釈迦ヶ岳(しゃかがたけ)1092m、三池岳 2(みいけだけ)972m                                [鈴鹿] 

 

 鈴鹿の釈迦ヶ岳は1980年に2度、朝明渓谷から沢登りで登っている。当時は就職して2年目。まだまだワンゲル気分が抜けずチャレンジ精神旺盛で、5月に流レ谷、9月に庵座谷を詰めて山頂に立っている。
 最近は沢登りをする人はあまりいないのかもしれないが、当時はガイドブックにも沢登りのコース図が掲載されていた。

 朝明渓谷は釈迦ヶ岳の南側だが、今回登る岩ヶ峰のコースは北側の八風から。随分前の山渓でコースが紹介されていて、ずっと気になっていた。
 当時はバリエーションルートとして紹介されていたが、今はヤマップでは実線コースで記載されていて、山行記録もよくアップされている。

 と言うことで、45年ぶりの釈迦ヶ岳へ。

 三池岳登山口の駐車場を目指していたが、手前の路肩に車が何台か止まっていたのでそこの空きスペースに車を入れる。
 出発準備をしていたら隣にも車が止まり、岩ヶ峰へ行くと言ったら「アスレチックコースで楽しいですよ。」とのこと。イワウチワの花のシーズンでもあるらしい。

 少し戻って林道に入り、上流に向かって5分ほど歩くと石にペンキで釈迦ヶ岳と書かれていてここが岩ヶ峰の取り付きだと分かる。
 沢を石飛びで渡り、植林地の斜面を登る。登りはじめは踏み跡が不明瞭だが、登るにつれてはっきりしてくる。
 植林地から雑木林になるとツバキの花盛り。アセビも咲いている。

 道はとにかく急登。岩の多い尾根をひたすら登る。時々岩の壁にぶちあたるが、ペンキで矢印が記されている。鞍部は風化花崗岩のザレ場になっていることが多い。
 どこまでも急な道だが、ミツバツツジやアカヤシオが見られるようになり、気分が変わる。

 

トウゴクミツバツツジ?

 

アカヤシオ

 

アカヤシオ

岩の多い尾根

 

 649mの標高点を過ぎても同じような急な岩の道。時々樹冠が開けて尾根の先に釈迦ヶ岳と岩ヶ峰が見える。右手には谷越しに三池岳も見えてくる。

 

釈迦ヶ岳(左奥)と岩ヶ峰(右)

 

ショウジョウバカマ

 傾斜が少し緩くなって、明るい林の中に点在するアセビをすり抜けながら行くと、北山の小さな標識が木に掛かっている。明瞭なピークではない。

 ここまでも足元にはイワウチワやイワカガミが時々現れていたが、この辺りからバイカオウレンも混じってくる。でも、登山口で聞いたイワウチワの花盛りという程には多くない。
 尾根から外れたどこか秘密の場所があるのだろうか、と考えながら歩いていたら小さな鞍部の日陰にイワウチワがびっしり咲いているところがあった。ああ、ここなんだろうな、と納得。秘密でも何でもなかった。

 

イワウチワ群落

 

日向のイワウチワ

 右隣の尾根に鎮座する巨大な鏡岩を見ながら、急な斜面をロープをつかんでよじ登ると岩ヶ峰の山頂に到着。岩ヶ峰の小さな標識があり、周りはシャクナゲが多くて花の頃には良さそうだが、ここも 北山同様ピークらしさはなく展望もきかない。近くの岩場に登ってみてもあまり変わり映えはしない。

 

鏡岩

 

岩ヶ峰山頂

 しかし山頂付近にはあちこちにバイカオウレンの白い花が咲いている。岩陰の暗いところに咲いている様は、まるで星が落ちているようだ。こんなにたくさんのバイカオウレンは見たことがない。ちょっと感激。

 

バイカオウレン

 

バイカオウレン
(主稜線で撮ったもの)

 岩ヶ峰の先も同じような岩場の道が続き、最後の急な坂をロープを頼りに 無理矢理体を引き上げると鈴鹿の主稜線に出た。
 少し釈迦ヶ岳の方に歩くと左側がガレていて伊勢平野の展望が開ける。登ってきた岩ヶ峰の尾根も見下ろすことができる。
 春霞で靄っていて遠望はきかず、木曽三川あたりが何とか見える程度で名古屋の高層ビル群はとても見えない。
 

岩ヶ峰俯瞰

 

