大飯原発の近くにある「はまかぜ交流センター」前に青ヘル部隊が布陣する。デモ出発に先立って、全学連の同志が、「反核燃闘争を闘う仲間」からの連帯アピール(別掲)の紹介と、現地闘争の基調提起を行なう。

 午後1時より、大飯原発再稼働を阻止すべく、デモが開始される。嵐のような暴風雨の中、デモ隊は「大飯原発再稼働阻止!」と大書した横断幕を先頭に、原発労働者のための民宿が立ち並んでいる小浜湾の沿岸を通り、旗竿を手に大飯原発に向け進撃する。地元住民は窓を開け、デモ隊に注目する。大島半島の北端に設置されている大飯原発の入口はトンネルになっており、関係者以外は立ち入りが禁止されている。トンネルの前には、デモ隊に身構えたガードマンが配置され、阻止線が張られている。青ヘル部隊は、「大飯原発の再稼働を阻止するぞ」「原発労働者はストライキで闘おう」「すべての原発の廃止をかちとるぞ」「核燃料サイクル計画を粉砕するぞ」「日帝の核武装を阻止するぞ」と怒りのシュプレヒコールを思う存分叩きつけ、戦闘的デモを貫徹した。デモ終了後、稲森秀司氏より連帯発言をうけた。稲森氏は「大飯原発と玄海原発の燃料棒の上部ノズルをつくっていた。大飯原発で使われている燃料棒の上部ノズルが、関西電力のコストダウンによって強度が落ちたのではないかという疑問を持ち、おおい町企画課と昨年5月からメールでやり取りしてきた。昨年7月におおい町に関西電力の説明がウソであると説明に行った」「ヤンマー争議勝利にむけて闘う。みなさんと連帯してともに闘います」と発言し、全体で確認していった。

 闘う部隊は、4・7―5・4の二波にわたる現地闘争を貫徹し、あらためて、大飯原発の再稼働を阻止しすべての原発を廃止していくこと、日帝の核武装を阻止していく闘いをさらに強めていく決意をうち固め、現地闘争を終えていった。

 デモを闘いぬいた全学連の同志たちは、おおい町から小浜市に移動し、JR小浜駅頭で、大飯原発の再稼働に反対する署名活動とビラまき情宣を闘いぬいた。「がんばってください」「もっと闘いを広げてください」と、署名活動への共感の声が寄せられた。

大飯原発の再稼働を阻止し、すべての原発の廃止かちとれ

 5月5日、北海道電力泊原発三号機が定期点検入りのため停止し、国内の原発50基すべてが停止した。

 4・7―5・4現地闘争の地平を拡大し、大飯原発をはじめとした原発の再稼働を許さず、すべての原発の廃止をかちとっていかなければならない。

 経済産業省原子力安全・保安院は今年2月、関西電力が提出した大飯原発三、四号機の再稼働に必要なストレステスト(耐性評価)の一次評価結果について、「妥当」とする審査書をとりまとめた。そして、原子力安全委員会は翌3月、この「結果」について「妥当」との判断を下した。これを受けて、首相・野田は、4月に入ってから関係閣僚会議を開催し、「原発の安全性を確認する新たな判断基準」を最終決定した。この「新たな判断基準」を受けて、経産省は、関西電力に対して大飯原発三、四号機の「安全性向上計画(工程表)」の策定を指示し、関西電力社長・八木は4月9日、経産相・枝野に「工程表」を提出した。そして、4月13日に開催された6回目の関係閣僚会議で、大飯原発の再稼働は「妥当」との判断が下された。この決定を受けて、翌14日、経産相・枝野は福井現地に乗り込み、福井県知事・西川とおおい町長・時岡との会談を行なった。枝野は、福井県知事・西川に対し、「大飯原発三、四号機の2基は政府が示した新たな安全基準を満たし、安全性は確保されている」として、電力需給面での必要性も挙げて「ぜひ地元の理解をいただきたい」と大飯原発再稼働に協力するよう要求した。

 福井県原子力安全専門委員会(委員長は福井大名誉教授・中川英之)は、4月16日より政府の「新たな判断基準」について検証作業に入り、5月8日、政府の大飯原発再稼働の方針を追認している。

