香登使信

日本イエス・キリスト教団香登教会

2020年7月5日第823号

「大いなる招き」マタイ11章25〜30節 工藤弘雄牧師

 聖書の中で最も美しい招きがここにあります。バプテスマのヨハネに「あなたは本当に救い主ですか」と尋ねられ、厳かに返答をし、その時代の救い主に対する無関心さと冷淡さを深く嘆かれながら、「そのとき」、主は御父をほめたたえつつ、すべての人々に大手を広げ招かれるのです。

大いなる救い主

 この大いなる招きをされるお方は、「天地の主であられる父よ」と呼ぶことのできるお方です。そうです。天地創造の神の御子です。そして「すべてのことが、わたしの父からわたしに渡されています」(27)と言われるように、人類の救いの全責任を御父から委ねられたお方です。さらに「父のほかに子を知っている者はなく、子と、子が父を現そうと心に定めた者のほかに、父を知っている者はだれもいません」(27)と言われるように、御父に完全に知られ、御父を完全に知っているお方なのです。牧師である私を知っている方々は多くおられます。しかし、妻や息子娘においてはその知ることにおいて特別でしょう。主イエスは天地創造の御父の子、御父と全く一つ、御父から全権を託された救い主です。そのお方が「わたしのもとに来なさい」と招かれるのです。

 では、その大いなる招きにあずかる者とはだれでしょうか。「すべて疲れた人、重荷を負っている人」です。律法の重荷に耐えきれず、疲れ切っている人々です。自分の願う善を行えず、自分の願っていない悪を行ってしまうみじめな者です。さらに人生の様々な重荷や苦しみに押しつぶされている人々です。決して知恵ある者でも賢い者でもないすべての人々を主は招かれます。むろん、牧師も信者もだれかれ問わず、疲れた人、重荷を負っている人はこの招きからもれてはいません。

大いなる命令

 では、主イエスは招きの中でどのように命じられているでしょうか。第一に「わたしのもとに来なさい」です。主イエスは「あなたはわたしから離れなさい」とは言いません。「教会に来なさい。聖書を勉強しなさい。お祈りしなさい」でもありません。「手土産をもって来なさい。きれいな服装をしてきなさい」でもありません。「汚れていても、何をもたずとも、あるがままで来なさい」と言われます。

 あの放蕩息子は、全財産を食い尽くし、人生に破れ、汚れたまま、無一物で父のもとに帰りました。今も主イエスは「疲れたまま、重荷のあるまま、わたしのもとに来なさい」と命じられます。

 第二に「わたしのくびきを負いなさい」と主は命じられます。くびきとは二頭の牛が一緒に働くために工夫された道具です。主のくびきとは、主イエスと一つとなり、主と一緒に働くために工夫された道具です。くびきを負うとは主イエスにすべてを任せ、主イエスと一体となることです。くびきは負う相手によって楽しくもなれば苦しくもなります。律法という夫とくびきを共にする妻はどんなに苦痛でしょうか。しかし恵みと言う夫とくびきを共にする妻はどんなに楽でしょうか。主イエスは、「わたしは心が柔和でへりくだっているから、わたしのくびきを負いなさい」と命じられます。何と恵みに満ちたくびきでしょうか。

 第三に主は命じられます、「わたしから学びなさい」と。主イエスのもとに来て、重荷を下し、恵みのくびきを負い、主イエスに学ぶのです。馬には乗ってみなさい。その馬がどんな馬かわかります。人には添ってみなさい。その人がどのような人かわかります。主イエスにはくびきを負ってみなさい。主イエスがどのようなお方かわかります。主イエスの素晴らしさを学ぶ唯一の方法は、主イエスに明け渡し、主イエスと一体となり、主イエスのくびきを負うことです。

大いなる約束

 主イエスの招きにはすばらしい約束が伴います。まず「わたしのもとに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます」(28)。ここに罪の重荷から解放された良心の安息、裁きの恐れから解放された心の安息があります。大学生二年の秋、東京は荻窪の教会の一室で涙ながらに罪を告白し、主イエスを信じ、生れ変ったあの新しいいのちの安息を忘れ得ません。

 次に「わたしのくびきを負って、わたしから学びなさい。そうすれば、たましいに安らぎを得ます」(29)。ここに第二のより深い安息があります。主のもとに来て、主にすべてを明け渡し、主と一体とされるときの安息です。内住の罪の力からの解放、自己の頑張りからの全き解放、キリストの愛に憩う全き安息です。

 そしてこの安息は「わたしのくびきは負いやすく、わたしの荷は軽い」(30)と証しできる恵みに私たちを導きます。愛は重荷を軽くする。主のくびきの中の自由、主とくびきを負う楽しさ!これこそ大いなる招きに伴う最大の賜物なのです。

 私たちを招いておられるお方はいかに素晴らしい救い主かを知りなさい。招きの中の命令がいかに単純で容易であるか知りなさい。そしてその命令には素晴らしい約束が伴うか知りなさい。主のもとに今、あるがままで行きなさい。主にあなたのすべてを任せなさい。

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