三河台公園に結集し東京高裁へ戦闘的デモ
12月1日、午前10時、三河台公園に狭山中央闘争を闘う仲間が各地から続々と結集してくる。
横断幕を広げ、ヘルメット、ゼッケンを身につけ隊列を整え、いまや遅しと出発を待ち構える。
デモに先立ち、5・23闘争実行委員会による基調的意思一致がおこなわれる。「この12月中に、第9回目の『三者協議』が行なわれる。部落解放同盟内、社民・こえ派は『三者協議』にのめり込み、戦闘的闘いの地平である寺尾反革命差別『無期懲役』判決糾弾の10・31狭山闘争を連続して放棄した。そして本日の集会後のデモも国会請願デモとして司法権力への闘いを投げ捨て、狭山闘争を司法の民主化運動へ切り縮めようとしている。こんなことを絶対に許してはならない」「狭山事件は捜査、取り調べ、裁判と全過程を通して許しがたい部落差別に貫かれている。司法―国家権力を徹底糾弾することなしには狭山闘争の勝利をかちとることはできない。東京高裁、東京高検を徹底糾弾する戦闘的デモへと攻め上っていこう」と訴えた。
午前10時半、5・23闘争実行委員会の部隊は東京高裁へ進撃するデモにうってでる。宣伝カーを先頭に六本木から首都中枢へとデモ隊が進撃する。宣伝カーから「狭山差別裁判糾弾」「階級裁判を粉砕するぞ」「国家権力を糾弾・打倒するぞ」「石川氏と共に闘うぞ」「狭山闘争に勝利するぞ」とシュプレヒコールが響きわたる。虎ノ門から霞ヶ関へデモ隊列が突き進む。
いよいよ狭山第三次再審の棄却を策動する東京高裁にさしかかる。宣伝カーからの呼び掛けに応え、デモ部隊は一層声を張り上げ、シュプレヒコールを叩きつける。「東京高裁は事実調べを行なえ」「東京高検は全証拠を開示しろ」「第三次再審闘争に勝利するぞ」「石川氏の無実をかちとるぞ」「勝利するまで闘うぞ」。闘争破壊を策動する国家権力は宣伝カーを叩き「早く車を出せ」と恫喝してくる。われわれは権力の恫喝なぞ物ともせず、東京高裁へ怒りのシュプレヒコールを叩きつけていった。霞門から日比谷公園に入ったデモ隊は、日比谷野外音楽堂の入り口でシュプレヒコールを上げ、デモ隊列を整え、5・23闘争実行委員会の集会へと移っていった。
五・二三闘争実が日比谷野音入口で東京高裁糾弾の集会
正午、5・23闘争実行委員会の呼びかけによる東京高裁糾弾の集会が開催される。同時に野外音楽堂入り口では解放派と全国学生部落解放研究会連合の部隊が情宣を開始する。部落青年・大衆に「狭山闘争の勝利をかちとろう」「石川氏とともに闘おう」「狭山闘争の幕引き許さず闘おう」「第三次再審闘争に勝利しよう」「『人権侵害救済法』の制定を阻止しよう」と呼びかけながらビラを手渡していく。公安私服どもが弾圧の機会をうかがう中、これを一蹴し最後まで情宣行動を貫徹した。
集会は、多くの部落青年・大衆の注目を集めるなか、神奈川県地域連合労働組合で部落解放運動を闘う仲間が司会に立ち、力強いシュプレヒコールで開始された。まず、集会へ寄せられた全国部落解放青年同盟からのメッセージが司会から紹介される。「本日の闘争は第9回目の『三者協議』の開催という状況での闘争であり、狭山闘争は重要な局面を迎えている」「東京高検が全証拠開示を拒む中にあって東京高裁・小川は事実調べを行なうことなく第三次再審棄却を策動している」「無実の部落民=石川一雄氏は70歳を超えてなお国家権力との対決を続けている。石川氏の怒りと無念に応える闘いを何としてもかちとらなければならない」「部落解放同盟内社民・こえ派の狭山闘争の幕引きを許してはならない。『国会請願デモ』などもってのほかだ。〈差別裁判糾弾、階級裁判粉砕、国家権力糾弾・打倒〉の旗幟を鮮明にし、狭山闘争勝利へ進撃しよう」と闘う決意が明らかにされ、参加者全員の拍手で確認された。
続いて、全国学生部落解放研究会連合の基調を明大部落解放研究会が提起する。「第三次再審が重要な局面を迎えている今こそ、戦闘的部落青年大衆を先頭とする階級的共同闘争と大衆的実力闘争・武装闘争で司法権力に対する、攻勢をさらに強め、第三次再審棄却策動を打ち砕いていかなければならない」「事実調べを行なわない東京高裁、全証拠開示を拒む東京高検に徹底糾弾の怒りを叩きつけ、闘いの大爆発をかちとろう」「戦時下、全国で拡大する差別事件を徹底糾弾し、『人権侵害救済法』成立を許さず闘おう。部落解放同盟内社民・こえ派の『告訴・告発』方針を踏みしだき、差別糾弾闘争の復権を成しきっていこう。今こそ部落解放運動の革命的飛躍を切り拓こう」と闘いの基調が明らかにされ全体で確認されていった。
