WORK OFF



幾ら一般兵と言えど、同室の奴に”行き先”を伝えておく事で、兵舎内であれば門限は無い。
ただし、セキュリティーの都合上、万が一の為にカードスキャンでの認証が必要で、こっそり外泊・・・という便宜はなされていない。

「・・・・・出て来る。」
「あぁ、分かった。」

良くも悪くも、ザックスと付き合い始めて何ともだらしない顔で・・・いや、満面の笑みを振り撒いてくれたお陰で、俺とザックスの仲は公認となってしまった。

それでも『〜に行って来る』と長ったらしく言わずとも、『出掛ける』の一言で理解してくれる同室の奴にも多少なりとも感謝すべきだろうか?

―― 好き放題してんじゃねぇよ。
―― お前、何様だと思ってんだ?ウゼぇんだよ。

などなど。
最初はそれなりに反感を買っていた訳だが、行き先を知った途端に態度が一変した。

―― 最初からそう言ってくれりゃ良かったのに
―― ところでザックスさんとはどうなってるんだ?あの女ったらしのザックスさんが、
   浮いたうわさの一つも出なくなったのって、お前に入れ込んでるからだって出歯亀
   連中が浮き足立ってたぞ?

(そういうお前も十分、出歯亀だから・・・・。)

口には出さないが、心の中で突っ込みを入れてみる。
人の事より自分の心配したらどうなんだよ。男ばかりの中に居て、恋人作れるのか?
そんな事を考えながらもザックスの部屋の前まで到着。

「えーと、・・・・・・・っと。」

ここのパス無駄に長いんだよな。今度、長過ぎると訴えてみよう。
ドアの前で一人頷いていると、"ピピッ"という機械音と共にドアが開く。

「・・・・・・お邪魔します・・・・。」

一応は恋人の部屋とはいえ、他人の部屋だし挨拶くらいはしておこう。

「おっ!いらっしゃ〜〜い!!」

キッチンで何かをしていたのだろう。
バタバタと慌しくザックスが出迎えてくれる。・・・・って言うか

「あんた、何で居るんだ?」
「何でって俺の部屋だし。」
「そうじゃなくて、今日は帰りが遅くなるって・・・・。」
「あ、そっか!そういやそんな事も言ってたっけ。」

自分で言っておいて忘れるなよな。

「まーまー、いいじゃないの。いとしの彼氏に会えるんだしさ!!」
「・・・・・帰るぞ?」
「や、ちょっ!待て!!」
「クスクス・・・・冗談だよ。」

ザックスのリアクションは大袈裟だけど、からかうと面白い。

「クラウドにゃ敵いません。」
「敵われちゃ困る。で、何してたんだ?」
「あぁ、晩飯の支度。今日はクラウドの好きなオムライス!スープとサラダ付き!!」

自信たっぷりに胸を張って、"文句ねぇだろ?"とでも言いそうだ。

「ソースはデミグラ?」
「おうよ!スープはコンソメ、サラダはミニサイズでグリーンサラダ!どうよ!?」
「うん、合格。」
「よっしゃ〜〜っ!!!」

いつものパターン。
ザックスがその日に自分が食べたい料理を作る。
けど、その好みは俺に合わせた物で。カロリーも高過ぎず低過ぎずな丁度良いメニュー。
前に作った料理を目の前にして『アンタ、栄養士になれるんじゃないか?』と言った事がきっかけとなり、俺に"合格点"を貰うのが目的らしい。

だからといって、俺達はそういう専門的な知識がないから、俺達の場合は栄養値がどうのとかではなくて、作ったメニューに対しての合格点となっている。

「ザックスってさ、毎回評価されて楽しい訳?」
「すっげぇ楽しいに決まってるだろ。」
「何で?」
「そりゃ、メニューを考える楽しみってやつ?俺が考えて作ったモンを、お前が"旨い"って言ってくれる事を考えただけで・・・・・・」

そう言いながら、当のザックスはどこか遠くへ意識を飛ばしてしまっているらしい。

「・・・・・おい、戻って来い。」
「はっ!!ま、まぁそういう訳だ。」
「どういう訳だ・・・・??」

やっぱり俺達は、いつもこんなパターン。
それでも楽しいと思えるのは、きっとザックスが傍に居てくれるから。


                                    <Fin.>



そしてやって来ました”言い訳”のお時間。(苦笑)
意味不明な上にオチがありません。これまた1時間ネタでございます;
途中放棄してるものは沢山あるんですが、ネタが・・・・・。
ネタ切れを起こしている為に放置状態です。
あ、ちなみにこれはアンケのものとは関係ありません。まずは”裏物”からスタートですので、裏小説がUPされたら、「アンケの小説を消化し始めたな」と思って頂ければ・・・。