 おおい町は4月26日に住民説明会を行なった。3日前の23日から会場のおおい町総合運動公園を立ち入り禁止にして戒厳体制下においての住民説明会であった。おおい町に隣接する小浜市でも5月1日、小浜市主催で原子力発電小浜市環境安全対策協議会(環安協)の委員らと小浜市議対象の説明会が開かれた。いずれの説明会でも、再稼働反対の意見が続出し、大飯原発周辺自治体の再稼働にむけた地元合意形成の目論見は破産した。

 おおい町議会は、5月7日に、地方自治法115条の規定を根拠に、非公開の全員協議会を開催し、また、福井県議会は5月9日に全員協議会を開催し、大飯原発再稼働早期受け入れを決定しようとしている。

 福井県知事・西川は5月10日、内閣府副大臣・松下忠洋と県庁で会談し、大飯原発三、四号機の再稼働をはじめとする原子力行政に関し「国、政府としての強い体制、姿勢、決意のもとに事に当たっていただきたい」と発言し、また、原子力規制庁の早期発足も要求した。

 4月26日、おおい町での住民説明会に乗り込んだ経済産業副大臣・柳沢光美は、おおい町議会に対して、「電源三法交付金」について、停止していても設備能力の八割分を交付する「みなし規定」を適用し、交付額を一定程度保証するとした。「電源三法交付金」について、野田政府は原発が再稼働しない場合でも減額しない方針を決めた。これまで政府は、遠隔・過疎・財政難に苦しむ地域に狙いをつけ、金で釣って賛成派を組織し、住民を分断し、暴力で反対運動を抑え込み、そこに原発を押しつけてきた。立地自治体には「電源三法」(「電源開発促進税法」、「特別会計に関する法律」、「発電用施設周辺地域整備法」)によって、莫大な交付金が支給されるシステムを作り上げてきた。2010年度の場合で見れば、標準的な原発(130万キロワット)一基に対して、運転開始前の10年間に約450億円、開始後35年間に約1240億円もの交付金が払われている。立地自治体にはさらに、電力会社からの固定資産税収入も入り、県レベルでも「核燃料税」を課して収入にしている自治体が多くある。その結果、こうした「原発マネー」がなければ自治体の財政が成り立たないという原発依存体質が作られてきた。自治体の首長や幹部、議会多数派のほとんどが、この体質にどっぷりと浸かり「旨味」を吸ってきた。福井県おおい町の本年度当初予算も、収入の58パーセントが「電源三法交付金」によるものだ。福井県地元のブルジョアジーどもは、「安全」は二の次で、「原発マネー」にありつくために大飯原発の再稼働を受け入れようとしているのである。

 大飯原発再稼働を阻止することができるのは労働者人民の闘いだけだ。野田政府は、四国電力・伊方原発、東京電力・柏崎刈羽原発の再稼働も狙っている。柏崎刈羽原発については、東京電力が政府の認定を受けた総合特別事業計画の中で、再稼働スケジュールは、早い順から一号機が2013年4月、七号機が同5月、五号機が同10月、六号機が同12月、三号機が2014年7月、四号機が2015年2月、二号機が同9月となっている。すべての原発の再稼働を阻止し、原発の廃止をかちとっていかなければならない。

原発労働者のストライキを組織化せよ

 大飯原発再稼働阻止現地闘争の意義は、労働者人民の実力阻止闘争を組織化し、地元住民の闘いへの決起を組織化することにある。そしてなによりも、大飯原発労働者みずからが再稼働阻止のストライキに決起することを呼びかけ、組織化することにある。

 現在、電気産業労働者は、そのほとんどが「電力総連」に組織化されている。「電力総連」は、福島第一原発事故後の昨年9月の定期大会で、「原子力はベースロード電源(電力の安定供給のため、優先して運転される電源)だ。代替はない」「原子力は、現時点では電力の安定供給に必要な電源だ」と主張した。さらに、傘下組合からは、「原発が停止・廃止されると雇用がなくなる」(北陸電力総連)、「(原発推進など)方針上、文字にできないことはあっても、原子力を維持する立場は明確にして取り組んで欲しい」(東北電力総連)などの発言が相次ぎ、再稼働推進、原子力政策維持の一色で染められた。まさに、帝国主義労働運動の醜悪な姿を満天下にさらしたのだ。

