香登使信

日本イエス・キリスト教団香登教会

2020年12月13日第834号

「見よ、わたしは主のはしため」ルカ1章26〜56節 工藤弘雄牧師

 待降節が続いています。今、処女マリアへの受胎告知から、マリアの信仰、その祝福と幸いを私たちのものとさせていただきましょう。ここにマリアにとってすばらしい三つの幸いがあります。

主がともにおられる幸い

 まず、マリアの幸いは主がともにおられることでした。御使いガブリエルはナザレの一人の処女マリアを訪れ、挨拶をします。「おめでとう、恵まれた方。主があなたとともにおられます」(28)。ここにマリアの最高の幸いが証言されています。彼女は日常の生活の中で、常に主とともに歩んでいました。そのことを人が証しする以上に、御使いが証明しているのです。ジョン・ウエスレーは、「最も善きことは神我らと共におられることである」と語りましたが、マリアはその最善の中に生きていました。ですから、突然の御使いの来訪にも恐れることはなく、御使いと対面できました。レオナルド・ダ・ヴィンチの名画「受胎告知」では、マリアは御使いと正面から向き合っています。あの使徒ヨハネでさえも、パトモス島において主の顕現に接したとき、恐れ倒れこんだのです(黙示録1:17)。しかしマリアは、日々主の臨在の輝きの中に生きていましたので、御使いと正面から向き合うことが出来たのです。私たちも主の十字架の血潮により、罪を赦され、心をきよめていただき、日々、「主がともにおられる」という最高の幸いに生きようではありませんか。

主のことばを信じ切る幸い

 次に、マリアはエリサベツから「主によって語られたことは必ず実現すると信じた人は、幸いです」(45)と証しされました。処女が身ごもると言うことは信じ難いことです。御使いから驚くばかりの受胎告知を受けたマリアは「どうしてそのようなことが起こるのでしょう。私は男の人を知りませんのに」(34)と尋ねています。それは疑いの心からではなく、単純な驚きをもって尋ねたのです。すると御使いは、聖霊による懐妊とエリサベツの証しと「神にとって不可能なことは何もありません」(37)との聖書のメッセージをもって答えたのです。深い真理の解明、身近な人の体験、聖書の証言と言う三つをもって御使いが答えたとき、マリアは「主によって語られたことは必ず実現すると信じた」(45)のです。

 人類史上、最も信じ難い処女降誕をマリアは、主によって語られたゆえに必ず実現すると信じ切りました。何という幸いでしょうか。主は、私たちにも語りかけられます。「あなたの罪は赦された」、「あなたの古い人は十字架につけられた」、「聖霊はあなたの上に臨む」と主が語られるなら、必ず実現すると信じましょう。

 さらに私たちの信仰生活において、病いの癒し、試練の中での脱出の道、宣教の幻の実現、教会の働きの進展、家族の救い、会堂の建築等々、主は語り、約束されるでしょう。その言葉を信じ切ることは何と幸いでしょうか。

 マリアの信仰による応答をお聞きください。「ご覧ください。私は主のはしためです。どうぞ、あなたのおことばどおり、この身になりますように」(38)。彼女の信仰は生きた信仰でした。そのことがこの明け渡しと服従、約束の成就を積極的に求める言葉となって証明されたのです。

主が目を留めてくださる幸い

 さらに、マリアはユダの里を訪れ、エリサベツとの交わり、主を賛美する中で第三の幸いを証しするのです。「この卑しいはしために目を留めてくださったからです。ご覧ください。今から後、どの時代の人々も私を幸いな者と呼ぶでしょう」(48)と。

 主に目を留めていただく。これほどの幸いはありません。卑近な例ですが、野球のスカウトが甲子園で活躍し、マスコミで報道されるような選手ではなく、以外と思われる選手に目を留め、スカウトし、やがてその選手が大成することがあります。主イエスも、ありふれた漁師であったヨハネの子シモンに目を留め、ご自分の弟子とし、やがて彼は偉大な使徒ペテロとなったのです。

 主はどのような者に目を留められるのでしょうか。心の思いの高ぶる者(51)、権力のある者(52)、富める者(53)ではなく、主を恐れる者(50)、低い者(52)、飢えた者(53)に目を留め祝福を与えられるのです。

しかし、主が目を留められた幸いと光栄の裏には、ヨセフの驚きと苦悶、世間の冷たい目や石つぶてという痛みが伴うのです。でもマリアはあまりの感動のゆえに、「ご覧ください。私は主のはしためです」と申しあげ、はしためであればこそ、「どうぞ、あなたのおことばどおり、この身になりますように」と言い得たのです。この全き明け渡しと全的服従の胎に御父のみこころのままに生きる御子が懐妊されたのです。 

 このクリスマス、マリアのように主がともにおられる幸い、主のことばを信じ切る幸い、そして主が目を留めてくださる幸いを私たちの幸いと致しましょう。その幸いのゆえに、「見よ、私は主のはしためです」とすべてを主に明け渡し、みこころを喜び、真にみこころに生きる者となりましょう。

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