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2・20大飯原発再稼働を許すな!反戦・全学連、原子力安全委員会前で決起 (1008号5面)

 原子力安全・保安院によるストレステスト一次評価「妥当」判断弾劾

 2月20日午前10時、青ヘルメット、青ゼッケンの反戦・全学連の部隊は、横断幕を掲げ、内閣府原子力安全委員会がある中央合同庁舎第四号館前に登場し、シュプレヒコールをあげる。「大飯原発の再稼働を阻止するぞ!」「全ての原発の廃止をかちとるぞ!」「核武装のための原発を許さないぞ!」「野田連合政府を打倒するぞ!」。シュプレヒコールが周辺一帯に響き渡る。中央合同庁舎第四号館のガードマンはなすすべもなく立ち尽くす。シュプレヒコールを内閣府原子力安全委員会に思う存分叩きつけたところに、警視庁公安がかけつけてくる。続いて制服警官の部隊がわれわれを排除するために駆けつけてくる。われわれは整然と引き上げ、JR御茶ノ水駅頭に登場し、「大飯原発再稼働を許すな! 全ての原発の廃止をかちとろう!」と一時間の情宣行動を貫徹し、闘いぬいた。
経済産業省原子力安全・保安院は2月8日、関西電力が提出した大飯原発3、4号機(福井県おおい町、定期検査で停止中)の再稼働に必要なストレステスト(耐性調査)の一次評価結果について「妥当」とする審査書最終案をとりまとめた。2月13日に、内閣府原子力安全委員会に報告、原子力安全委員会は2月21日、第1回目の会合を開き、評価審査書の検証を開始した。
 原子力安全委員会は「一次評価だけでは安全性の確認が不十分」という見方を示しているが、3月末には、原子力安全委員会は結論を出し、首相・野田と、官房長官・藤村修、経産相・枝野幸男、原発事故担当相・細野豪志の三閣僚が、地元の意向をふまえ、再稼働の可否を判断することで、地元説明に入ろうとしている。
 4月中にも、国内で稼動中の原発が全停止することに危機意識を持つ日帝国家権力は、1日でも早く、ストレステスト一次評価「妥当」の判断を出し、原発依存度が高い関西電力を最優先に、国際原子力機関(IAEA)のお墨付きを得て、大飯原発3、4号機を突破口に、矢継ぎ早に、停止中の原発の再稼働を狙っている。関電は2月20日、定期検査のために高浜原子力発電所3号機(福井県高浜町)を停止したと発表、関電の保有する一一基全てが停止している。関電の社長・八木誠は記者会見で「原発停止は電力安定供給にとって、危機的。再稼働に全力を尽くす」と述べている。
 一次評価審査書の報告ついて、原子力安全・保安院の委員内部でも性急すぎると批判が出されている。「過酷事故が起きたときに住民の被害がどのぐらいか、放射性物質による汚染の評価もするべきだ」、さらに「(安全評価で解析を担当した)三菱重工の関連会社から寄付金などを受けている人が(原子力安全・保安院の専門家会議委員に)いる。国民の信頼を得られない」との指摘もあるという。今回の一次評価審査書は「原発の安全性」なぞはどうでもよく、原発産業に群がるブルジョジーの利権を守り、そして何よりも、核武装を準備するため原発の稼働の維持が日帝国家権力にとって死活問題であるということの現われに他ならない。
 内閣府原子力安全委員会での大飯原発の再稼働の「妥当」判断を許さず、全力で阻止していかねばならない。