 われわれは、この醜悪な電気産業労働運動を突破しなければならない。そのためにも、戦後労働運動の歴史のなかで生産管理闘争や停電ストを闘い、1978年には中国電力資本による豊北原発建設計画を地元住民との共闘で中止に追い込んだ、「日本電気産業労働組合」(「電産」)の闘いの地平を対象化しなければならない。1956年に「電産」は解散したが、「電産」中国地方本部は組織率一割の少数派ではあったが第一組合として闘い続け、1978年には豊北原発建設計画の中止決定をかちとり、加盟する「全電力」が「電力総連」に統合される1996年まで闘い続けたのである。中国電力が所有する原発が全国の電力会社のなかで一番少ないのは、「電産中国」の闘いがあったからだ。このような闘いの地平を発展させなければならない。

 原発労働者の大半は下請け労働者である。原子力安全基盤機構によれば、2009年度に全国の原発で働いた電力会社員はのべ約9000人、下請け労働者は7万4000人で、1人あたり平均被曝線量は電力会社員0・3ミリシーベルトに対し下請け労働者は1・1ミリシーベルト、つまり被曝総量の99パーセント以上を下請け労働者が浴びているのだ。これは、原子力発電が開始された1970年代から変わっていない。

 東京電力においては、1960年代の配電工事部門の請負化をきっかけに下請け化が進んだ。1960年代半ばまでは、柱上変圧器や建柱作業も東電社員が直接施工していたが、感電死など社員の労災が問題視され請負化が進んだ。原発労働に関しても当時、東電労組(「電力総連」傘下)は「被曝量が多い作業は請負化しろ」と要求している。危険な被曝作業は下請け労働者に押しつけろという「電力総連」を解体しなければならない。

 一方、解雇撤回争議を闘う「非正規雇用」労働者は、原発での危険な被曝作業に日雇い労働者や派遣労働者が低賃金と無補償で使い捨てにされていることに対して怒り、闘いを開始している。われわれはこの闘いと結びつき、階級的革命的労働運動の前進で日帝の原子力政策を粉砕しなければならない。

日帝の核武装を阻止せよ

 全原発停止という事態に対して、ブルジョアジーどもによる「電力不足」キャンペーンが開始されている。

 5月10日に開かれた政府の「需給検証委員会」(委員長は内閣府副大臣・石田勝之)での試算では、原発停止が続き2010年並みの猛暑になった場合、全国では0・1パーセントの供給余力しかなく、関西電力管内は一四・九パーセントの電力不足が発生するとなっている。この不足分は、大飯原発三、四号機(出力計236万キロワット)を再稼働すれば、埋め合わせることができるという、実に手前勝手な「試算」である。政府の新たな試算では、大飯原発再稼働による揚水発電量を210万キロワット上乗せ、大口需要家向け「随時調整契約制度」の節電効果を加えると、関西電力管内の供給は需要を1万キロワット上回るという。「随時調整」を考慮しなければ0・9パーセント不足するという。今年1月に明らかになった政府の試算では、電力は最大6パーセントの余力があるとしている。原発のために、これまで無理やり使用を抑え込んできた火力発電所などの設備をきちんと使えば、原発なしでも十分に電力は足りるのだ。「電力不足」キャンペーンは、原発再稼働が必要だと世論を誘導するためのブルジョアジーどもによる汚いキャンペーンだ。

 これほどまでに「電力不足」がキャンペーンされているなかで、「今夏の電力需給が全国で最も逼迫する」とされる関西電力が「オール電化住宅」の販売促進を続けていることが明らかになっている。「オール電化住宅」は、電力会社が原発推進と一体となって推し進めているものである。関西電力は昨年3月の東北・関東大震災と福島第一原発事故以後、オール電化のテレビCMは自粛したが、2011年度は関西電力管内でオール電化住宅が約7万戸増加し、累計で全体の約一割にあたる94万戸になった。東京電力は昨年の原発事故直後にオール電化住宅の新規営業を中止している。

 また、全原発の運転停止で、電力会社九社の2013年3月期の最終赤字は前期比1・8倍の2・7兆円にもなるというキャンペーンも行なわれている。これも原発推進のための悪質なデマである。全国九電力会社の公表資料をもとに運転実績にもとづいて電源別の発電原価を計算すると、1989年度から1998年度の10年間の1キロワット時あたりの平均単価は、水力9・62円、火力9・31円、原子力8・71円だが、原子力は原発から出る高レベル放射性廃棄物の処理や原発解体など国が算出している将来コストを加えると、10・26〜10・55円となる。原発の電気が安いというのは真っ赤なウソなのであり、しかも原発の発電コストには、福島第一原発のような大事故にともなう莫大な補償金は一切計上されていない。福島第一原発の事故で、政府は東京電力に対して1兆7000億円の補償費用の支援を決定しているが、これらの金の出どころは労働者人民から搾り取った税金である。

