更新日 2004年07月31日
私情インプレッション
メルセデスベンツ A160
年式 | 平11年(1999年) |
ボディーカラー | オーシャンブルー |
メーカープション | なし |
オーディオ | ・純正カセット&FM/AMチューナー |
ホイール・タイヤ | ・夏用 純正アルミ+ピレリ195-50-15(純正) ・冬用 純正アルミ+スタッドレス185-55-15 |
使用オイル | こだわりゼロ。交換は15000kmサイクル |
用途 | 奥さんの買い物クルマ |
燃費 | 普通乗りで10km/リットルくらいかな? |
<個人的な概要>
これまで奥さんが乗っていたVWヴェントGLiのイモビライザーが故障し、エンジン始動がしにくくなった。
この修理はすぐに完了したのだが、半年前のイグニッションコイルの故障によるエンジン始動不可など、奥さん的に「もう買い換えたい」ということがあり、イモビの故障と同時に買い替えモードとなった。
奥さんの希望は「小さい(短い)ハッチバックの5枚ドア」であったため、候補としてAクラスの写真を見せたところ、お気に入りとなり、中古を即購入となった。
実車は5年落ちであったが、走行距離17000kmであったため、内外装程度もすこぶる良く、機関の調子もまったく問題ない車体であった。
(ちなみに、ヴェントのイモビ故障の3日後に購入。ヴェントは現在も売却できていない。はは)
<私情インプレッション>
・「所有インプレッション」
いつもであれば、「走りに関して」とか「内外装」といった項目別にコメントをするのだが、今回は路線を変更し、全体的な話をしたい。
Aクラスに乗ってみた印象は概ね次の通り。
高速道路&一般道での動力性能の印象。国産1600ccエンジンには遠く及ばない非力なパワー。理由はわからないが、トルク感が乏しく、かといってピックアップが良いわけではなく、回らないし、無理やり回しても頭打ちしてしまい高回転まで引っ張れない。かなりガサツなエンジン+オートマチックミッションだと感じる。
足回りの印象。高速性能は低い。短いホイールベースのせいだと思うが、高速道路のコーナー侵入で思い切って入っていく気にならずかなりの減速が必要。硬くて乗り心地の悪い足回りであるにも関わらず、車体の安定性は低い。
町乗りでの取り回しや動き。褒められる点はまったくない。見た目に反して小回りは全然効かない。最小旋回半径はかなり大きい。
キビキビとした走りをしようとしても、車体のバタツキが大きく軽快な動きができない。反応の悪い動力性能とあいまって、元気な走りをするのは危険すら感じる。
制動性能。ブレーキ自身の効きは悪くないのかもしれないが、それ以前にアシスト機能により違和感が大きい。
なにより驚くのは停止直前の制動状態。停止手前でブレーキを緩めるとき、エンジントルクが顔を出すのか、2mほど予定の停止位置より前に出てしまうような感じになる。
運転時の視界。サイドミラーは位置そのものに問題がある。もう少し上、そして前方位置に配置して欲しい。今の位置ではサイドミラーを頻繁にみることが困難。更にミラーの大きさが小さすぎる。ただでさえミラー外側を湾曲させているため見にくくなっているので、自然にサイドミラーで後方確認をすることが出来なくなっている。
ルームミラーは普通であるが、リアシートに設置されている3個のヘッドレストにより、本来視認性が良いはずのハッチバックの利点が消滅している。
フロントの視界はノーズがまったく見えない。これは最近のクルマの多くがそうなので我慢できる範囲。
横方向の視界は悪くない。ドアのウインドウ下面が低いため、側面確認はしやすいが、後方側面視界はけっこう悪い。
シート&操作系。まず、シートはすぐに腰が痛くなる構造。座面のみの高さ調整になっているため、シート合わせには時間がかかり、運転中もしっくりこないことが多い。
シートが高いためペダル位置が奥になり、この調整をしようとすると、ステアリングが近くなり、それに併せてシートを寝かすと、まっとうな運転姿勢にすることは困難。腰を奥まで入れ、背もたれをしっかり使って身体をホールドする基本姿勢を作ると、シート座面の小ささすら感じる。
操作系では、サイドブレーキが遠く、各スイッチ類も遠く感じる。少なくとも、身体をシートにホールドして操作する前提では作られていないようだ。
リアシートのアレンジはコンパクトボディのわりに充実しているようだ。ただ、ここまでコンパクトな車体に対していろいろとレイアウトアレンジ機能を設けるくらいなら、リアシートをもう少ししっかりした座りやすいものにして欲しかった。
仕様上、5名乗車になっているが、実質リアには2人が限界。スペース的な問題よりも、シートの座り感が悪く、移動中、リアシートの人間はシートに身をゆだねることが出来ず、どうしても手でどこかを保持することになる。
内装全般。小物入れの類は充実している。あちこちにボックスがあり、室内にいろいろ入れておく人には重宝する。
質感は高級感は皆無だが、ボディのお洒落感を裏切らないポップなものである。若者向きな遊び心を感じるデザインである。
乗降性は信じられないくらい悪い。サンドイッチ構造とかで、室内の床面が高いため、乗り降りをするときはRV車のような面倒くささがある。ドアが狭いこともあり、リアシートに年寄りが乗り降りするのは相当に大変である。
全長がないことが助手席のスペースを圧迫し、高さ方向の余裕に反し、前後の余裕はまったくない。
