大和三山 耳成山(みみなしやま)139天香久山( あまのかぐやま)152m畝傍山(うねびやま)199m       [奈良] 

 

 NHKラジオに「山カフェ」という番組がある。土曜日の午前中、俳優の石丸謙二郎がナビゲーターを務め、登山の楽しみを紹介する番組だが、先月(2019年10月)の26日にその番組に電話出演した。その週のテーマが「ご当地○○三山」で、自分のHPの「全国三山巡り」を紹介したメールを送ったところ、ディレクターの目に留まり、生放送でそのHPを作ったきっかけや、レアなご当地三山などについて話をした。そのなかで、これから登ってみたい三山について尋ねられ、そこで答えたのが大和三山だった。
 毛勝三山や上毛三山など気になる三山はいろいろあるのだが、大和三山は以前から歩きたいと思いながら百名山登山を優先していたためにずっと後回しになっていて、 「そろそろ行かなければ」と思っていたところだったので、ふっと口に出てしまったのだった。
 ということで、ウォーキングには気持ちのいい晩秋のこの季節に、有言実行で出かけることにした。

 近鉄八木で特急を降り、線路沿いに東に向かう。まずは耳成山を目指す。街並みが切れると目の前に耳成山が現れる。
 地形図から受けた感じでは讃岐富士や三上山のように盛り上がった姿を想像していたが、意外になだらかな山容だった。
 池のほとりの公園を抜け、登山口の階段を登る。階段の上には鳥居が立っている。耳成山の頂上近くにある耳無山山口神社の鳥居で、登山道は神社の参道になっている。
 参道脇には石燈篭が並んでいて信仰の篤さが感じられるが、路面は雨に削られて意外に荒れている。

耳成山

 

山口神社の参道

 

山口神社拝殿

 

 常緑樹に囲まれた参道を進むと、山口神社の境内に出る。神社の本殿は小ぶりだが、拝殿は神楽殿を兼ねているのか対照的に大きく、奉納された額がいくつも掛かっている。
 廃村になった耳成村の村役場を描いたものや江戸時代の算額などが掛かっていて興味深い。

 掃除をしていた氏子さんに教えてもらい、拝殿左手の踏み跡を少し登ると耳成山の山頂。三角点標は山頂広場の隅に笹薮に囲まれて埋まっている。木立に囲まれて展望は利かないが、広場のベンチの前だけ南の方角が開けている。

耳成山山頂

 

 登って来た道を下り、次は香久山へ向かう。 国土地理院の地形図は「天香久山」と記載されているが、名勝の大和三山としては天が付かない「香久山」となっている。自分自身は「あめのかぐやま」と覚えていたが、コンサイス日本山名辞典では「あまのかぐやま」と読みがふってある。

 近鉄大阪線とJR桜井線を渡り、市街地を抜けると田んぼが広がる。田んぼの中に桜並木が続き、その先が小高くなっていたので藤原宮跡かと思って登ってみたが、醍醐池というため池の堰堤だった。

醍醐池の堰堤上から耳成山を振り返る

 

 醍醐池の南の道路を横切ると駐車場があり、その先が藤原宮跡だった。
 藤原宮跡はかなり広く、南東に香久山、西に畝傍山を望むことができる。広場の真ん中あたりに朱色の円柱が並んでいて、大極殿の南側の門である院閤門(いんこうもん)の柱を再現している。
 広い芝生広場では近くの小学校だろうか、マラソン大会が行われていた。
 

藤原宮跡の列柱の向うに香久山
背後は音羽山
藤原宮跡から畝傍山
背後は葛城山

 

 藤原宮跡から東の方角に向かい、大きなお屋敷が立ち並ぶ古い集落の中の小道を迷いながら通りぬけると、奈良文化財研究所都城発掘調査部の建物の前に出る。中の展示も見たかったが、目の前の香久山に向かう。
 香久山には幾つも登り口があるようだが、西側から取り付くことになり、登山口から常緑樹に囲まれた丸太階段を登っていく。

 途中、南からの登山道に合流し、左手に少し登るともう山頂。山頂は広場になっていて、一角に國常立(くにとこたち)神社が建っている。三角点はない。

香久山の登山口近くから耳成山

 

香久山の登山口

 

山頂の國常立神社

 山頂の西側にベンチがあり、その前の木立が切れていて展望が開ける。橿原市の市街地の向うに畝傍山が見える。畝傍山の方がこちらより40mくらい高いのだが、なぜかこちらの方が高く感じる。
 畝傍山の背後には金剛山地や葛城の山々が連なり、右端には二上山が端正な姿を見せている。
 

香久山山頂から畝傍山

 

金剛山(左)、葛城山(中)

