014 友達以上恋人未満



困ったぞ・・・。
この状況でどうしろってんだ?流石の俺でも、これはちょっとマズイ。
”この状況”ってのは、いわゆる<<添い寝>>だ。

「何が原因でこうなったんだったっけ?・・・・・・・・あ、あれか。」





「ただいま〜。」
「・・・・お帰り。今日は早かったんだな。」

俺が部屋に戻ると、クラウドの方が先に遊びに来ていて、晩飯の準備も終わっていた。
”料理なんか出来るのか??”と思っていた俺は、その腕前に脱帽した。
旨いなんてもんじゃなく、ちょっと・・・いや、かなり早いが”老後も安心!”って程に旨い。

「一人分作ったって面倒なだけだから。」

・・・・・と言うのが今まで殆ど作らなかった理由だったらしい。
一度やらせてみれば、目分量の味付けに手際の良さ。
最初は『ちょっとマテ!!』と思いはしたものの、出来上がった料理はまさに絶品。
完璧じゃねぇ!?

当然、今日も今日とてクラウドの手料理な訳だが、それに気分が良く、たまに部屋で飲むのも良いかと帰りに買って来たワインを2人で飲もうという事になった。

「も〜むりぃ〜〜。」

・・・・クラウドは思った以上に酒に弱かった。
今日のワインは、クラウドがどれだけ飲めるのかも分からないって事で、ちょい不良なお子様でも飲める様な、ジュース感覚の代物だ。

「大丈夫か?」

これ以上は飲ませる事は出来ないと判断し、冷たい水が入ったコップを手渡しながら問い掛けてみるも反応が無い。

「クラウド?」
「・・・・すぅ〜〜〜・・・・。」

ね・・・寝ちまってるぞ、オイ!!
と、取り敢えずこのままはマズいよなぁ。風邪引いても困るしな。

仕方なく”お姫様抱っこ”で寝室へ運んだまでは良しとしよう。
問題はそれからだった。

「・・・・・んーーー?あれ・・・?」

ヤバっ!!起こしちまったか??

「ザックス・・・??」
「お目覚めか?お姫様。」
「・・・・・誰が姫だっ!」

はいはい、ゴキゲン斜めなんですね。

「ここあんたの・・・部屋?」
「あー。お前、あのまま寝ちまったからさ。ここまで運ばせて頂きました。」
「そっかぁ。寝ちゃったんだ、俺。」
「気持ち良さそうに”すーすー”と。気分は悪くないか?」

二日酔いってのは後味悪いんだよな。
調子が悪くないなら、今のうちに手段を取っておく事も出来るしな。

「んーーー。気分はじょ〜じょ〜で〜〜〜す。」

完っっ璧に酔ってますね、これは。

「ノド渇いただろ。何か飲むか?」
「いらな〜〜い。・・・・っふ。ねむっ・・・。」

普段からは想像を絶する程デカイ口を開けて欠伸するくらいに眠いのね?
そんな顔を見る事が出来るのも、こうして一緒に居る時間があるからだろうな。

「分かった。俺はソファで寝るから、具合悪くなったり何かあったら呼べよ。」
「・・・・・はぁ?何言ってるんだよ。あんたも一緒に寝るっ!!」
「はい??」

何を言い出す事やら。そんなん無理に決まってんだろ。保たねぇって・・・。

「だぁかぁらぁ、あんたもここで寝るのっ!ソファ何か駄目だ!!」
「・・・ここで?」
「そうここで。」
「クラウドと一緒に?」
「そう!・・・何。俺と一緒に寝るのが嫌だって言うのかっ!!」

っつーか、何で俺が怒られてんの?いつも一人で寝てるんだろうがよ。
それが何だって一緒に寝なきゃならないんだ?
ホントに無理ですから。

「いつまで突っ立ってるんだよ。俺は眠いの、早くっ!」

は・・・早くって、赤ら顔で言われても・・・。
あーもーイカン。クラウドが言ってるのはソッチじゃねっての。
・・・・・・・・・・・はぁ。

「立ったままで寝る気?」
「あー、はいはい。分かったから、もうちょっとそっちに寄ってくんね?」
「何で?」
「何でって、俺が寝らんねぇだろうが。」
「寄ったって狭いのは変わらないし。」

だったら一緒に寝る必要があるのか?

「寄らなくたって腕枕してくれれば眠れるんじゃない?」

何故にそうなるんすか、クラウドさん・・・。

「あ、いや・・・・それは無理。」
「何で。」

”何で”の質問攻めにされても困るんですけど。
いや、ここで逃げたらとんだ意気地なしか?この俺が!?
・・・・・やってやろうじゃねぇの。

「分かりました。やらせて頂きます!」





そんで、今に至ってる訳だ。

「・・・・・やっぱ断っておくべきだった。」

<<後悔先に立たず>>とはこの事か。
ヤベぇ。クラウド・・・・すっげイイ匂いする・・・。

しかも寝る前に、何故か酔った勢いのクラウドから”お礼のキス”まで頬に頂いてしまったもん
だから、尚更眠れない。

「俺は貫徹か?」

事ある毎にそれなりの反応を見せてくれるクラウド。
時には頬を紅く染めてみたり、落ち込んでみたり、嬉しい時には満面の笑みを見せてくれる。
それはどれも俺だけが知っている一面。

そんな俺達の関係と言えば、互いに”親友”というカテゴリにブチ込んでいるものの、俺として
はもっとクラウドと一緒に居たい。
出来る事なら、”友達”とか”親友”なんてものじゃなくて、”恋人”として・・・・。

「・・・・・・・・って言うか、これじゃ生殺しだ・・・。」



                   <Fin.>