大阪市役所前集会とデモを闘う
2月29日、「『日の丸・君が代』強制反対ホットライン大阪全国集会実行委員会」主催で、「『教育基本条例』『職員基本条例』反対! 大阪市役所前集会」と大阪市役所前から大阪府庁前までのデモが闘いぬかれた。「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」も決起しともに闘いぬいた。
大阪・淀屋橋にある大阪市役所前に闘う労働者人民が続々と結集し、午後6時より集会が開始される。集会の冒頭、「『日の丸・君が代』強制反対ホットライン」大阪事務局代表の黒田伊彦氏が発言に立つ。黒田氏は「いま学校は憲法停止、人権停止、精神の戒厳令のような状態になっている。大阪府教育長は、校長からの職務命令を飛び越えて、教職員に対して直接、『君が代』起立・斉唱の職務命令を出した。こういった状況を突破していこう」「昨日28日の市議会本会議の討論において、橋下市長は、『あなた方先生方は、憲法と法令を守るという宣誓書を書いて教員になったんじゃないか。なぜ〈君が代〉の時だけ法令を守らないんだ。それはサギではないか』と言った。憲法を守るために、思想・信条を守るために、われわれは運動を起こし、起立・斉唱義務に対して闘っている。条例を憲法よりも上においてサギだというのは、そっくりその言葉を橋下に返そうではないか」と発言した。
続いて、「『日の丸・君が代』強制反対ホットライン」大阪事務局の今井氏より、このかんの情勢について報告を受ける。今井氏ははじめに、2月28日深夜、「大阪市議会2・3月定例会」初日の本会議において「大阪市の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例」(大阪市「日の丸」「君が代」強制条例)が、大阪維新の会、自民党、公明党の賛成多数で可決・成立したことを弾劾し、「最初から結論ありきで、大阪維新の会の原案に対して、可決を前提としてどのように修正するのかという駆け引きが行なわれた」とした上で、「条例」を撤廃させていこうと訴えた。さらに、2月23日に開会した大阪府議会では、知事提案の「教育基本条例」案(「大阪府教育行政基本条例」案)の審議が2月28日から開始されたということ、この中身は、「職員基本条例」案同様、「大阪維新の会」が出した案とまったく変わっていないということが明らかにされた。今井氏は最後に、「闘いを広げ、大阪府議会において、大阪市議会において、あらゆる常任委員会、本会議を傍聴し監視し、『教育基本条例』『職員基本条例』成立を阻止していきましょう」と訴えて発言を終えた。
日本共産党の井上議員の大阪市議会報告に続いて、「関西共同行動」の中北弁護士、「おおさかユニオンネットワーク」、2月12日に行なわれた「橋下さん、ひどない!?
橋下さんにひとこと言いたい! プロジェクト」を呼びかけた労働者からの連帯あいさつが行なわれ、関西各地での闘いの報告を受けていく。「堺からのアピール」事務局、「なかまユニオン大阪市職員支部」、大阪教育合同労働組合、「STOP!
