香登使信

日本イエス・キリスト教団香登教会

2020年11月29日第833号

「闇の中の民に大いなる光」イザヤ9:1〜7 工藤弘雄牧師

 闇の中を歩んでいた民は大きな光を見る!コロナ禍でアドベントを迎えました。であればこそクリスマスの栄光がひときわ輝きます。新型コロナウイルスの感染により、病に倒れ、命を失い、経済的困窮に陥るなど、様々な苦悩が世界を覆っています。アッシリア軍の侵攻により荒廃した北方イスラエル、その闇の中を歩む民に大いなる光が輝いたように、このクリスマスの栄光の輝きはコロナ禍に悩む私たちにどれほどの慰めと励ましをもたらすことでしょうか。

暗闇の中に大いなる光

 イスラエルの民はまことの神を退け、偶像を拝み、神の律法を破り、不信仰に陥りました。それゆえ、アッシリア軍に滅ぼされ、ゼブルンもナフタリも、異邦の民が混在するガリラヤも「死の陰の地」と化しました。しかし、そこに大いなる光が差し込んだのです。

 二節から五節をご覧ください。暗闇の民は大いなる光を見る。国民は増え、その喜びを増し加えられる。圧勝者のくびき、杖、むちは打ち砕かれる。武装は解除され、すべての武具は火で焼かれる。大いなる光は輝き、大いなる喜びは湧き上り、大いなる開放が与えられ、大いなる平和が訪れる。

 何という希望に満ちた慰めと励ましの預言の言葉でしょうか。イザヤはまさに希望の預言者でした。

 アッシリアの侵攻という禍、新型コロナウイルスの禍、それは、人々に暗黒と荒廃と苦悩をもたらしました。しかし、現実、コロナウイルスよりも恐ろしいものは、人を永遠の滅びに追いやる罪です。真の神を信じず、自己を高める者は、人は殺す、姦淫を犯す、盗む、偽る、そして貪るという罪に陥り、自分のいのちと人生を破壊し、社会を毒し、混乱させたのです。しかし、救いの神は、その暗黒の世界に光を投じ、悪魔と罪と死を滅ぼすという驚くべき救いを与えてくださるというのです。

 NHKの朝ドラ「エール」は「長崎の鐘」の歌唱で終わりました。原爆投下により瓦礫の山と化した浦上天主堂の焼け跡から、無傷の鐘が掘り出されました。爆心地に近い長崎医大の永井隆医博は、重傷を負い、妻を天国に送りました。彼の随筆『長崎の鐘』をモチーフに名曲「長崎の鐘」が生まれたのです。三節では、「心の罪をうちあけて/更け行く夜の月もすみぬ」と歌います。キリスト者の永井隆はこの歌を聴き、「新しい朝の光のさしそむる/荒野にひびけ長崎の鏡」と歌いました。日本が引き起こした第二次大戦の罪を心砕けて悔い改めところに、慰めと励ましの「長崎の鐘」が響き渡るのです。このコロナ禍の中でも、真に砕かれた心で、罪を悔い改める者に、慰めと励ましの希望の鐘は鳴り響くのではないでしょうか。

大いなるクリスマス預言

 闇の中を歩む民に大いなる光を照らし、慰めと励ましと希望を与えられた神は、罪と死と滅びの中にいるすべての民に、光そのものである救い主を送られるのです。イザヤが見、語った驚くべきクリスマス預言をお聞きください。

 ひとりのみどりごが、私たちに与えられました。国籍も民族の別なく、私たち全てにです。このお方こそ、インマヌエルなるお方です(7・14)。そのメシア、救い主はどのようなお方でしょうか。その名前を見ればわかります。

 「その名は『不思議な助言者、力ある神、永遠の父、平和の君』と呼ばれる」(6)。何というすばらしお方でしょうか。文語訳聖書や英語欽定訳では、この名前を五つに分けています。

 まず、その名は不思議です。英語ではワンダフルです。主はかつて、「その名は不思議」(士師3・18)と言われました。英語のワンダフルには「驚くべき」と「素晴らしい」の二つの意味があります。実に私たちの救い主は、驚くばかりの素晴らしいお方。文語訳では、「その名は奇妙」。まさに奇しくも妙なるお方!

 次に、助成者。不思議を形容詞にとれば、「不思議な助言者」。私たちの傍らに常におられ、慰め、励まし、教え、導き、助けて下さるカウンセラーなのです。

 さらに、力ある神。神であられながら、人となられた神!暗黒から光へ、憂いから喜びへ、重荷から安息へ、争いから平和へと導く大能の神なのです。

 そして、永遠の父。やさしく、あたたかく、権威に満ち、永遠に私たちのアバ、父、「お父ちゃん」となってくださるお方。

 最後に、平和の君。神と人との間に平和をもたらし、人と人との間に平和を築き、人の内心に真の平安を与えられる平和の君。混乱、分断、憎しみと争いのこの世界に最も必要なお方は、この平和の君なるお方なのです。

 このお方が、永遠に続くダビデの王国を統治されるのです。あの処女マリヤに御使いガブリエルは、この預言をもって語られたではありませんか(ルカ1・32,33)。

 

 今、このコロナ禍の中でこの救い主を仰ぎましょう。妬むほどに私たちを愛する万軍の主の熱心は、救いのみわざを成し遂げ、私たちの祈りに答え、ありとあらゆることを成し遂げてくださるのです。自己の救いの達成のため、家族、親族の救いのために祈りましょう。救いの鐘は鳴り響いています。闇の中を歩む人々に、様々な方法を用いこの良き訪れを伝えましょう。

トップページへ


日本イエス・キリスト教団 香登教会

〒705-0012 岡山県備前市香登本550-3
TEL:0869-66-9122 FAX:0869-66-7311
E-mail:Kagato☆kbh.biglobe.ne.jp
スパム防止のため「☆」を「@」に書き換えてお送りください 。
(C) 2017香登教会