天下峯(てんがみね)                               [三河] 360m

 

 11月の末に高校時代の同級生と犬山の継鹿尾山に登る予定だったが、同行者が腰痛で行けなくなってしまったので、近くの里山散歩に方向転換。大滝渓谷を歩いてみることにした。
 大滝渓谷は足助方面に行くときにいつも駐車場の前を通るのだが、一度も足を踏み入れたことがなかった。しかし今なら紅葉も楽しめるのではないかと考え、ついでに最近、展望が良いとガイドブックでも紹介されるようになった天下峯まで足を伸ばすことにした。

 大滝渓谷駐車場にはあまり車がなく、トイレ利用者ばかりでちょっと拍子抜け。支度をしている間にハイカーもやってくるが、大滝渓谷の方ではなく、梟ヶ城展望台への階段を登っていく。あまり紅葉は期待できないのかもしれない。

 県道を少し足助方向に歩き、右折して舗装はされているが狭い車道に入り、仁王川の左岸を流れに沿って奥に入っていく。
 伊保神と書かれた石碑の立っている祠を過ぎ、渓谷入り口の最後の駐車場から右手に遊歩道を登っていく。

大滝橋上から

 

 渓谷は大岩がゴロゴロしていて迫力があり、滝あり淀みありで変化に富んではいるが、いかんせんカエデが少ない。紅葉はしているのだが谷が狭すぎて陽が射さず、鮮やかさがない。ちょっと期待外れだったが、まあそれは仕方ない。ハイカーもちらほら程度。
 大滝橋で仁王川の右岸に渡り、コンクリート舗装された遊歩道を黙々と上流に歩いていく。

 

大滝湖

 

 梟ヶ城展望台への分岐がある歌石園地を過ぎ、中之瀬大橋という吊り橋のたもとを過ぎると、堰堤があり谷が開ける。大滝湖と名付けられているが渇水期でもあり、水は溜まっていない。真ん中に真っ赤に塗られた「大滝湖かけ橋」という歩行者用の橋が架かっている。

 椿木園地を過ぎ、古美山園地の横を抜けると車道に出た。カフェがあるがウィークデイは休み。
 動物除けの柵に囲まれた田んぼを見ながら舗装道路をぼーっとして歩いていたら天下峯への分岐を通り過ぎてしまった。まあ、里山歩きで道はいくらでもあるので、杉ノ木の集落まで歩き、豊栄神社の鳥居をくぐって山に入る。

 

杉ノ木の集落付近

 

 めちゃくちゃ急な参道を登り、社殿の横を抜けて再び車道に出てなおも進むと天下峯の標識があり、分岐した狭い車道を少し歩くとあいち森と緑づくり事業の看板があり、そこから山道に入る。
 登山道沿いには大岩が幾つもあり、ガイドブックによればロッククライミングのフィールドでもあるらしい。現に岩の下にサブザックが転がっていたたので、クライマーがいるのかもしれない。
 道は岩の根元を過ぎてはそれを回り込んで岩の上に続いていくのだが、どんどん踏み跡が怪しくなってくる。ありゃ、道を間違えたかなと思いながらなおも登ると岩盤にロープが下がって、それを何とか登るとそこが天下峯の山頂だった。

 

天下峯山頂

 

  天下峯は徳川家の始祖、松平親氏が天下太平を祈願したという伝承があり、そこから名が付いたと言われているが、山のピークではなく尾根の途中のコブなので三角点はない。大岩のそばに小さな山名板がぶら下がっている。
 展望は西と南に開けていて、西の方角には豊田市街地が広がり、その向こうには名古屋駅前の高層ビル群が思いのほか近くに見える。その背後には鈴鹿、多度、伊吹の山々が立ち並んでいる。
 南側には焙烙山、六所山がすぐそばにあり、山肌は所々ナラ類などの落葉樹で茶色に色づいている。ちょっと木立で見にくいが村積山も見える。
 北側は樹林で残念ながら御嶽方面は見えないが、北風が遮られて昼飯を食べるにはありがたい。
 おにぎりとパンを食べ終わった頃にひとり初老の男性が登ってきただけで、他にハイカーはいなかった。

  

豊田市街

 

焙烙山(左)と六所山(右)

 

村積山

 

  下山は南西に下る尾根の上に道があり、これを下る。丸太階段も整備されていて、こちらが正規の登山ルートのようだ。石仏があちこちに祀られていて、下りきったところには弘法堂も立っていた。天下峯は別名弘法山と言われ、石仏は88体あり、四国 八十八箇所を表しているそうだ。

 

石仏

 

 大滝渓谷へは車道に戻らず、山道をたどる。尾根上のアップダウンの少ない道で歩きやすい。ただ周りは植林地や竹林で眺めはない。
 大滝渓谷内は同じ遊歩道を戻るのだが、光の具合が良くなって逆光に紅葉が映える。

 

大滝湖付近の紅葉

 

中之瀬大橋

歌石園地の紅葉

 

 歌石園地まで戻り仁王川を渡って梟ヶ城址への登りに取付く。急な山腹を登り切った後、左手の低い尾根沿いに緩やかに下って行く。
 左手から来る舗装道路に出て、それを右手に少したどると梟ヶ城址の山頂についた。梟ヶ城はいつ頃の誰の城かは分からないらしい。
 こちらも山頂付近は大岩が露出しており、山頂の一角に擬木造りの二階建ての展望台が建っている。展望台の周りの木が大きくてあまり展望が利かないが、木の間から豊田市街地と背後に焙烙山がわずかに見える。

 

梟ヶ城展望台

 

豊田スタジアム

 展望台の上のわずかな陽だまりで残ったミニカップヌードルを食べ、下山にかかる。下りは駐車場までひたすら階段で、膝に良くない。

天下峯ルートマップ


[山行日] 2024/12/4(水)
[天気] 晴れ            
[アプローチ] 岡崎 (R248号 、県道39号)→  大滝渓谷駐車場    [約17km]

・トイレあり
 
[コースタイム]  
  行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間  
1:35 9:35 大滝渓谷駐車場 発    
10:05 歌石園地分岐    
10:25 大滝湖かけ橋    
11:10 天下峯(360m) 0:35  
1:20 11:45  
12:35 歌石園地分岐    
13:05 梟ヶ城展望台 0:25 13℃
0:20 13:30  
13:50 大滝渓谷駐車場   全行動時間
3:15     1:00 4:15