日の丸条例・尼崎市民緊急行動」などからそれぞれ、ともに闘う決意が明らかにされた。
集会の最後に、司会より、今後の大阪府議会、大阪市議会に対する闘いが提起され、大阪市役所にむけて「『教育基本条例』成立を阻止するぞ」「『職員基本条例』成立を阻止するぞ」「『日の丸・君が代』強制を許さないぞ」「橋下は市長をやめろ」とシュプレヒコールをあげ、いよいよデモに出発する。デモの最中、天皇主義右翼ファシストどもが弱々しく敵対を試みるが、デモ隊の一喝の前に一蹴される。デモ最終地の大阪府庁に対しても、「『教育基本条例』成立を阻止するぞ」「『職員基本条例』成立を阻止するぞ」と怒りのシュプレヒコールをたたきつける。デモ解散地での「『日の丸・君が代』強制反対ホットライン」大阪事務局からの集約提起では、大阪府、大阪市それぞれに対する、「教育基本条例」「職員基本条例」成立を阻止する闘いの強化・拡大が訴えられ、参加者全体で確認して行動を終えていった。
「教育基本条例」「職員基本条例」の成立を阻止しよう
2月28日に開会した「大阪市議会2・3月定例会」(3月27日閉会)初日の本会議において、「大阪市『日の丸』『君が代』強制条例」が、「大阪維新の会」、自民党、公明党の賛成多数で可決・成立した。
この「条例」は、昨年6月の大阪府議会で、大阪府の施設・学校での「日の丸」の常時掲揚と、大阪府立学校及び府内の市町村立学校の教職員に「君が代」の起立・斉唱を義務化する「大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例」とほぼ同じ内容のものである。大阪府の「条例」は、「君が代」の起立・斉唱義務については府内の全公立学校の教職員を対象としているため、大阪市教育委員会は「独自の条例制定は不要」としていたが、市長・橋下は「市の意思を明確にする意義がある」として、大阪市版の「条例」を成立させたのである。
「大阪維新の会」は大阪市議会では過半数を占めておらず、「条例」制定には他会派の協力が不可欠だったが、次期衆院選で「大阪維新の会」との選挙協力を模索する公明党は、原案の目的にあった「服務規律の厳格化」との文言を削除することを条件に賛同する方針を決定した。さらに、「大阪維新の会」と公明党は自民党の賛同を得ることを追求し、自民党は「子供の発達段階に合わせて国旗国歌の意義を伝える」とする「修正案」を主張していたが、これを撤回することで最終決着したのである。「大阪市『日の丸』『君が代』強制条例」の成立を徹底弾劾する。
橋下は「君が代」不起立闘争を闘った教育労働者に対して、「府民は公務員をやってくださいと頼んでいない。公務員をやめたらいい。勘違いしすぎだ。教育の現場に携わってもらってもかまわないが、公務員という身分をはずして自由にやれっていいたい」などと憎悪をむき出しにしている。橋下率いる「大阪維新の会」は、「教え子を再び戦場に送るな!」と闘う教育労働者を敵視し、「日の丸」「君が代」を強制することで「愛国心教育」を強制し、朝鮮反革命戦争とファシズムの道に突き進もうとしているのである。断じて許してはならない。
一方、「大阪府議会2月定例会」は2月23日開会(3月23日閉会)し、知事・松井は、「教育基本条例」案と「職員基本条例」案に加えて「大阪府立学校条例」案も提案した。
「教育基本条例」案には、知事による教育目標の設定や教育委員の罷免権の規定などが盛り込まれ、「大阪府立学校条例」案には、3年連続定員割れの府立高校の再編整備や、2014年度の学区撤廃、「不適格教員」に対する保護者の申し立て権などが盛り込まれている。「職員基本条例」案は、教職員以外の人事評価に5段階の「相対評価」を導入し、2年連続最低評価で「勤務実績が良くない」と判断された職員は指導研修の対象とし、「改善が見込めない」とされた場合は分限免職・降格できるなどの内容である。さらに、教職員を含め、「同一の職務命令に3回違反すれば分限免職」も規定されており、3回不起立した教職員を分限免職(クビ)にするなど「大阪府『日の丸』『君が代』強制条例」にはない罰則規定が盛り込まれている。
橋下率いる「大阪維新の会」は、「愛国心教育」を強化し「競争原理」を徹底し、国家と資本に利益をもたらす人材を育成するための教育を徹底させようとしており、国家と資本の意に沿わない公務員、知事の命令に従わない公務員は、「思想・良心の自由」さえも認めず、辞めさせるというのである。さらには、教育労働者をはじめとした公務員労働者の首切りを自由化しようというのである。
大阪以外でも、「日の丸」「君が代」強制の動きが拡大している。兵庫県尼崎市議会では2月20日、「新政会」が「尼崎市国旗の掲揚に関する条例」案を提案している。この「条例」案は、尼崎市主催の式典や市立小中学校、公共施設で、執務時間中の「日の丸」掲揚を義務づけるというものだ。「新政会」の市議は「隣の大阪で世論の注目が高まっている時でもあり、条例化で子どもたちの郷土愛を高めるきっかけにしたい」なぞと言っている。
「日の丸」「君が代」強制と対決して闘う教育労働者と連帯し、処分攻撃を粉砕しよう。「『日の丸』『君が代』強制条例」の撤廃かちとり、「教育基本条例」「職員基本条例」の成立を阻止しよう。 |