香登使信

日本イエス・キリスト教団香登教会

2021年2月7日第838号

「我なり、恐るな」マタイの福音書14章22〜33節 工藤弘雄牧師

コロナ禍の不安の中で「我なり、恐るな」との主の御声を聞く者は幸いです。本章には三つの場面があります。肉欲と凄惨な世を象徴するヘロデの世界、平和で満ち足りたイエスの世界、そして湖上の逆風に悩まされる弟子たちの世界です。主イエスはパンの奇跡の後、弟子たちをしいてガリラヤ湖の向う岸へ向わせられました。湖上は突風、ヘロデの世にある教会丸の光景です。この暗黒、突風の中で、今、主の御姿を仰ぎましょう。

天上でとりなされる大祭司なる主

主イエスは、無理やりに弟子たちを向う岸に向わせ、群衆を解散させ、一人山に登り、祈っておられました。弟子たちの舟は陸から数丁離れ、暗黒で激しい向い風で漕ぎあぐんでいました。主は、その弟子たちの様子を見て、山の上で祈っておられたことでしょう。

そうです。主イエスは、今、天の至聖所にて私たちのために日夜まどろむことなく、祈っておられるのです。ヘブル書を見るとこの大祭司なるイエスの御姿が鮮明です。大祭司は私たちと同じように試みにあわれ、私たちの弱さを思いやることのできないお方では決してありません。賛美歌に「主の受けぬ試みも、主の知らぬ悲しみも、うつし世にあらじかし、いずこにもみ跡心見ゆ」と歌われるように、どのような試みや悲しみの中にも、主のみ足のあとを見ることができるというのです。

主は十字架と復活において贖いのわざを成し遂げ、昇天され、今こそ尊い大祭司の座に着かれ、忠実にとりなしのみわざを続けておられるのです。社会、教会、家庭、個人において、暗黒、大嵐、高波に悩まされている私たちのため、主は、祈っていてくださるのです。私たちにはこの大祭司なるイエスあり!今、この主を信仰の目をもって仰ごうではありませんか。

嵐の中に近づかれる臨在の主

山の上で弟子たちのためにとりなされていた主は、暗闇の中、高波を踏み越え、逆風に悩まされている彼らに近づき、お声をかけられたのです。「しっかりしなさい。わたしだ。恐れることはない」(27)。

心安かれ、我なり、恐るな!そうです。天上で私たちのためにとりなされる主は、同時に暗黒、逆風、高波の中で戦っている私たちに近づき、お声をかけてくださるのです。心安かれ、我なり、恐るな!主はあなたに近づいてくださる。どのような恐れの嵐の中でも近づいてくださる。あなたの傍らに立ってくださる。そして、お声をかけてくださるのです。心安かれ、我なり、恐るな!コロナ禍での社会における戦い、教会の牧会と伝道、家庭や個人の様々な試みなど、どのような暗黒、逆風、高波の中でも、主は日夜とりなしていてくださる。それだけでなく、主は近づいてくださる。そしてお声をかけてくださるのです。「しっかりしなさい。わたしだ。恐れることはない」と。

今、この臨在の主を仰ぎましょう。この主のお声を聞きましょう。日本イエス・キリスト教団初代委員長の小島伊助先生は、終戦の翌年、塩屋の学舎で開かれた祈り会の中でこのお声を聞かれました。その年一九四六年夏、日本伝道会は起こされ、それが今日の教団の濫觴となったのです。教団的にも、教会的にも様々な戦いのある中で、臨在の主は常に「心安かれ、我なり、恐るな」の御声をもって、導き、守り、みわざを進めてくださいました。そして教団は本年、創立七十周年を迎えることになりました。今、教団的にも教会的にも個人的にも、どのような暗黒の嵐の中でも、臨在の主は、私たちに近づき、お声をかけてくださるのです。心安かれ、我なり、恐るな!

嵐をしずめ安息を与える内住の主

湖上を歩かれる主を見て、ペテロは「私に命じて、水の上を歩いてあなたのところに行かせてください」(28)と言いました。主は「来なさい」と言われました。驚くなかれ、ペテロは主と同じように湖上を歩いたのです。

主が歩まれたように歩みたい!これがペテロの聖なる願望でした。主が命じられればできる。これがペテロの信仰です。それは聖化の歩みにも通じます。主が命じられるなら、どんな汚れた者でも主が歩まれるようにきよく歩める!

ところがペテロは、強風を見て怖くなり、沈みかけ、「主よ、助けてください」と叫びました。主イエスから目を離し、波風を見たからです。ですから「信仰の創始者であり完成者であるイエスから、目を離さないでいなさい」(ヘブル12:2)。主は即座に手を伸ばし、彼をつかんで言われました。「信仰の薄い者よ、なぜ疑ったのか」(31)。私たちも「心安かれ、我なり、恐るな」と言われる臨在の主から目を離し、試練の波風を見て沈みかけることがあります。でも私たちが叫ぶなら、主はすぐに手をさしのべ引き上げてくださるのです。

「二人が舟に乗り込むと、風はやんだ」(32)。主が内に来られるとき、強風はやみ、全き安息が与えられます。外に嵐が吹きすさんでも、内心は全く平安なのです。

今、天上の大祭司なる主を仰ぎましょう。今、臨在の主を仰ぎましょう。今、内に主を宿し、全き安息をいただきましょう。そして今、臨在の主のお声を聞きましょう。心安かれ、我なり、恐るな!

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