 日帝は、米帝(104基)、仏帝(58基)に次ぐ「世界第3位の原発大国」を自負してきたのだが、それが「世界有数の地震大国」の上に築かれていることの危うさは、すでに現実が余すところなく示している。日帝がそんな危険を承知の上であえて「安全だ、クリーンだ」と強弁して原発建設を推進してきたのは、そして労働者人民に塗炭の苦しみを強いる大惨事を経験した今もなお原発に固執するのは、すべて核武装のためだ。核兵器開発のために蓄積してきた材料と技術、そして「原子力の平和利用」という名の隠れ蓑を手放したくないからだ。

 日帝は、約45トンものプルトニウムを保有している。世界中には約530トンのプルトニウムがあるとされ、ロシア・アメリカ・イギリス・フランスに次ぐ第五位の保有量である。6位のドイツのプルトニウム保有量は5トンであり、日帝のプルトニウム保有量は核保有国並である。イランや朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の比ではない。

 「核製造の経済的・技術的潜在能力は常に保持する」「最小限度なら核保有は憲法上問題ない」など、政治家・官僚たちの核武装発言は後を絶たない。東京都知事の石原慎太郎も、大阪市長の橋下徹も核武装論者である。原発輸出や、上関原発、島根原発三号機の工事着工・稼働など、破綻した原子力政策にこの期に及んでもしがみつこうとするのは、核武装のためだ。決して許すことはできない。

 現在停止中の原発の再稼働を阻止する闘いと同時に、原発の新設・増設を阻止する闘いに起ち上がらねばならない。中国電力・島根原発三号機、Jパワー(電源開発)・大間原発、東京電力・東通原発一号機の三機の建設を阻止せよ。中国電力・上関原発一号機の着工を阻止せよ。

 再稼働・新設・増設を阻止すると同時に、核燃料サイクル計画の完成を阻止し、核燃料サイクル基地を解体しなければならない。核燃料サイクルの中核施設である日本原燃・六ヶ所再処理工場(青森県六ヶ所村)の「2012年完成」に向けた攻撃が加速している。工事完成期日は、これまで相次ぐ事故などで一八回も延期されてきたのだが、いよいよ完成―本格操業に向かって最後の突撃に入っているのだ。試験運転―本格操業を阻止せよ。高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃止をかちとれ。「プルサーマル計画」推進を阻止せよ。

 核武装阻止の革命的反戦闘争と一つのものとして、反原発・反核燃闘争の大爆発をかちとれ。

「反核燃闘争を闘う仲間」からの連帯アピール

 5・4大飯原発再稼働阻止闘争を闘いぬいている仲間の皆さん。核政策の中心、核燃料サイクルと闘いぬいている青森から連帯のアピールを送ります。

 明日5月5日、北海道電力泊原発三号機が停止し、国内すべての原発がストップします。野田政府は、大飯原発再稼働の強行を狙っています。おおい町、小浜市と、相次いで国による住民説明会が開かれました。小浜市の説明会では反対意見が多く出され、国による説得は失敗しました。

 私たちが闘っている六ヶ所再処理工場では、1月下旬に再開した高レベルガラス固化体作りは失敗し、現在も停止中です。日本原燃は、6月初めにもガラス固化試験を再開し、10月には試運転を終了し、本操業を始めようとしています。何が何でも核燃を続けようとしているのです。プルトニウムの大量生産、大量保有を進め、核武装を狙っているのです。福島原発事故の後、原発の再稼働にはストレステストが必要とされましたが、六ヶ所核燃施設は、一切の点検、再検討はありません。「原発政策の見直し作業」とは関係なく、再処理工場を稼働させようとしているのです。

 大飯原発の再稼働阻止闘争は、全国の反原発闘争の最前線であり、絶対勝利が求められます。

 私たちは、福井若狭の大飯原発再稼働阻止闘争と連帯し、六ヶ所再処理工場を絶対に稼働させないため全力で闘いぬきます。

 頑張りましょう。ともに勝利しましょう。