集会に結集する各団体からの闘う決意を受けていく。まず最初に、東京・山谷日雇労働組合の仲間が決意に立つ。「実力闘争で、石川氏と共に第三次再審勝利に向けて闘いぬいていく。『反戦・仕事よこせ』を闘う。アブレ・野垂れ死にの押し付けを許さず闘う。2011-2012年越年・越冬闘争を闘いぬく」。「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」からは、「いかなる差別も助長してはならない。石川さんの闘いとガッチリと連帯し、仲間とともに団結し闘っていこう」。東部朝鮮史研究会からは「不退転で闘う石川氏と固く結びつき狭山再審勝利にむけともに闘っていこう。『在特会』を始めとしたファシストを徹底して撃滅して闘いぬいていこう。韓国労働者人民の闘いと連帯しながら日朝連帯闘争の前進を闘いぬいていこう」。全障連関西ブロックで闘う「障害者」の仲間は「差別されたものが差別者を糾弾していく、たとえ相手が国家権力であっても徹底糾弾していく、それが狭山闘争だ。この狭山闘争に、「障害者」解放運動も勇気づけられ、そして学び、ともに闘いの勝利のために闘ってきた」。反安保労研全国センターから「石川氏の決意に応えきり、何としても狭山闘争の勝利をかちとっていこう。12月11日、反安保全国労働者研究交流集会の成功をかちとっていく」。全国反戦青年委員会は、「部落の根本的解放に向け闘います。何よりも石川氏の檄に応え最後まで闘おう。名護新基地建設阻止を掲げ、戦争遂行の野田連合政府を打倒しよう」。全学連からは「狭山事件は許しがたい部落差別事件だ。部落解放運動の革命的飛躍前進をかけて闘っていこう」。
すべての闘う決意が圧倒的全体の拍手で確認され、全体の力強いシュプレヒコールで集会が締めくくられた。
日比谷野外音楽堂に結集
5・23闘争実行委員会の仲間は、石川氏の決意に応えるべく「狭山事件の再審を求める市民集会」会場へと合流した。小雨が舞う中、日比谷野外音楽堂は部落大衆、青年、労働者、学生が続々と結集し闘う仲間で埋め尽くされている。午後一時から集会が開始された。
司会が石川氏の登場を告げると大声援と拍手が沸き起こり、不屈に闘いぬく石川氏がマイクの前に立つ。「私の心のように寒い中を全国各地からこのように多くの人が駆けつけてくれて心から感謝の気持ちでいっぱいです。いよいよ私の狭山事件も重要な時期を迎えています。私たちも全力でいまの裁判で無罪・無実をかちとるために夫婦ともども元気で闘っていくつもりでおります。あと、1年半で50年、半世紀になってしまいますが、それまでに皆さん方のご協力の下で無罪をかちとれるように更なるご支援を心からお願いします。寒い中本当にありがとうございました」と重要な局面を迎えている第三次再審闘争への不退転の決意を明らかにし、われわれに激を飛ばした。割れんばかりの拍手で会場が沸きあがる。
弁護団報告では、まず中山武敏狭山弁護団主任弁護人から「存在しなければならない『犯行現場』とされている雑木林のルミノール反応検査報告書、実況見分調書に記載のある現場での8ミリフィルム、また死体のネガ写真、スコップ付着の指紋の検査報告書、こういったものが現在までまだ開示されていない。弁護団は今、石川さんが『犯人』であるといわれる自白の信用性を裏付ける『秘密の暴露』とされる万年筆の捜査関係資料、関係者の供述調書の開示を求めている。私たちは万年筆の問題を含む証拠開示に向け、今全力で活動を強化している。今日の朝日新聞朝刊は証拠開示の問題について再び取り上げ、狭山事件でも東京高裁が昨年5月録音テープなどの開示を勧告したと紹介している。この証拠開示の問題、この私たちの狭山の闘いが切り拓いてきたことは紛れもない事実です。私たちは何としてもこの再審で証拠開示をかちとっていく。そして現在、石川さんの録音テープのダビングが終了して専門の技術者がその分析を進めている。これも新証拠として提出していく準備をしている。再審をかちとる、事実調べをさせる、ということで全力で活動しているということを報告とします」と力強く決意を示した。
