闘う諸氏からの連帯メッセージ
2011年12月11日、東京都北とぴあ・ペガサスホールにおいて第30回反安保全国労働者研究交流集会が開催された。
午前10時、結集した全国の戦闘的労働者の熱気があふれる中、第30回反安保全国労働者研究交流集会が開会される。「世界恐慌爆発情勢下、首切りや賃下げ、増税などの攻撃がふきあれている。これに対決し全世界の労働者人民が闘いぬいている。日帝足下、労働者階級の巨大な闘いを作り上げていく方針と体制を確立しよう。集会への集中と熱い議論で本集会の成功をかちとろう」と開会宣言が発せられ、シュプレヒコールが高らかに響きわたり、集会が開始されていく。
まず最初に、集会に寄せられた闘う諸氏からの連帯メッセージが司会より代読される。「パナソニックPDP偽装請負事件」の争議当該である吉岡力氏は、「多くの人達が声を上げ出し始めている情勢の中で、権力側の弾圧もより一層厳しくなっています。だからと言ってこうした動きに対し萎縮し、運動を弱めるわけにはいきません」「『偽装請負』の争議で闘っている私としては、原発職場の下請け労働者の働かせ方が『偽装請負』という違法な働かせ方である以上、原発問題を通して『偽装請負』という犯罪行為が如何に罪深い犯罪行為なのかということをさらに世の中に訴えていかなければいけない」「『派遣法改正問題』で『改正』どころか改悪という形の非常に悪い動きが出てきていますが、労働者の人身売買(『労働者派遣法』)を容認した法律はなくすべきあり、『人身売買を容認した法律をより良くしましょう』っていう運動は物事の本質を無視したアリバイ作りの運動だ」「『労働者派遣法』撤廃を掲げて闘う本日の交流集会に結集した皆様や同じ志を持った人達と連帯して、もっと違った形の運動を展開しなければいけないと切実に感じています」。
ヤンマー争議当該・稲森秀司氏は、「ヤンマーをはじめとする大企業の横暴に屈するわけにはまいりません。私たちが、つらい局面だと言う事は相手にとっても厳しい局面だと考え、従前以上にヤンマーに徹底的な圧力を掛けてまいります」「抗議情宣では、非常に好意的な言葉を掛けてくださる方が増えました。ヤンマーは明らかに抗議情宣を嫌がり始めています」「ヤンマーが謝罪をする意思を示さないのであれば、『ヤンマーにはつぶれてもらう!』それだけの責任は果たさせるつもりで、今後も命懸けでヤンマーと闘います。共闘相互支援で『非正規』という奴隷労働を抹殺する為に共に闘いましょう」。
日本基礎技術見習い期間中解雇争議当該・本田福蔵氏は、「韓進重工業による94人の整理解雇撤回を求め、地上35メートルのクレーンに籠城したキム・ジンスク氏は、ツイッターやフェイスブックで自身の想いや会社の酷い仕打ちを発信し続け、共感した市民数万人が5度にわたって全国から駆けつけました。籠城310日後に会社は遂に復職を認めました。ジンスクさんの言葉に『資本が強いから敗けるのではなく、労働者が連帯できないから敗けるのだ』との一節があります。国内では『非正規』に守られるべき権利はないとする判決が下され厳しい状況ですが、その様な現況でもあらゆる枠を超えた連帯が展望を開くことを示してくれました。共に闘いましょう!」。
宮城の教育労働者は、「3・11の震災でたくさんの人が傷つきました。傷つき続けています。権力者は保身に走るばかりです。政治は政治家のものではありません。民衆の自立が急務であることを実感する日々です」「石原都政だけではなくファシストを自任する橋下新市長たちによる恐怖政治が、子どもが人間として育つ環境を破壊しています」「教育労働者として、人民の一人として、子どもたちに恥じない生き方をしていきたい」「私たちの歩みに展望は開けます。共に歩み続けましょう」。
熱い連帯のメッセージが拍手で確認される.。
佐久間氏より「全国労働組合運動交流会」結成の呼びかけ