釈迦ヶ岳山頂

 主稜線を南に進み、少し登ると釈迦ヶ岳山頂。滋賀県側は樹林で展望はないが三重県側の眺めは良い。しかし、やはり霞んでいる。三角点があるが、何等だか文字がはっきり見えない。
 昼飯を食べていると朝明渓谷側からハイカーが次々にやってくるが、山頂を確認するだけで誰もここで休もうとはしない。ガイドブックにあるように、細長い山頂の南端の松尾尾根の頭の方が眺めがいいようだ。

 

滋賀県側のブナ林

 

 食事を終えて主稜線を中峠に向かう。まだ木の葉が出ておらず、稜線から滋賀県側に続く斜面の森は明るい。三重県側はほとんどが急な崖になって切れ落ちている。登山道の脇にはバイカオウレンが咲いているが、他の花は見当たらない。

 

北仙香山から釈迦ヶ岳

 

仙香山から三池岳(眼下は八風峠)

 釈迦の山頂から少し下った後は緩やかなアップダウンの道が続き、中峠手前の北仙香山の登りから振り返ると主稜線の先に釈迦ヶ岳が見える。
 ザレ場と灌木が混在する中峠を過ぎ、仙香山を越えると目の前に三池岳が大きくなってきた。少し下ると八風峠だ。

 

八風峠

 

 八風峠には八風大明神の石碑があり、鳥居も立っている。ここも滋賀県側の展望はないが、三重県側は開けている。

 計画ではここから谷沿いの道を降りる予定だったが、まだ少し余力があるので三池岳経由で下山することにした。三池岳は2006年の12月に登っていて、この八風峠に来るのも2度目になる。 三池岳の山頂から少し下ったところにお菊池という静かで感じの良い池があったので、もう一度寄ってみたいと思ったのだ。

 八風峠から三池岳山頂へはわずかな登りで到着。振り返ると釈迦ヶ岳が随分遠くなった。
 カメラを構えていたら登山道を何か動物が登ってくる。一瞬タヌキと思ったが鼻筋が白くハクビシン? いやいやアナグマだ。野生のアナグマは初めて見た。
 下を向いて歩いているのでこちらに気付いていなかったようだが、シャッター音が聞こえたのか顔を上げ、慌ててUターン。登山道脇の茂みに入っていってしまった。
 しかし何で真っ昼間に登山道を歩いているんだ?あんたは夜行性ではないのかね?

 

アナグマ

 

苔に覆われた三池岳三角点付近

 三池岳の三角点は山頂の標識のあるピークから下山路をやや進んだところにある。こちらのピークは一面苔に覆われた樹林地になって いて、奥山の雰囲気がある。
 そこを通り過ぎ、少し下ってガレ場の横を抜けるとお菊池。
 だが、池がない。もともと浅い池だったが、やや湿った平地になってしまっていた。周りの樹林地は変わらずにいい感じであるが、肝心の水が干上がってしまっていた。まあ、20年近くもたてば土砂も入るだろうし、池でなくなってしまうこともあるのだろう。残念でした。

 

木の根道を下る

 

 お菊池からはただひたすら下る。岩ヶ峰の尾根を登っているときに下山者とすれ違い、その時に「こんな急な道を下るのはイヤだなあ。」と思ったが、この三池岳の下りも岩が少ないだけでかなり急 で厳しい。ところどころロープもある。長い距離を歩いてきたので脚の負担を軽くするために、スピードは遅くなるがストックを使って慎重に下る。経ヶ岳の二の舞にはなりたくない。
 林道に降りたってほっと一息。後は舗装道路を下るだけ。駐車したスペースには、自分の車の他は一台しか残っていなかった。

 

釈迦ヶ岳、三池岳ルートマップ


[山行日] 2025/4/17(木)
[天気] 晴れ          
[アプローチ] 新名神・菰野IC (R306)  八風キャンプ場先P    [約6km]

・八風キャンプ場を過ぎ、橋を渡った左側の路肩駐車スペース。7〜8台は駐車可。トイレなし。
 
[コースタイム]  
行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間  
1:20 8:15 駐車場 [380m] 発    
9:05 649m標高点    
9:35 北山 [770m] 0:05  
0:45 9:40  
10:25 岩ヶ峰 [926m] 0:10  
0:30 10:35  
11:05 鈴鹿縦走路分岐 [604.6m] 0:05  
0:10 11:10  
11:20 釈迦ヶ岳山頂 [1091.9m] (昼食) 0:35 23℃
1:30 11:55  
13:05 中峠    
13:25 八風峠 [950m] 0:05  
0:10 13:30  
13:40 三池岳山頂 [971.5m] 0:15  
0:10 13:55  
14:05 お菊池 [880m] 0:20  
1:00 14:25  
15:25 駐車場 着   全行動時間
5:35     1:35 7:10