香登使信 

日本イエス・キリスト教団香登教会

2020年5月10日第819号

「神が家を建てるのでなければ」詩編127章1〜6節 工藤弘雄牧師

 都上りの歌!天つ都を目指しつつ、きょう、詩篇一二七篇を共に口ずさみましょう。本篇は二節と三節の行間で二つに分けられます。しかし、霊的な思想は一貫しています。前半は、「主が家を建てるのでなければ」全ては空しく、後半は、「主が家を建てられると」、全てが祝福されると歌うのです。

主が家を建てるのでなければ

 玄関前の美しい庭先に「主が家を建てられるのでなければ、建てる者の勤労はむなしい」(口語訳)のみことばを石に刻み、近隣の方々や友人知人を集め、聖書研究や福音の集いを開いているご夫妻がおられます。この家は主ご自身が建てられた、と感謝の思いを抱いて主に仕えておられるのです。それは、目に見える家屋のみならず、家庭を築くことも、外での勤労も全て主が働いてくださらなければ、その働きは空しいとの信仰の表明でもあるのです。

 一節には「主が家を建てるのでなければ」、「主が町を守るのでなければ」と二つの仮定法が出てきます。家庭を築き町を守ることも、そこに主が臨在し、主が働かれなければ、全ては空しいというのです。どんなに早く起き、遅く休み、労苦の糧を食べたとしても全ては徒労に終わるというのです。

 ひと頃、企業戦士とかエコノミック・アニマルという言葉が流布されました。どんなに汗水流して働いてもむなしさが残る。家庭は崩壊する。そうした悲哀を味わっている人々をしばしば目にします。ですから、主が家を築くこと、主が町を守られることをモットーに、ベンジャミン・フランクリンは、祈りをもってアメリカ議会を始めることを提唱し、エジンバラ市はこの聖句を市の標語にしていると聞きました。

 私たちも、内における家庭生活、外における社会生活において、主が働かれ、主が祝福されるように個人や家庭生活の中で、「祈りの祭壇」を築きたいものです。

 日々の聖書通読、デボーション、週ごとの主日礼拝はいかがですか。私の長兄と母は熱心なクリスチャンでしたので、家庭礼拝を厳格に守りました。多い時には十人近い家の者が一つテーブルを囲み、聖書を開き、歌い、祈るのです。わずか十分から十五分、それが工藤一族の祝福の源となりました。長兄は、早朝、出勤前、職場、帰宅後など良く祈っていました。ですから主の祝福は、家庭や職場に豊かにあらわされたのです。

 二節をごらんになると「実に主は愛する者に眠りを与えてくださる」とあります。主が与えてくださる眠り、安息です。主は愛するものに眠りを与え、眠っている中でも、作物を育て、家畜を養ってくださるのです。「動中の静、静中の動」という言葉をご存知でしょう。どんなに動き回っていても静かな心がある。静かな安息の中で物事が動くというのです。

 由木康先生の讃美歌をご存知でしょう。「この世の務めいとせわしく、人の声のみしげきときに、 内なる宮にのがれゆきて、我は聞くなり主のみ声を」(讃美歌313)。まさに動中の静です。主が愛する者に与えられる安息です。またファニー・クロスビーは歌いました。「ああ嬉し、我が身も主のものとなりけり、浮世だにさながら、天つ世の心地す」(讃美歌529)。全く主に委ね、まかせきる静けさの中で、主はご自身のみわざを進められるのです。「陰極まれば陽となり、陽極まれば陰となる」と言われるとおりです。私たちが己れに死に切れば、主は生きてくださり、主が生きて働かれれば、私たちは生きないでもすむというのです。

主が家を建てられると

 後半の三節以下をご覧ください。ここに主が家を建てられるときの祝福が目に見えるように描かれています。私たちが「祈りの祭壇」を築き、主を第一にするとき、主は私たちの家庭をこれほどに祝福してくださるのです。

 「見よ 子どもたちは主の賜物/胎の実は報酬」とあります。まさに子どもたちは主からのプレゼントです。何にもまさる賜物です。その子どもたちの声が響き渡る家庭、今、子どもが胎に与えられた夫婦もおられることでしょう。山上憶良は「白銀(しろがね)も黄金(くがね)も珠玉(たま)も何かせん、まされる宝、子にしかめやも」と歌いました。まさに配偶者も神からの賜物、その子らも神からの賜物、子どもたちは「勇士の手にある矢のよう」に頼もしい。

 これは家庭の繁栄と祝福だけではなく、教会という「神の家族」の祝福であります。「幸いなことよ 矢筒をその矢で満たしている人は」とあるように、私たちの教会に子どもたちという矢がいっぱい満ちるように祈りましょう。その子らの歌声は天のみくらいに届き、また悪魔を震えおののかせます。その子らが成長すると悪の勢力を撃破し、福音のみわざは前進するのです。どうか、主が私たちの教会に「勇士の手にある矢」のような幼児、児童、青少年を満たしてくださるように切に祈ろうではありませんか。

 新型コロナウイルス感染拡大の中で、在宅共同礼拝が続きます。このステイホームの生活様式を今こそ生かしましょう。そしてこの都上りの歌のように、主が家庭を築き上げ、主が共同社会を守り、主が安息を与え、主が全てのことの中で全てとなってくださるように祈り求めようではありませんか。

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