香登使信

日本イエス・キリスト教団香登教会

2020年12月20日第835号

「史上最高のクリスマスプレゼント」ヨハネ3章1〜16節 工藤弘雄牧師

 クリスマスと言えばプレゼント、プレゼントを抜きにクリスマスはありません。サンタクロースのプレゼントに胸をときめかした幼い頃の思い出をお持ちでしょう。しかし、ここに史上最高のクリスマスプレゼントがあります。今、この神様からの最高のプレゼントについて見ることにしましょう。

永遠のいのちというプレゼント

 「永遠のいのちを持つため」、これこそが史上最高のクリスマスプレゼントです。この年頭、皆様に愛していただいた次女を天に送り、また、愛する教会員、親しくしていた多くの方々の召天の報に接し、天国が一層身近に感じられた年だけに、永遠のいのちというとてつもない神様からのプレゼントを改めて噛みしめています。

 永遠のいのちとは死を克服したいのちです。死には痛みや悲しみが伴います。娘のがんが最終的に脳へ全面的に及んだと知らされ、父親の私は娘に涙ながらに告知しました。緩和ケア病棟に娘を送り、しばらくは身を崩すように嗚咽する夜が続きました。ところが娘は、入院した翌朝、美しい朝空を見、「美しいこの空を」と歌い出したと妻は「羔」に記しています。永遠のいのちの希望は、死がもたらす恐れ、悲しみ、苦しみを払拭し、慰めと希望に溢れさせるのです。

 「わたしはよみがえりです。いのちです。わたしを信じる者は死んでも生きるのです。また、生きていてわたしを信じる者はみな、永遠に決して死ぬことがありません」(ヨハネ11・25,26)。主イエスのこの御言葉は死を前にした者にどれほどの希望を与えることでしょうか。

 さらに、この永遠のいのちは、永遠に生きるというだけでなく、この言葉の中にイエス・キリストの救いの全てが含まれているということです。まさに救いの総決算と言えるでしょう。罪が赦される、義と認められる、神と和解する、新しく生まれる、聖霊に満たされる、神の臨在が伴う、やがて栄光のからだに化せられる、そうした救いの全てが、この永遠のいのちに含まれているのです。

御子のいのちと引き換えのプレゼント

 では、神様はこの永遠のいのちを与えるためにどれほどの犠牲を支払われたのでしょうか。「神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに世を愛された。」ここに、永遠のいのちのコストがあります。この史上最高のプレゼントと引き換えに、神は、実に、そのひとり子を世の人々に与えられたのです。ひとり子をお与えになる。それは、ベツレヘムの家畜小屋で御子が誕生されることであり、さらに「モーセが荒野で蛇を上げたように、人の子も上げられなければなりません」(14)とあるように、主イエスが呪いの十字架にかけられることを意味しているのです。

 荒野で毒蛇に噛まれ、死んでいく民のまん中に青銅の蛇が上げられ、信じ仰いだ者は生きたのです。蛇の毒からの救いが青銅の蛇にあったように、罪の死毒からの救いが御子の十字架にありました。永遠の滅びから永遠のいのちに生かされるために、父なる神は、なんとひとり子を十字架にお掛けになることを許されたのです。それほどまでに世の人々を愛されたのです。何というご愛でしょうか。

 一昨年秋、次女夫婦は私たちの金婚祝いのため箱根に招待してくれました。彼らと十国峠で見た富士山の美しさは忘れられません。かつて旅の一行が十国峠で富士山を見ようとしたとき、あいにく霧のため見られませんでした。ところが霧が一瞬にして晴れ、富士の全貌が彼らの眼前に現されたとき、あまりの美しさに思わず顔を伏せたとのことです。聖書中の富士山と言われるヨハネ三章十六節に現れる壮絶な神の愛を見るなら、誰しも顔を伏せてしまうでしょう。

信じる者に与えられるプレゼント

 これほどのプレゼントであっても、もしこれを拒んだらどうでしょうか。受けとる資格がないと遠慮したらどうでしょうか。その人には永遠のいのちはありません。あるは永遠の滅びだけなのです。

 神様はどんなにすばらしいプレゼントであっても人に押しつけることはなさいません。「御子を信じる者」が永遠のいのちという最高のプレゼントを受けるのです。荒野で蛇の死毒に苦しみもがく者が、「仰ぎ見て生きよ」のご命令を受け、青銅の蛇を信じ仰いだから、生きたのです。同様に十字架の主イエスを救い主として信じ仰ぐ者に、この永遠のいのちが約束されるのです。

 服毒自殺を図った青年に解毒剤を飲ませようとしてもそれを受けず、死んでいった話を聞きます。彼は悲しいことに毒を飲んだから死んだのではなく、解毒剤を飲まなかったから死んだのです。悲しくもヨハネ黙示録では最後まで罪を悔い改めず、偶像を信じ、神を呪い逃げ惑う人々の姿を見ます。

 青年時代、バンビ、バニーと呼び合った岸義紘先生からの手紙の一節です。「栄光の希望など縁もゆかりもない人生だったら、この老後は虚無と悲惨そのものだったと思うと、福音のありがたさが骨身にしみるぞ、なあ、バニー様。」 このクリスマス、史上最高のプレゼントを互いに喜び分かち合い、何としても一人でも多くの人にこれを紹介しようではありませんか。

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