
野田政府による「弾道ミサイル破壊措置の行動命令(破壊措置命令)」が発令されて以降、自衛隊はわずか一週間で沖縄本島・宮古島・石垣島の計4ヵ所に地対空誘導弾パトリオット・ミサイル(PAC3)の配備を強行した。日・米両軍の臨戦態勢と自治体の積極的な協力のもとで、沖縄は文字通り戦時下に叩き込まれたのである。こうしたなか4月11日、天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会と沖縄・首里日雇労働組合は、戦時下を切り裂くPAC3実戦運用阻止闘争に起ち上がった。
正午前、青ヘルメットと青ゼッケンで身を固めた部隊が、パレットくもじ前(那覇市)に登場し、ただちにビラ撒きとアジテーションを開始する。「帝国主義はいつでも『正義の戦争』と叫びたてて、労働者人民を戦争に駆り立てていく。殺し、殺されるのはいつもわれわれだ」、「政府は『国民の生命と財産を守る』と言うがデマに過ぎない。国家権力が防衛するのは軍事・政治・経済の中枢機構だけだ。天皇制護持のために『捨て石』にされた沖縄戦を想起すれば明らかだ。沖縄戦の悲劇をくり返してはならない」、「『県』庁舎内にまで自衛隊が配置された。自衛隊の暴走を許さず、戦争遂行体制の形成を粉砕しよう」、「パトリオットミサイルの実戦運用を阻止しよう」、「日・米・韓による朝鮮反革命戦争突撃を粉砕し、日米軍事基地解体・帝国主義軍隊解体で闘おう」、「新たな自衛隊の配備を阻止しよう」、「反北朝鮮―反共・排外主義煽動を粉砕し、反戦・反基地闘争の飛躍をかちとろう」。圧倒的なアジテーションに多くの市民が耳を傾け、「ごくろうさま」と声をかけてビラを受け取った。信号待ちの間にビラの両面を読みこむ姿も数多く見受けられた。 PAC3沖縄配備にともなって、自衛隊が大規模移駐した。民間空港・港湾を使ってミサイルおよび関連物資を持ち込み、沖縄本島の那覇市と南城市にそれぞれ100人、宮古島に250人、石垣島に450人、与那国島に50人など計7市町村において総勢950人もの自衛隊が展開し、臨戦態勢に突入した。航空自衛隊・与座分屯基地に新設されたFPS―5(固定式警戒管制レーダー)の運用も前倒しで開始された。警察庁は宮古と石垣にNBC(核・生物・化学)兵器対応のテロ専門部隊を含む80人を送り込み、住民動向に目を光らせた。「県」や各市町村は次々と「危機管理対策本部」を立ち上げ率先して国に協力した。「県」庁をはじめ各役所・役場には自衛隊が常駐し、「対策本部」会議にまで出席した。政府は自然災害以外では初めて「Jアラート」(全国瞬時警報システム)の使用を決定し、「攻撃対象地域:沖縄県」なる情報を発信する試験放送を実施した。各集落内に設置されている「防災無線」で放送がくり返され、物々しい雰囲気が醸成された。各学校には「発射された場合には屋内へ避難せよ」、「屋外の授業は避けよ」といった通知が送付された。日常の隅々にまでありもしない「脅威」が煽られ、そのもとで「有事法制」に基づく諸対応が発動されたのである。
在沖米軍も動きが慌ただしくなった。普天間基地にはFA18戦闘攻撃機12機が飛来し、嘉手納基地には米空軍が保有する全3機の電子偵察機RC135Sなどが飛来した。韓国各地で3月より強行されている米韓合同機動訓練「フォール・イーグル」と連動しつつ、臨戦態勢をとったのである。
青ヘル部隊は、PAC3配備と自衛隊の大規模移駐の狙いを徹底暴露し、反戦・反基地闘争への決起を呼びかけた。共感は瞬く間に広がった。国家権力がいかに「脅威」を煽ろうとも、沖縄労働者人民はその欺瞞性を見抜き、戦争と軍隊への怒りを燃やし続けていることがはっきりした。約一時間で準備したビラを撒ききり、情宣闘争を終了した。われわれは悪辣な反北朝鮮―反共・排外主義を打ち破り、朝鮮反革命戦争突撃を粉砕する反戦・反基地闘争の飛躍をかけて闘いぬく。韓国労働者人民の闘いと連帯し、沖縄―日本「本土」を貫いて反軍・反基地闘争を強化し、安保粉砕・政府打倒闘争の爆発をかちとろう。 |