高江座り込み弾圧訴訟は、闘う沖縄労働者人民と全国から結集した支援者による高江ヘリパッド建設阻止闘争を抑え込むために仕掛けられた攻撃である。また国家権力が民事訴訟で運動つぶしを図る手法を、今後は全国各地の住民運動に拡大することを狙った攻撃でもある。3・14不当判決を徹底弾劾し、高江ヘリパッド建設実力阻止の闘いを広範に巻き起こしていかねばならない。
3・14判決公判に200人が結集
高江ヘリパッド建設阻止の座り込みは、2007年7月2日より開始された。那覇防衛施設局(同年9月より沖縄防衛局に改組)は座り込む住民にカメラを向けて威嚇しまくり、工事請負業者はなりふり構わず作業強行に踏み込んできた。住民の決起に支援の輪が広がり現場への結集が増えはじめたことに危機感を抱いた沖縄防衛局(局長・真部朗)は、2008年11月、阻止闘争を闘うメンバー15人への「通行妨害禁止」などを求める仮処分を那覇地裁に申し立てた。阻止闘争が建設工事の「妨害」にあたり、「日米安全保障体制の維持=国益を損なう」として早急に座り込みを排除しようとしたのである。15人の中にはインターネットを通じて阻止闘争を訴えた者、さらには八歳の子どもまで含まれていたことに沖縄労働者人民の怒りは沸騰した。国側は批判にさらされ子どもへの申し立てを取り下げたが、裁判では現場攻防と関係ない「ブログ」や「新聞に掲載されたコメント」まで「妨害行為」とみなす許しがたい主張をくり広げた。「証拠」とされた写真は人違いだったりするなど、立証は極めてずさんなものだった。
約1年間の審尋(非公開)の結果、2009年12月那覇地裁は14人中12人については却下、「ヘリパッドいらない住民の会」の共同代表(当時)であった住民2人については「妨害行為」があったと認定し、「通行妨害禁止」の仮処分を決定した。
「住民の会」は仮処分決定の不当性を徹底的に暴露し弾圧を打ち破るため本裁判で闘う決意をうち固め、国側へ提訴するのかしないのかを突きつけた。裁判所の提起命令を受けて国側は提訴を決定し、2010年3月19日第1回公判が開かれた。以降、闘う沖縄労働者人民は公判ごとに事前集会に結集し、傍聴席を埋め尽くして国側を圧倒する裁判闘争を闘いぬいてきた。住民側弁護団は、本裁判が国策に反対する者に対し裁判を起こして負担を強いて闘いを委縮させる「スラップ訴訟」であるとして不当性を追及し、抗議行動の正当性を訴えた。防衛局は裁判当日に、座り込みが手薄になったところを見計らって作業を強行するなど卑劣な姿勢を貫いた。裁判所は双方に「和解勧告」を提起し現地視察をするなどして訴訟をすすめ、2011年12月14日の第10回口頭弁論で結審した。
3月14日午後1時、那覇地裁前の広場において事前集会が開催された。
はじめに、司会の「基地の県内移設に反対する県民会議」の事務局長が「ヘリパッド建設を止め、オスプレイ配備を阻止し、最終的には北部訓練場を撤去していくため闘おう」と呼びかけ、シュプレヒコールをおこなった。「国の圧力に屈しないぞ!」、「ヘリパッド建設阻止までがんばるぞ!」。参加者の拳が天を衝いた。
「住民の会」より「昨年7月から今年2月末までの工事期間に作業は進まず、木一本抜かれることはなかった」と報告がなされた後、「被告」とされた2人が決意表明に立った。安次嶺現達氏は「3年間、国に引きずりまわされたが、弁護団・支援者のおかげでここまでこれた」「胸をはって勝利に向けてがんばっていく」、伊佐真次氏は「国は私たちを弾圧してつぶそうとしたが、逆に運動は大きくなった」と、両氏ともに力強くアピールを行なった。参加者は万雷の拍手で応えた。
再度のシュプレヒコールで気勢を上げ、裁判所へむかった。
不当判決が徹底弾劾される
那覇地裁(裁判長・酒井良介)は、2人の住民のうち1人(安次嶺氏)に対しては棄却したが、もう1人(伊佐氏)に対し国側の訴えを一部認めるという不当判決を下した。午後2時10分頃、法廷の外で待機するメンバーに「不当判決」の第一報が伝えられると、これまで裁判闘争を支援し阻止闘争を闘う沖縄労働者人民は、国側のずさんな立証過程や現場での防衛局の卑劣な対応を知るがゆえに、唇をかみしめ怒りと悔しさを表した。
詳しい報告は、午後3時より八汐荘(那覇市)で行なわれた。冒頭で、「住民の会」と弁護団連名の抗議声明が読み上げられた。「本判決は、この訴訟が不当目的のスラップ訴訟であるという本質を見過ごすものである。国の姿勢を一部追認し、地域住民の平和的生存権や表現の自由、政治活動の自由といった憲法上の権利をないがしろにする極めて不当な判決であり、厳重に抗議する」、「現在、沖縄の過剰な基地負担を一刻も早く解消すること、新たな基地建設は絶対に許さないことが沖縄県民の総意となっている。国は、このような沖縄県民の総意を真摯に受け止め,直ちにヘリパッド建設を中止すべきである」。
つづいて、弁護団より判決の報告が行なわれた。「伊佐さんに対しては『物理的方法で妨害行為をしてはならない』とされた。安次嶺さんに対しては全面棄却だった。『第三者に妨害行為をさせる』という点も棄却された」、「伊佐さんについては2007年8月の阻止行動で、ゲート前に横並びになった行為やトラックの横で手を挙げて搬入を止める行為、工事車両を止めようとした際にその場に座り込んだ」など「5つの行為が意図的な『妨害行為』とされたが、それは写真など見ただけの表面的な判断だ」、「ブログなどでの呼びかけは認められたが、スラップ訴訟という裁判の本質は否定された」と解説した。また、「裁判所は一部の行為を取り上げて運動全体をつぶすことを認めた。極めて不当な判決だ」と厳しく弾劾した。
伊佐氏は「ヘリパッド建設を止めるまで闘いつづける」、「北部訓練場の全面返還まで闘いを拡げる」と訴えた。安次嶺氏は「二人がやってきたことは変わらない。伊佐さんの方が写真証拠が多かったというだけ」と憤りをあらわし、「ヘリパッドをつくらせないという気持ちはみんな一緒だ」と語った。
支援団体からのあいさつでは沖縄平和市民連絡会の城間勝氏が「裁判所が沖縄に基地を押し付ける国と同じ立場をとった政治判決、国策判決だ。判決は戦争反対・基地反対全体への弾圧だ」、「北部訓練場の全面返還までがんばっていこう」と訴えた。「県民会議」の事務局長は「不当判決に対し怒りの抗議集会を検討している。われわれはこれから普天間基地の各ゲートに座り込む決意だ。それをみんな訴えるのか!こんな裁判は許されない。ヘリパッド阻止の闘いが続いてきたことに対して、権力側の焦りや恐怖が判決に反映されたものだ」と徹底弾劾した。住民の会と弁護団は、3月27日に声明を発表し控訴を決定している。
天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会は現地闘争に執着し、高江ヘリパッド建設実力阻止の勝利に向けて闘いぬく。普天間基地解体・名護新基地建設阻止の闘いの飛躍を切り拓き、日米軍事基地解体・帝国主義軍隊解体に向けて闘う。沖縄―日本「本土」貫く団結をうち固め、安保粉砕・政府打倒闘争の爆発をかちとろう。 |