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1・8 陸自・中央即応連隊の南スーダン派兵阻止闘争を闘いぬく (1003号6面)

 陸自・宇都宮駐屯地へ向け戦闘的デモを闘う

 野田連合政府は、昨年12月20日、南スーダンの「国連平和維持活動」(PKO)へ陸上自衛隊施設部隊を派兵する実施計画を閣議決定した。同日の防衛会議で、防衛相・一川が「派遣命令」を発している。この部隊の活動期間は10月31日までとされているが、延長・部隊交代を重ね、活動期間は五年程度の長期的なものになると想定される。

 派兵される部隊は、1次隊が陸自宇都宮駐屯地の中央即応連隊を中心とした、「派遣施設隊」212人と、国連や南スーダン政府などとの調整を担当する「現地支援調整所」要員27人の合計239人であり、2次隊は陸自北部方面隊(北海道)施設部隊からなる、約330人である。

 1月7日には、防衛省で第1一次派遣隊への隊旗授与式が行なわれ、調整所長の生田目徹と、施設隊隊長・坂間輝男に防衛相・一川が隊旗を手渡した。首相・野田は「期待と感謝と誇りを胸に、見事に任務を完遂してほしい」と訓示し、施設隊隊長・坂間は「できることを着実にやり、国づくりに貢献したい」と語っている。

 野田連合政府は、産油地帯を抱えるとされる南スーダンの石油権益をはじめとする権益確保のためにアフリカの南スーダンに自衛隊派兵を強行し、武器を携行した自衛隊が現地労働者人民に銃口を向けようとしているのだ。断じて許してはならない。

 隊旗授与式が行なわれた翌日の1月8日、反戦・全学連の部隊は、栃木県にある陸自宇都宮駐屯地・中央即応連隊の南スーダン出兵阻止闘争に決起した。

 中央即応連隊は自衛隊の海外派兵の先陣をつねに担ってきた先鋭部隊である。1月11日から順次、南スーダンに出兵しようというのだ。

 午後0時50分、反戦・全学連の部隊は、陸自宇都宮駐屯地にほど近い、「上原憩いの森公園」に布陣する。青ヘルメット、青ゼッケンに竹ざおで整列し、宇都宮駐屯地・中央即応連隊へ向けたデモ出発を準備する。全国反戦のメンバーが、中央即応連隊の南スーダンへの派兵を阻止すべくデモ出発前に基調を提起する。午後1時、反戦・全学連の部隊はシュプレヒコールを上げ、デモに出発する。

 宇都宮駐屯地に向けたデモ隊は、宇都宮駐屯地近隣に居住する住民、沿道の道行く労働者人民に「自衛隊の海外派兵―南スーダン派兵阻止の声をともにあげよう」と呼びかけつつ、戦闘的デモを貫徹する。

 門をぴったりと閉じた陸自宇都宮駐屯地正門前がデモ解散地点だ。反戦・全学連の部隊は、「中央即応連隊の南スーダン出兵を阻止するぞ!」「自衛隊のPKO派兵を粉砕するぞ!」「自衛隊は労働者人民に銃口を向けるな!」「中央即応連隊を解体するぞ!」「国際反革命戦争の拡大・激化を許さないぞ!」と力強いシュプレコールを叩きつけ、闘争を終了した。

 1月11日、南スーダン派兵第1次派遣隊の先遣メンバ15人が成田空港から出発し、12日に現地入りした。この5人は、「後方支援の調整」を首都ジュバや輸送の中継地となるウガンダで担う「現地支援調整所」の要員だ。14日には、派兵される陸自・施設部隊212人のうちの13人と「現地支援調整所」の要員21人の計34人が、迷彩服を着用して民間機で羽田空港から出発した。施設部隊は3月下旬までに順次現地入りし、インフラ整備などを行なうことになっているとされている。

 これと並行して、1月13日、チャーターしたロシアのアントノフ輸送機で、水タンク車や浄水車、食料、テントなどの資器材等が成田空港から搬送され、21日には油圧ショベルなど重機の第1弾が搬送された、その後は順次ドーザーなどが空輸される予定であり、全部で輸送機40機分が送り込まれる。