連帯あいさつの最初に、国鉄闘争を闘い戦後労働運動の根底的総括と突破を生涯の課題として闘う、元国鉄労働者・佐久間忠夫氏が登壇する。佐久間氏は国鉄・横浜機関区で働き、60年安保闘争を何万人という労働者と共に連日、国会前で闘ったことなどを語り、「しかし、労働者が自覚して闘っているわけではなかった。組合のストが終われば労働者の意識の中から消える。あれだけの闘いが、個人のものになっていない。組織の動員には従うが、組合員は自主的に運動に参加するということにはなってないというのが日本労働運動の問題だ」と指摘された。そして「原発反対の運動に若い女性が立ちあがっている。彼女たちのスローガンは『金より命』だ。それが一番大事だ」「戦後65年、一貫して経済成長主義だ。その結果がこれだ」と福島第一原発事故への怒りとともに「『今は厳しい局面だからじっと我慢の時だ』と言って日和見するのではなく、日常的に闘いを作っていかなければならない」「日本を変える転機ではないか」と、今こそ資本主義社会そのものへの闘いが必要であることが熱く語られる。さらに、「日本の労働組合の組織率は20パーセントを切って久しいが、フランスの労働組合は組織率9パーセント台でありながら、労働者がストをすれば75パーセントが支持する。私たちが国鉄でストをやるとお叱りを受けた。なぜ違うのか」「国鉄闘争の始まりだった1987年の国鉄民営化、85年には『労働者派遣法』ができ、その前には中曽根による原発開発推進があった。これをみると資本家どものほうがまとまっている。資本家階級に勝つためには、労働者が一人ひとり独立し、組織が独立を大事にし、組合は少数を大事にしないとだめだ」と、佐久間氏が闘った「ネクタイ闘争」に触れながら、労働者の自立した闘い、一人の組合員も切り捨てない団結の重要性が訴えられた。また、「残念ながら国鉄闘争は終わってしまった。一人でも職場復帰させたかったができなかった。今の資本の考え方は『金で済ませろ』だ。そこに風穴をあけるためにも解雇撤回をさせたかった。JRが謝罪広告の隣に求人広告を載せているのを見ると、『なら解雇撤回しろ』と思う。JRは責任とらずに、政府が金を出して解決したとしている。このまま終わらせるわけにはいかない」と、国鉄闘争の「政治解決」―「和解」に対して痛苦に総括しながら、新たな闘いへの決意が語られた。最後に、「『労働者派遣法』は戦前のピンハネだ。それをなくすために職安を作るなどしてがんばってきたんだ」「みんなと共に100歳まで頑張る。全国の労働者が力を合わせ闘うために、『全国労働組合運動交流会』を作る。共に闘いましょう」との呼びかけが発せられた。
佐久間氏よりの不屈の闘いの歴史と、戦後労働運動を突破し闘いぬかねばならないという気迫ある発言、そして闘いの展望を切り拓くための「全国労働組合運動交流会」結成呼びかけに応え、会場からは大きな拍手が鳴り響いた。
闘う諸団体・個人の連帯挨拶
続いて闘う諸団体、個人から連帯挨拶が次々とおこなわれる。
全国寄せ場交流会は、「震災を口実に労働者に解雇、合理化が押し付けられ、いつ朝鮮反革命戦争が開戦するかわからない今、寄せ場労働運動がかちとってきた反戦、仕事よこせの闘いの地平が重要になっている。一人の野垂れ死にも許さず、行政、資本に生きてやり返す闘いをやり抜いてきた地平を全労働者階級の間に突き出し闘うべき時だ」「寄せ場労働運動の地平を発展させ2012年階級攻防の激闘に起つ」「越年・越冬闘争の成功をかちとる」と連帯挨拶をおこなった。
「障害者」解放戦線は、「『心神喪失者等医療観察法』を粉砕しよう。『刑の一部執行猶予』『社会貢献活動』という刑法改悪―新たな保安処分導入を粉砕しよう」「『障害者自立支援法』を撤廃させ、介護の商品化粉砕をかちとろう」「全障連の歴史的地平を継承・発展させ、『障害者』差別糾弾闘争を闘える新しい全国組織、全国『障害者』解放運動共闘会議の結成をかちとる。『障害者』解放戦線は、革命的労働運動の前進に、自らの未来を賭け闘います」。
日朝連帯活動者会議は、「中国の封じ込めを狙う米帝は東アジアサミットに参加し、『アジア・太平洋地域の安全保障』をぶち上げた。日帝は沖縄の新基地建設など軍事再編を推し進め、軍事演習を繰り返している」「朝鮮反革命戦争突入時は日本階級闘争の決戦時だ。朝鮮反革命戦争を粉砕する。革命的反戦闘争の爆発をかちとろう」「天皇制ファシズムに敗北し、侵略戦争に加担した負の歴史を繰り返さず、韓国労働者のスト、工場占拠の闘いにつづき、日朝連動するプロレタリア革命に向けて闘おう」と決意を述べ連帯挨拶とした。
