香登使信 

日本イエス・キリスト教団香登教会

2020年6月7日第821号

「私を探ってください」詩編139章1〜24節 工藤弘雄牧師

 詩篇一三九篇は、神との親密な交わりの中で神の属性を深く知り、驚嘆をもって歌い上げた、最も美しい詩篇の一つです。神の全知性、遍在性、全能性については、サタンでさえも正確に知っています。しかし、詩人は頭脳の知識ではなく、人格的に神を知り、「私を探ってください」と祈るのです。

私のすべてを知っておられる神

 「主よ あなたは私を探り 知っておられます」(一)。一〜六節では神の全知性が言い表されています。私の一挙手一投足も、思いも、行為も、休息も、習慣も、言語も知っておられるのです。そして前から後ろから私を取り囲み、保護されるのです。

 私たちの神はなんと驚くべき御方でしょうか。「自分のことは自分が一番よく知っている」と思いがちですが、主は私たちの言葉の奥の心を、私たち以上に知っておられます。

 主イエスはペテロに、鶏が鳴く前に三度主イエスを否定することを予告されました(マルコ一四・三〇)。にもかかわらずペテロは主と一緒に死ぬことがあっても「決して申しません」(同三一)と言い張りました。結果は主の予告通りでした。自分よりも自分を知っておられる主、ペテロは主の御前に打ち砕かれました。

 ヨブは誠実で直ぐな心を持ち、神を恐れ、悪から遠ざかっている信仰者が、なぜ過酷な試練にあうのか。彼は壮絶な苦難の中で友人と議論し、神を告発します。しかし、ついに「知識なしに摂理をおおい隠す者はだれか」(ヨブ四二・三)と無知をもって神の計りごとをおおう罪を示され、ちり灰に伏して悔い改めたのです。

 神はすべてを知りたもう。この冬、次女のユーチューブを視聴したことをきっかけに、旧知の関根辰雄先生と交わりが再開され、ご息女の佐藤牧子さん著『周ちゃん、愛をありがとう』を送っていただきました。ダウン症の周ちゃんを取り巻く佐藤一家の愛の記録です。この書を贈呈された橋本龍太郎首相は実に心温まる手紙を書いています。ところがなんということでしょう。この周ちゃんの良きお兄さんの良太さんが、つい先日誕生間もないお子様を残し、急逝されたのです。絶えられない痛みと悲しみがご一家を襲いました。「なぜ、この愛の家族にこの試練が?」私たちには分かりません。分かることはすべてを主はご存じで、涙をもってご家族を取り囲んでおられると言うことです。「主の受けぬ試みも、主の知らぬ悲しみも、うつし世にあらじかし、いずこにもみあと見ゆ」(讃美歌五三二)。

天にも地にも満ちる神

 神の遍在性は七〜十二節で述べられています。「私はどこへ行けるでしょう。あなたの御霊から離れて。どこへ逃れられるでしょう。あなたの御前を離れて」(七)。天に上っても、よみに床を設けても、海の果てに住んでも、闇の中に隠れても、神はそこにおられ、あるいは支え、あるいはすべてを明るみに出されるのです。このような知識は不思議で深淵、悪しき者には慄き、信仰者には安堵となるでしょう。

 「たとい私が人の目を逃れることができても、断じて神の目を盗むことはできない。」盲目の詩人ジョン・ミルトンはこのように「神を証人とする」人生を送ったとのことです。神の遍在は信仰者にとって大いなる恵みです。天にも地にも、光の中にも暗き中にも主はそこにおられる。客観的に主の遍在されることは信仰者にとって親しい主の臨在となるのです。

 「わたしの臨在がともに行き、あなたを休ませる(出エジプト三三・一四)、「わたしはあなたの前に進み」(イザヤ四五・二)、「イスラエルの神はしんがりとなられる」(同五二・一二)、「主は御民を今よりとこしえまでも囲まれる」(詩一二五・二)、「そのひなの上を舞い」(申命記三二・一一)、「下には永遠の腕がある」(同三三・二七)。実に主は、「共に、前に、後に、周囲に、上に、下に」四方八方、臨在されるのです。

母の胎内で私を造られる神

 神の創造、全能性は一三節〜一六節で歌われています。神は私の内臓を造り、母胎の中で組み立てられ、胎児の私をご覧になる。なんという奇しき神、なんという驚嘆でしょうか。もしこのような知識を幼い頃から教えられるなら、人類は人恪の尊厳と人命の尊さを 重んじ、世界は一変することでしょう。

 親であれば、それが何であっても子どもの作品を捨てることは困難です。当の子どもらも自分の作品を大切にし、愛するでしょう。まして神はご自分が造られたものを愛し、養い、守られるのです。

 詩人は一七節以下で神の御思い の総計は計り難いと告白し、悪し き者が退けられることと、わが身 においては謙虚に神に探られるこ とと正しい導きを求めて祈ります。

 二三〜二四節の祈りこそ、深く 神を知り、自己を知る者の敬虔な 祈りです。新型コロナウイルス感 染症の症状が出てからPCR検査を 受けるより、感染以前に検査を受 けることが必要です。全知、遍在、 全能の主に、「私の心を探り、知 り、調べ、悪しき道、傷ついた道 があるかどうか見てください。と こしえの正しい道に導いてくださ い」と祈ろうではありませんか。

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