デザインは秀逸である。独自のボディ形状であることもそうであるが、お洒落な外装デザインはどこにも破綻を感じることなく、とてもよくまとまったスタイルである。
このように、私個人としては「デザイン以外、まったく良いところのないクルマ」という印象である。一方、これ以外に良いところを挙げるとすれば次のようになる。
・安全性:サンドイッチ構造ということ。きっと衝突したときに判明するのだろう。
・安全に配慮したさまざまな機構:いろいろとついているようだ。運転者がそれを意識することなく機構が配慮しているといった性格のもの。
実際、ここまで「悪評」するのは気が引ける。というか、あちこちのHPや掲示板をみると、私の印象とまったく異なる意見を多々見かける。
特に、高速安定性や制動性能、エンジン特性についてはベタ褒めする人を多く見かける。
今回の印象は、私個人の印象で、これは同時に「クルマの運転が下手」な私の奥さんの印象でもある。
購入し、神奈川から市街地・高速道路・長野の幹線道路・田舎の街中。といった道路状況を走った印象と、ここ1ヶ月、普段乗りしている私の素直な印象なのだが、私の印象と180度異なる印象を持つ人が多いことに驚いていたりする。
・「もしも・・・・」
Aクラスを購入し、神奈川から長野に帰ってくる間考えたことがある。
「もしも、このクルマが今のままで一切の仕様変更も無く『マツダ・デミオ』として世に出ていたらどうだったであろう」と。
あくまで仮説だが、おそらく、先の私のインプレと同じことが雑誌などで書かれていたのではないか。と真剣に思ってしまう。
デミオが265万円でデリバリーされることはないであろうから、もし、このクルマがデミオとして、では、いったい、いくらのプライスタグだったらいいのだろうか・・・。と、こんなことも考えた。
私の結論は「165万円」である。
このクルマのプライスタグの100万円引きした価格。
というか、マツダ・デミオの最上級車種である「1.5スポルト」のアクティブマチックにDSC(ダイナミックスタビリティコントロール)のオプションをつけた価格とほぼ同じ。
無論、メーカーが違うわけだからこんな「もしも」は無意味な考えなのだが、でも、真剣にそんなことを考えてしまうほど、Aクラスは「メルセデス」ではない。と思ってしまう。
Aクラスが「メルセデス」だから受ける評価と。Aクラスがもしも「マツダ」だったら受ける評価と。相当な差があったのではないか。そんなことを考えてしまう。
・「問題点と解決法」
今のところ問題はでていないのだが、購入したときから感じている問題点は、やはり「故障」である。
というのも、購入してから色々調べて驚いたのは、その故障の多さ。
このクルマは99年型(デビューは98年)なので、デビュー当初(というか、デビュー直前後)の不具合は対策されているのだろうが、いわゆる初期型であり、調べてみると概ね以下の項目があるようだ。
・トランスミッション不具合:トランスミッションを対策済み部品にASSY交換
・フロントスタビロッドの緩み:対策済み部品に交換
・燃料タンク構造問題:対策済み部品にASSY交換
その他、いろいろあるようだが、上に挙げたトラブルは数万kmで発生する可能性が高い。
で、実際に壊れた場合、どうなるかというと修理以外に方法はないのだが、正規ディーラー(ヤナセなど)で新車で購入して3年以内であれば先の「メルセデスケア」で無償修理(というか対策済み部品に交換)してくれる。
そのため、このAクラスは「とにかく3年以内に故障を発生させて対策済み部品に交換してもらう」というのが基本のようだ。
ちなみに今回購入したA160では、走行距離が17000km弱ということもあり、フロント足回りの部品だけしか交換されていない。(もっとも、16000kmで足回りにガタが出るというもの凄い話でであるが)
ウチの場合、もうどうすることも出来ないが、乗り続ければほぼ間違いなく故障するようなので、「壊れる前に売却」するしかないかもしれない。
(逆に、Aクラスのように初めてデビューするクルマの場合、初期型は購入しないとか、新車で購入し、3年で手放す。ということが賢い選択かもしれない)
<個人評価>
奥さんはデザインが気に入っているようだが、実際には「メルセデスのマーク」が気に入っているような感じもする。
もちろん、奥さんには「メルセデスだろうがなんだろうが、所詮、99万円で購入した中古なので、それなりだと思うように」と言っているが、壊れさえしなければ、特に問題はない。
また、先にコメントした性能も、ウチの奥さんの場合、じつはあまり関係ない。
というのも、もともと近所しか運転しない(奥さんが高速道路を乗ることはないと思う)し、速度は出しても50km程度。車間はけっこう開ける(田舎なので、単独で走ることがほとんど)し、キビキビした運転を要求されることは絶対にない。
考えてみれば、「ブレーキの違和感」は、常に車間距離を大きく開けて、停止時に前車との距離を詰めるような運転をしなければいいし、後ろをほとんど見ないで運転している人にはサイドミラーは全然関係ない。非力なエンジンも、速度を出さない人には無関係な話しだし、取り回しの悪さも、狭いところに駐車することのない人(ウチの奥さんの場合、狭い駐車場しかないスーパーなど、取り回しに気をつかうような場所には絶対にいかない)には、私の上げる不具合はまったく無関係なわけだ。
というわけで、ある意味、ウチの奥さんにはちょうど良かった。と思っている。(もちろん、小さいクルマであればなんでもよかったわけだが)
あとは、とにかく、壊れないように祈るばかりである。