部落解放戦線は、「狭山闘争は司法の民主化を求める運動ではなく、国家権力を糾弾する闘いだ。狭山闘争の歴史的勝利をかちとろう」「部落解放同盟内社民・こえ派は、権力の部落解放運動解体攻撃に屈服している。今こそ呻吟する部落青年の結集をかちとらなければならない。水平社の地平に学び、今こそ革命的部落解放運動の飛躍を実現しよう」。
日本「本土」で沖縄人民解放闘争を闘う仲間は、「野田政府が発足してから一気に新基地建設が加速し、『環境影響評価書』の『県』への提出から名護への埋め立て工事着工が狙われている。沖縄防衛局長・田中の差別発言に全島で怒りが巻き起こっている。新基地建設をごり押しする政府への怒りが巻き起こっているのだ。基地解体、自衛隊の南西諸島配備を許さず体を張って闘う沖縄労働者人民と結びつき、日本『本土』でも沖縄人民解放を闘おう」と連帯の挨拶をおこなった。
全国反戦は、「野田政府は消費税増税や社会保障費の切捨てなど、収奪の強化を狙っている。『連合』を突破する運動が求められている」「自衛隊は動的防衛力を打ち出し朝鮮反革命戦争に突撃している。帝国主義軍隊解体、野田政府打倒・日帝国家権力解体へと突き進む革命的反戦闘争を最先頭で闘いぬく」との決意をもって連帯挨拶とした。
全学連は、「朝鮮反革命戦争情勢が煮詰まる中、ファシストが台頭している。8・6広島反戦闘争では『在特会』の核武装推進を掲げる敵対を粉砕した」「全国大学では、学生を都合のいい労働力として送り出すため、分断と競争が強化されている。大学を卒業後、進学も就職もできない学生が10万人以上にのぼっている」「全学連は社会矛盾に怒り、闘う学生の組織化をなしきり、プロレタリア統一戦線の突撃的一翼として最先頭で闘う」。
連帯の挨拶の最後は革命的労働者協会だ。革労協の同志は、「資本制生産様式の帰結としてすさまじい貧困と飢餓が全世界を覆っている。抑圧と戦争に抗する、資本主義そのものへの闘いが巻き起こっている。国際階級闘争の現局面にある困難は、いずれの闘いでも血を流すのは労働者であるにも関わらず、その進路が明確ではないがゆえに、闘いの成果が労働者のものになっていないことだ」「2012年、われわれの任務はこれを大胆に突破し、マルクス主義の旗を今こそ労働者階級の手に取り戻すことだ」「日帝足下、政府打倒・国家権力解体、ソビエト権力樹立・労働者政府樹立を鮮明にした荒々しい権力闘争の飛躍を切り拓け」「被災地労働者人民の生きるに生きられない状況は全国の労働者人民の状況の縮図である。ブルジョア的『復興』を突破し闘おう」「怒りを闘いに、闘いを革命に組織せよ。労働者は闘いを放棄したわけではない。闘う場所がないだけだ。闘い方と闘いの場所をきっぱりと提起しよう」「反安保労研という行動委員会運動の全国紐帯では不十分であり、決戦情勢下、ゼネスト、蜂起をよびかけるためにも階級的革命的全国統一センター建設が必要だ。その現実的一歩をこの春期にも踏み出そうではないか。階級闘争の行方を決する階級攻防の年として激闘の2012年を闘おう」と、提起と決意を明らかにして連帯の挨拶とした。
基調提起と決意表明、産別分散会と新事務局体制
次に集会基調案が反安保労研全国センター幹事会から提起された。産別分散会の論議で集会基調案の議論を深めていくことを前提にして、配布された総括、情勢、方針が読み上げられ、第30回反安保全国労働者研究交流集会の位置と任務が明らかにされた。