原子力政策の延命を許さず、全ての原発の廃止かちとれ

 福島第一原発事故は、今も「収束不能」の状態で、放射性物質を放出し続けている。大気・土壌・海の放射能汚染は拡大し続け、労働者人民は被曝を強制されている。
 日帝は、米帝(104基)、仏帝(58基)に次ぐ「世界第3位の原発大国」を自負してきたのだが、それが「世界有数の地震大国」の上に築かれていることの危うさは、すでに現実が余すところなく示している。日帝がそんな危険を承知の上であえて「安全だ、クリーンだ」と強弁して原発建設を推進してきたのは、そして労働者人民に塗炭の苦しみを強いる大惨事を経験した今もなお原発に固執するのは、すべて核武装のためだ。核兵器開発のために蓄積してきた材料と技術、そして「原子力の平和利用」という名の隠れ蓑を手放したくないからだ。
 日帝ブルジョアジーは、日本経団連会長・米倉を筆頭に、「東京電力は被害者の側面もある」「原子力行政はもっと胸を張るべきだ」と叫んで、原子力政策の延命に躍起となっている。昨年11月にはその日本経団連が、「安全性の確認された原発の再稼働が極めて重要」なぞと明記した「エネルギー政策に関する第二次提言」を公表し、野田政府の尻を叩いた。これをも力に野田政府は、「定期検査」で停止中の原発の「春以降、夏まで」(野田)の再稼働を宣言し、原発の新増設も「個別に総合的に判断する」(経産相・枝野)と推進姿勢を示し、さらに原発輸出にも突き進んでいる。そのために昨年12月には、ヨルダン、ロシア、ベトナム、韓国との「原子力協定」の国会承認を強行した。こうした策動を徹底的に打ち砕いていかねばならない。

原発の再稼働阻止 原発増設粉砕 核燃料サイクル計画阻止

 第1に、停止中の原発の再稼働を全力で阻止していかねばならない。現在、国内の原発の約八割が運転を停止中だが、政府とブルジョアジーどもは、「原発の再稼働が実現しなければ、4月までに全原発が停止状態になる」と、危機感を露わにしている。政府とブルジョアジーどもが恐れているのは「電力不足」なぞではない。「原発停止でもやっていける」ことが天下に実証されてしまい、「では、何のための原発だったのか」が露呈して、反原発の闘いの拡大をもはや抑え込むことができなくなることだ。関西電力・大飯原発3、4号機に続いて、昨年11月には、四国電力が、伊方原発3号機(愛媛県伊方町)について、12月には、九州電力が、玄海原発二号機(佐賀県玄海町)と川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)について再稼動の前提となるストレステスト一次評価結果を原子力安全・保安院に提出し、再稼働の態勢に入っている。ストレステストだの、政府の審査だのは、再稼働のための電力会社と国との出来レースにすぎない。
 第2に、原発の新増設を阻止することだ。日帝は、2020年代中に少なくとも14基の原発を新増設することを計画してきた。現在「建設中」の原発は、中国電力・島根原発3号機(島根県松江市、運転開始予定2012年3月)、Jパワー(電源開発)・大間原発(青森県大間町、同2014年11月)、東京電力・東通原発1号機(同県東通村、同2017年3月)の3基である。このうち東通原発1号機については、「福島第1原発事故の賠償負担で、東京電力が建設資金を確保する見通しが立たないため、建設を断念する公算が大きくなっている」(「時事通信」)とも伝えられているが、島根原発3号機については、中国電力社長・苅田が「9割超という工事の進捗状況を考えても…試運転、営業運転に入りたい」と主張しており、福島第1原発事故を受けて工事が中断したものの、2012年内の早期稼働が狙われている。残り11基が「建設予定」なのだが、とりわけ「準備工事」が強行されてきた中国電力・上関原発1号機(山口県上関町)については、2012年6月の「本体工事」着工が狙われている。中国電力は、工事中断の影響で「当初予定の6月着工は非常に厳しい」(前出・苅田)としているが、早期着工を狙っていることに変わりはない。これらを阻止する闘いに立ち上がっていかねばならない。 
 第3に、核燃料サイクル計画の完成を阻止し、核燃料サイクル基地を解体することだ。核燃料サイクルの中核施設である日本原燃・六ヶ所再処理工場(青森県六ヶ所村)の「2012年完成」に向けた攻撃が加速している。工事完成期日は、これまで相次ぐ事故などで18回も延期されてきたが、いよいよ完成―本格操業にむかって最後の突撃に入っているのだ。本格操業に向けた準備の最終段階となる「ガラス固化試験」が今年、1月末にも3年ぶりに再開される予定であったが、また事故の勃発で、延期された。しかし早期の強行を着々と狙っている。試験運転―本格操業を阻止せよ。高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃止をかちとれ。「プルサーマル計画」推進を阻止せよ。
 核武装のための原子力政策のゴリ押し的推進に対決し、反原発・反核燃闘争の前進をかちとれ。