続いて中北狭山弁護団事務局長から「四七年ぶりに開示された証拠によって、石川さんが無実、そして有罪判決が明らかに誤ったものであったということが明らかになっている。第一に石川さんが逮捕当日に書かされた上申書、これによって状況証拠の基軸とされてきた脅迫状は石川さんが書いたものだという証拠が根本から崩れてきている。第二に取り調べテープの開示によって石川さんの『自白』はまさに取り調べ官によって誘導されたものだということが明白になっている。第三に『自白』の核心部分である『犯行現場』に関する『自白』も大きくその信用性が崩壊している。第四にカバン捜索に関する報告書の開示により『秘密の暴露』とされてきたカバンの発見は、決して石川さんの『自白』に基づくものではない、もっと前から発見されていたものだということが、明々白々となってきている。しかし、まだまだ隠された証拠は検察庁に山積みになっている。次回の『三者協議』では、核心部分である『秘密の暴露』に関する万年筆、カバン、腕時計に関する証拠を検察庁が開示するのかどうかがメインテーマになっている。昨日の福井女子中学生殺害事件の再審開始決定は、まさに証拠隠しが冤罪を生み、証拠開示によって再審開始がかちとれるということを明らかにした。狭山事件でも次々と証拠開示をさせて真実を明らかにし、有罪判決の誤りを明らかにしたい。今が正念場。共にがんばっていきましょう。弁護団もがんばります」と次回の「三者協議」の内容に触れながら決意を明らかにした。
五・二三闘争実行委がアジテーション
基調提起が行なわれ、証拠開示の必要性と裁判所に事実調べを要求していくことが訴えられた。その後、冤罪事件の当事者として、布川事件、足利事件、志布志事件、袴田事件、「ゴビンダさんを支える会」から司法―国家権力がいかにして冤罪を作り上げていくか、それぞれから怒りに満ちた訴えが続き、狭山闘争の勝利まで共に闘う決意が述べられた。
まとめとして「再審開始を決定し石川氏を一日も早く解放する闘いを」と訴えがあり、集会アピールは時間の関係上割愛され、最後に閉会挨拶に庭山氏がたち、集会が締めくくられた。
集会後、5・23闘争実行委員会の隊列は、会場からデモへ起つ全国の部落大衆に向け、シュプレヒコールをあげ、アジテーションを開始する。「司法の民主化要求に運動を切り縮めることなく闘うことが求められている。司法に徹底糾弾をたたきつけよう」「大衆的実力闘争、広範な階級的共同闘争をかちとってきた狭山闘争の質も量も上回る更なる発展をかちとっていこう」「狭山闘争を闘う中で、部落解放闘争を闘うものと国家権力は非和解であるということを掴み取ってきた。司法に幻想を持つのではなく、差別裁判を徹底糾弾し、階級裁判を粉砕する原則を断固として曲げることなく闘いぬいていこう」と訴えかける。部落大衆からは拍手が沸きあがり、声援が飛ぶ。シュプレヒコールではともに拳を振り上げる姿もあった。全てのデモ隊列を見届け、最後に集約提起を行ない5・23闘争実行委員会は闘争を貫徹し闘いぬいた。
12月半ばに開催される第9回目の「三者協議」で検察側がどう出てくるのか、それによって東京高裁・小川が第三次再審棄却を決定してもおかしくない状況へと突入している。決して油断してはならない。戦時体制形成へと突き進む日帝にとって、狭山闘争の解体こそが最大の目的なのだ。司法―国家権力の第三次再審棄却策動を何としても阻止していかなければならない。司法―国家権力に対し、「公正・中立」の一切の幻想を捨て去り、〈差別裁判糾弾、階級裁判粉砕、国家権力糾弾・打倒〉の闘いの基調を一歩も後退させることなく、階級的共同闘争、大衆的実力闘争・武装闘争で第三次再審闘争に勝利しよう。狭山闘争の幕引きを加速する部落解放同盟内社民・こえ派の制動を突破し、石川氏を激励し狭山闘争の歴史的勝利へ進撃しよう。
差別糾弾闘争を破壊・解体する「人権侵害救済法」の制定を阻止し、差別糾弾闘争の爆発をかちとり、部落解放運動の革命的飛躍を切り拓こう。 |