順次強行される南スーダン派兵を阻止せよ

 今回の南スーダン派兵は、昨年7月にスーダンから分離・独立した南スーダンで、「PKO協力法」に基づく国連南スーダン派遣団(UNMISS)への派遣という形をとる。首相・野田は、就任間もない昨年9月の国連総会で、派兵に前向きな姿勢を表明した。これは野田自身が就任早々に、自衛隊の海外派兵―国際反革命戦争の拡大・激化を推し進めるということを宣言したものに他ならない。民主党内には「PKO協力法」が定める「参加5原則」の武器使用基準の緩和を求める声があったが、今回は現行法の枠内での派兵とした。野田連合政府は、「武器輸出3原則」をさらに緩和し、国際共同開発・共同生産への参加と人道目的での装備品供与を解禁することも決め、昨年12月27日に官房長官・藤村の談話として発表している。

 1月11日から派兵された自衛隊の第一次隊は、「比較的治安が安定している」といわれる首都ジュバに宿営地を設営し、道路整備等を行ない、5月〜6月ごろに、本格的な活動を担う第2次部隊約330人と交代する。1次隊の中心を担うのは、中央即応連隊(宇都宮駐屯地)で、第12施設群(北海道・岩見沢駐屯地)からも一個小隊(約30〜40人)が加わっている。中央即応連隊は、陸自の部隊でも最精鋭の部隊であり、各普通科中隊には狙撃班が編成されており、他の部隊よりも射撃訓練を重視し、日本一実弾を使う部隊とも言われている。海外派兵の際には常に先遣隊となり、宿営地の確保、制圧を担っているのだ。昨年12月7日から、派兵予定の中央即応連隊と第12施設群の小隊約40人は、陸自宇都宮駐屯地で訓練を重ねていた。携行する護身用武器は、拳銃84丁、自動小銃297丁、機関銃15丁であり、軽装甲機動車、トラックなど160両、輸送艦1隻、輸送機(C130H)4機、空中給油機1機などを持ち込む。

中央即応連隊を中心とした1次隊が入り、宿営地などを設営し制圧した後、施設部隊が入国し国連から要請された道路や橋梁などの社会インフラ整備を行なうという。施設部隊の活動に必要な機材はジュバから約2000キロ離れたケニアの港湾都市モンバサや、国連の物資集積基地があるウガンダのエンテベから輸送する。

 1月7日の隊旗授与式では、首相・野田が「南スーダン国民が熱い視線を送り、国際社会も熱い期待をしている。堂々と応えてほしい」「期待、感謝、誇りを胸に任務を完遂し、全員で元気に報告に来ることを心待ちにしている」と隊員を激励した。

 防衛相・一川は「国際社会で日本がしっかり役割を担っている印象を与えることが大事だ。南スーダンの国づくりに貢献する」と語り、石油権益などを確保するために目立った実績を上げることを表明した。このためPKOと連動した政府開発援助(ODA)の活用を「車の両輪」に据え、医療・教育施設の建設に加え行政や衛生、農業といった分野で非政府組織(NGO)とも連携した人材育成・技術協力も進め国家の基本的機能の構築を支援するという。南スーダン社会にとことん食い込み、諸権益を確保しようというのだ。

 また、部隊の輸送や補給路を確保するため、海上自衛隊の輸送機なども動員し、陸・海・空の輸送手段を組み合わせた運搬が計画されている。国連補給基地があるウガンダのエンテベやケニアの首都ナイロビに派兵することも実施計画に盛り込まれている。昨年11月28日には、南スーダンPKOの司令部要員として9月末までの期限で陸上自衛官2人がジュバのUNMISS司令部に派兵された。南スーダン北部では難民キャンプへの空爆や武装勢力との戦闘が頻発している。
 南スーダンPKO派兵を阻止せよ。国際反革命戦争の拡大・激化を粉砕せよ。