「世界大恐慌爆発情勢下、労働者階級の一大決起によって、失業と貧困、飢餓を不断に強制する資本制生産様式と階級支配の廃絶を実現しなければならない」「ブルジョアどもの攻撃の核心は帝国主義労働運動による制圧と『総非正規化』だ」「『連合』や全労連を突破する階級的革命的全国統一センターの建設が求められている」「戦後労働運動を越えてゆく革命的労働運動の建設にむけた巨大な前進をかちとっていこう」「われわれは被災労働者人民支援大運動への一大決起を呼びかけ、集中してきた。宮城県地域連合労働組合は被災地の労働組合として、被災労働者人民支援の先頭に立ち、炊き出し、物資支援、労働相談活動を取り組んできた」「東電労働者を含めた労働者人民が全生産を掌握する『労働者自身の協同組合工場』(マルクス)をも展望した被災労働者人民支援を闘いぬこう」「原発の再稼働を阻止しよう」「職場生産点からの革命的反戦闘争に決起しよう」「公務員労働者に対する解雇・『非正規化』攻撃である「公務員制度改革」攻撃を粉砕しよう」「闘わない自治労本部の制動を突破し、官民貫いた地区共同の闘いを」「全国に自治体労研を建設しよう」「労働者の3人に1人が『非正規雇用』を強制され、容赦ない解雇攻撃が襲い掛かっている。『正規』―『非正規』を貫く団結を形成していくことが日本労働運動の焦眉の課題となっている」「全国で地域連合労組運動のさらなる前進を実現しよう」「『労働者派遣法』撤廃、『有期労働契約』法制化を阻止しよう」「教育労働運動の解体攻撃を許さず、『日の丸』『君が代』強制と対決する教育労働者の闘いを拡大しよう」「2012年卒・入学式での『君が代』不起立闘争の爆発で、教育労働者を『学徒動員』の先兵にする攻撃を粉砕しよう」「寄せ場・日雇い労働者の『仕事よこせ、失業保険よこせ』という要求と闘いを、大失業時代の到来下、すべての労働運動の中に復権させなければならない。越年・越冬闘争への『非正規雇用』労働者をはじめとする労働者の合流を実現し、資本と国家に怒りと要求を叩き付ける圧倒的部隊を建設しよう」「『反戦・反失業』を基調にした寄せ場労働運動のさらなる前進をかちとろう」「フィリピントヨタ争議への連帯を強化しよう」「国際連帯の闘いを闘おう」「被差別大衆の自主的解放闘争と結びつき闘いぬこう」「全世界労働者人民の闘いに遅れをとってはならない。日帝足下、労働者の怒りを組織しぬき闘おう。そのためにも階級的革命的全国統一センター建設は急務である」「帝国主義労働運動・『連合』を突破し、2012年反戦・反合・政府打倒春闘を闘おう」。
闘う基調が満場の拍手で確認された。
基調提起の後、反安保労研沖縄センターと反安保労研宮城県センターから決意表明がおこなわれ満場の拍手で確認された。
反安保労研沖縄センターは、「沖縄防衛局長・田中の発言は日帝ブルジョアジーの本音であり、沖縄労働者人民支配の暴力性をあらわにしている。沖縄労働者人民の日本帝国主義と天皇への憎悪は高まっている」「10月23日の反帝―国際連帯全国統一行動を沖日労と天皇上陸阻止沖縄青年実行委が普天間基地解体の実力デモとして闘いぬいた」「反革命戦争出撃拠点である基地を解体し安保を粉砕する」「沖縄解放闘争の革命的分岐を左から切り拓くべく、名護新基地建設阻止、高江ヘリパット建設阻止の先頭に沖縄センターは立つ。ともに闘おう」と決意を明らかにする。
反安保労研宮城県センターは、「政府が進める被災者切り捨ての『復興政策』によって、被災地ではいまだに瓦礫が残り、被災者は地域から分断され仮設住宅で厳しい寒さに見舞われている」「被災地の失業保険受給者数は震災解雇を含めて約6万6000人にのぼり、仕事を奪われ家族を奪われた被災者に孤独死がおきている」「われわれは政府の『復興』に、労働者が主役の支援活動を対置して活動してきた。全国からの支援を力に、労働者の団結を組織し、生活再建の闘いを進める」「野田政府の戦争政策を打ち砕き『復興』の名による増税を許さず闘う」と決意を表明する。
昼食休憩をはさみ産別分散会が、寄せ場・日雇い、地域合同労組運動(生協)、民間、公務員に分かれておこなわれた。集会基調案と作成された資料や参加者からの報告を元にして活発な討論がかわされ、総括と方針論議が進められた。
産別分散会の終了後、主会場に再結集し、産別分散会の報告がおこなわれ、集会の最後に、役員体制の紹介と当面の行動提起を確認し、全員のシュプレヒコールとインターナショナルを斉唱し、2012年の激闘に向けた闘いの決意を固め閉会した。 |