010 抱き締めたい



『おやすみ・・・・・ザックス。』



・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うがぁっ!!!

何だ何だ、どうなってる!!??
・・・・・・・・ちょっと整理してみようぜ、ザックスさんよ。

えーと、神羅の奴等に見付かって、クラウドを取り敢えず岩陰に隠して・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺、死んだよ・・・・な?

クラウドにバスターソード押し付けて。
おかしい。それなら、ここに居る俺は・・・・・誰!?
い、いや。間違いなく俺だ。記憶も飛んでねぇし。

見渡す限り崖と岩が広がり、目の前にはミッドガルが見えっし。
足元から伸びている跡は、恐らくクラウドがバスターソードを持ち切れずに引き摺ったものだろう。
そりゃー、あいつからすれば重い代物だろうし、引き摺るのも解るが、せめて抱えるとかして欲しかった・・・・・・・・ってんな事を言ってる場合じゃねぇ!!
崖と岩が連なる地の眼下を見下ろすと、そこにもクッキリと引き摺った跡が続いている。

「あいつ、あの状態でミッドガルに向かったのか?」

――― ミッドガルに戻ったら、二人で"何でも屋"でもやろうぜ! ―――

あの時のクラウドからは当然の如く反応は無かった。

「まさかあの言葉を覚えてたのか?」

嬉しい様な悲しい様な。
今のクラウドは重度の魔晄中毒症状を発症している。
これから会いに行って、俺が判るだろうか?

「会ってみなきゃ判らねぇよな。」

クラウドは中毒症状を起こしながらも生きている、自分の足で歩いている。
ならば、一か八か試してみるのもいいじゃねぇの。

「まずは、挨拶代わりに力一杯抱き締めてやろう。」

蹴飛ばされても殴られても構わずに、罵倒されようと離さねぇ。
俺を忘れてしまっているなら、抱き締めたまま、もう一度告るのも悪くねぇ。

「待ってろよ・・・・。」

                   <Fin.>