 下山は南側の南浦集落に下りる。伊弉冊(いざなみ)神社の脇を抜け、少し下ると民家の庭先のようなところに出てしまった。しかし、標識があるので正しい登山口のひとつのようだ。
 狭い路地を道なりに辿ると、天岩戸神社の前に出た。拝殿から覗くと山裾に巨石に囲まれた岩穴のようなものがあるようだが、暗くてよくわからない。岩穴が御神体で本殿はないらしく、古い神社の形をしていると解説板にある。
 背後がすぐ香久山で、竹の葉の緑が目に染みる。

 ここから最後の畝傍山に向かう。
 この辺りは古い大きな家が多い。土蔵、白壁の塀、大きな板戸の門など、いかにもお屋敷という感じ。歴史のある土地柄なので、住んでる人にも長い歴史がありそう。
 黄色く色づいた古墳のような小山や紀寺跡などを眺めながら西に進む。

天岩戸神社

 

 腹が減ってきたところで、偶然「お好み焼き」の旗を見つけ、ふらふらと入ってしまう。大きな民家の道沿いに建てられたプレハブのような感じで、店先にはごちゃごちゃと得体のしれないものが置いてある。中は意外と混んでいて、席が空くまで奥の庭で待っていた。 民家の母屋の庭でもあり、鉢植えや花壇にたくさんの花が植えられていて、なかなか感じがいい。正面には畝傍山が見える。
 「外で食べてもいいな。」と思っていたが、中の鉄板の前に招き入れられて、熱々のお好み焼きを食べる。お年寄りの女性だけでやっているようで、常連さんが多い賑やかな雰囲気。食後にはデミタスカップでコーヒーも出てきて、それで500円。いい店に巡り合いました。

香久山の周辺には大きな家が多い

 

 飛鳥川を渡り、本薬師寺跡で礎石を眺め、さらに西に進んで市街地に入る。
 近鉄橿原線の畝傍御陵前駅を地下道で抜け、橿原公苑の体育館の横を過ぎると橿原神宮の北口に着く。
 大きな鳥居をくぐり、北参道を進むと右手に畝傍山登山口の標識が見つかった。

本薬師寺跡の礎石

 

 耳成山や香久山の道は荒れていて歩きにくいところもあったが、畝傍山の登山道はよく整備されていて、幅も十分ある。
 山腹に沿ってうねうねと曲がりながら少しずつ高度を上げていく。南側の山腹を半周したあたりに分岐があり、右に進むと今度は西側の山腹をトラバースしていく。常緑樹の隙間から二上山が見える。
 再び右に折れてなおも登ると、やっと畝傍山山頂に到着。

畝傍山登山口

 

二上山

 

畝傍山山頂

 

 畝傍山も山頂は広くなっていて、広場の北隅に三角点がある。数本の常緑樹が3m四方ほどの玉垣に囲まれた所があり、禁足地と立札があるがどのような謂れの場所か分からない。
 ここも木立に囲まれて展望は利かないが、東側の樹冠の隙間から耳成山や香久山が少し見える。ここからの耳成山は市街地に浮かぶ島のように見える。

畝傍山から耳成山

 

ヤマハゼ

 

橿原神宮拝殿

 下山は山腹の東側を下る。露岩が多い急な踏み分け道で、雨の日には滑りそうな感じ。メインルートではないのに、こんな道を登ってくる人が2人もい て、しかもどちらも女性だった。登りは山腹の巻き道で時間がかかったが、下りは一直線で20分程で北参道に戻ってきた。
 最後は橿原神宮に参拝し、今日一日の無事を感謝する。社殿の背後には畝傍山が西日を浴びて光っていた。

大和三山ルートマップ


[山行日] 2019/11/21(木)
[天気] 快晴     2019年11月の天気図(気象庁)
[アプローチ]

JR岡崎 6:40 →(特別快速)→ 7:10 名古屋・近鉄名古屋 7:30 →(特急)→ 9:23 大和八木
 

[コースタイム]  
  行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間  
0:30 9:35 近鉄大和八木駅 発    
10:05 耳成山山頂(139.3m) 0:05  
1:15 10:10  
10:50 藤原宮跡    
11:25 天香久山山頂(152m) 0:10  
0:25 11:35  
12:00 お好み焼き屋「ほほ笑み」 0:40  
1:05 12:40  
13:45 畝傍山山頂(198.5m) 0:05  
0:30 13:50  
14:20 橿原神宮 着   全行動時間
3:45     1:00 4:45

 

[地図] 橿原市HP 「かしはら探訪ナビ 名勝大和三山コース」

近畿日本鉄道HP 「近鉄てくてくまっぷ 大和三山回遊コース」

[食事]

「ほほ笑み」<橿原市田中町580-1>

・奈良県立明日香庭球場近くのコーヒー&お好み焼きの店。
・詳細文中