更新日 1999年12月26日
スカイラインGT−RのR32型の場合、リアにはLSDが標準で装備されている。
しかも、それはビスカスではなく、4ピニオンの機械式であるのが驚きである。
通常、メーカー設定のLSDはこれまでビスカスタイプが主流であった。最近はトルセンタイプが増えて来ている。
一方、機械式のLSDはメーカー設定ではなかなか実施されていない。
その理由はコストの面がもっとも大きいが、それよりも、LSDの効きをあまり高く出来ないため、機械式を導入する必要が無い。ということと、強化型の機械式LSDの場合、メンテナンスが大変になるためであろう。
で、そんな機械式LSDがBNR32GT−Rには標準装備である。これは凄いことである。
(ちなみに、ふた昔前、ビスカスがなかったころは機械式LSDであった。が、これは2ピニオンタイプの効き自体が弱いものであった。一部の例外を除いてであるが)
が・・・ GT−Rの機械式LSDはなにか変である。
本来、機械式LSDはイニシャルトルクの設定(簡単に調整できるものもあれば、部品変更や脱着により調整するものもある)により、効きを変えるとはいえ、大抵は「ガキガキ」効くものである。(そうでないならビスカスやトルセンで十分)
しかし、GT−RのリアLSDはおとなしいものである。
で、いろいろと調べてみた結果、おかしなことが判明した。
もともと、GT−Rに装着されている機械式LSDはかなり効きの強いものである。社外品のLSDと同等か、それ以上のデフォルトイニシャル値を持っているはずなのである。が、実際には全然効きは強くない。
その理由は、出荷時のLSDの状態にあった。
実は、出荷時の標準状態のLSDでは、フリクションプレート(LSDの中にあるクラッチ板のようなもの)が2枚少ないのである。
早い話、LSD本来の持つイニシャル値をわざと低下させているのである。
そして、それは「まるで組み立て工程でミスをした」と思えるような内容なのである。
もちろん、メーカーは組立工程をミスしているわけではない。
あくまで万人受けにするため、LSDの効きをわざと抑制しているのである。
このため、GT−Rの場合、リアLSDを強化したかったら簡単である。
例のフリクションプレートを追加すればいいだけのことである。(おそらくプリンス系のサービスマンはこのことを知っているはず)
そうすれば、わざわざ10万円も出して、社外品のLSDを購入する必要はなくなる。
ということで、このクルマもフリクションプレートの追加はしてあります。
おかげで発進時、ハンドルを切った状態だとリアタイヤが「キュキュキュ」と騒ぎます。
正確なイニシャルトルクは測定してないが、おそらくかなり高いかと思われる。
R32GT−Rのちょっとしたウラ技ですが、もともとこれが本来の姿なんだと思います。
あ、ただ、LSDの効きを上げたらデフオイルには気を使いましょう。
(私の場合、85W−140のLSDオイルを3000kmで交換する予定です。)