守門岳(すもんだけ)                                  [会越] 1537m

  

 ヒメサユリを見るために梅雨の晴れ間を狙って計画したのだが、なんと梅雨明けしてしまった。このまま確定すれば記録的に早い梅雨明けになるらしく、北陸地方も例年より25日早い6月28日に梅雨明け宣言が出された。
 山から帰ってすぐの2日間にしんどい仕事の予定が入っていて、行こうかどうか迷ったが、例年なら梅雨のど真ん中になるこの時期に晴れ予想なので、思い切って出かけることにした。

 長岡市栃尾の道の駅で車中泊し、狭い県道をヒヤヒヤしながら走り抜け、登山口の保久礼の駐車場に6時前に到着。時間的には順調だが、空はどんよりと曇っている。朝の予報では午後からは晴れるということだったが、2日前の好天の予報は外れた。

 出発の支度をしていると車のナンバーを見て、地元の人から声を掛けられた。愛知からと答えると驚かれたが、続いてやってきた3人組はもっと遠い滋賀県からだった。やはりヒメサユリの力はすごい。
 登りはじめは、地元の単独行の方2人と滋賀からの3人組という、3パーティ5人と前後して歩くことになった。

 

保久礼小屋

 

ブナの森

 

 駐車場から作業道のような広い道を少し下ると、左手に保久礼小屋があり、その横から登山道が始まる。
 基本的には稜線上の道で、
ブナ林の中を真っ直ぐに延びる擬木の階段を登っていく。日射しはないが湿気が多く蒸し暑い。森の外は風が吹いているが、登山道までは届かずとにかく暑い。大山でも聞いたアカショウビンの声が遠くに聞こえる。ホトトギスも鳴いている。

 

 キビタキ清水の上でキビタキ避難小屋への道が左に分かれる。特に小屋を見ておく必要はないので、そのまま直進する。10分ほどで小屋からの道が合流する。

ウラジロヨウラク

 

 第二展望台と書かれた小さな標識のあるところからは靄ってはいるものの、今朝までいた栃尾の道の駅あたりが見える。すぐ頭上には黒い雲が天井のように広がっていて、頭を押さえ付けられているようだ。  

 第二展望台を過ぎると雲の天井の中にはいってしまい、あたりはすっかりガスの中。周囲は次第にブナ林からカエデやリョウブなどの灌木林になるが、相変わらず風は頭上を通り過ぎてしまい暑い。展望のない暑い登山道をひたすら登り続けるのはなかなか忍耐力が要る。しかも足下は赤土で滑りやすい。そうなのだ、忘れていた。雪国の山はぬかるむのだ。

 

 

 しかし、突然ヒメサユリが現れ気分が一転する。大岳あたりからでないと見られないと思っていたので、ビックリする。
 就職して最初の夏休みに飯豊連峰の縦走をしたが、ヒメサユリに出会うのはそのとき以来ではなかろうか。ピンク色の花弁は幅が広くてボリュームがあり、清楚というよりも妖艶な感じがする。

 

ヒメサユリ

 

 天狗清水を過ぎ、ぽつりぽつり現れるヒメサユリに励まされて登るとやっと大岳に到着。
 山頂には祠と鐘と「巣守神社」の石碑。この石碑は何?どこかの神社の奥宮か?下山後に調べると栃尾には何カ所か巣守神社があるのだが、山上から勧請されたとある。と言うことは山の上が先?
 ちなみに巣守とは野鳥が多く巣守りをする山(野鳥の宝庫)で、「スモリ」が「スモン」に変ったと言われているそうな。

 ガスで何も見えないので、先に進む。

 

大岳山頂(下山時に撮影)

巣守神社の石碑

 

 ここからは稜線を一旦下り、青雲岳に登り返すことになる。下りはじめると周りは花がいっぱい。
 ヒメサユリは一本にひとつの花しか付かないと思っていたが、茎を分けて3輪、4輪と咲いているものもある。花の色も薄いピンクからちょっとドギツイくらい濃いものもある。
 全コースの
中でここが一番花が多かった。

ヒメサユリ

 

アカモノ

 

ニッコウキスゲ

 

ミヤマクルマバナ?

 

アザミの仲間

 

 最低鞍部まで下り、次は登り。ガスって何も見えないが、左側は大昔の噴火口の深い谷が広がっているはず。
 このあたりは豪雪地帯で、日本で一番大きいと言われる雪庇ができるところらしく、稜線の東側に大きな雪渓が残っている。

 登り切ると二口コースが合流し、なだらかな尾根道に変わる。

花咲く尾根

 

雪庇由来の雪渓

ミツバオウレン

 

ゴゼンタチバナ

ユキザサ

 

ハクサンシャクナゲ

マイヅルソウ

 

 幾つか小ピークを越え青雲岳の山上湿地に到着。池塘もある。
 晴れていたらさぞかし気持ちのいいところだろう。
 青雲岳山頂一帯は木道が設置されているが傾いていて歩きにくい。こんなに傾くのは積雪のせいだろうか?
 ひと登りして、守門岳の山頂に着く。

青雲岳山頂の池塘

 

 登山口で一緒だった地元の二人の他にも、他のコースから登ってきたと思われる登山者が数人。意外に広い岩だらけの山頂に散らばって休んでいる。
 ガスで展望は利かず、風が吹き抜けていくので雨具の上を着る。
 パンを食べながらガスの晴れるのを待つが、時折明るくなりかけるものの、最後まで展望は得られなかった。

 

守門岳山頂

 

 下山は同じ道を戻る。
 大岳への登り返しの途中、お花畑あたりで、流れるガスに切れ目ができ始めた。上空も少し明るくなってきたようだ。
 東側の谷からそそり立つ守門岳の姿が見たくて、30分ほど立ったまま待ったが、結局ガスは晴れず、山頂近くが見えただけだった。

何とか青雲岳が

 

ハナヒリノキ

タカネニガナ

 

 第二展望台付近まで下りてきたら上空に青空が広がり始め、ブナ林に陽が差してきた。明るくなったら急にエゾハルゼミが鳴き始め、一気に夏山の雰囲気になった。
 キビタキ清水の冷たい湧き水で顔を洗い、熱中症気味の頭を冷やしてすっきりして駐車場に戻った頃には、すっかり晴れていた。

保久礼駐車場から大岳方面

 

 守門温泉「守門高齢者センター白石荘」で汗を流し、今日の車中泊予定の道の駅「いりひろせ」に移動。
 一日中展望が利かなかったが、道の駅に隣り合う鏡ヶ池越しに、雲が取れた守門岳の全容が見られてちょっと気が晴れた。

 

浅草岳へ 

鏡ヶ池からの守門岳

 

 守門岳 Route Map


[山行日] 2022/6/30(木)       2022年6月の天気図(気象庁)
[天気] 曇りのちガスのち晴れ
[アプローチ] 29 関越道 長岡IC (R351、290号)→  道の駅「R290とちお」 [約22km]

30日 道の駅「R290とちお」 (県道347号 、林道)→ 保久礼駐車場
                                       [約14km]
 *県道347号は道院オートキャンプ場分岐から先は、コンクリート舗装の狭い一車線道路。すれ違い困難。
 *30台くらい駐車可能。トイレなし。徒歩10分の保久礼小屋にトイレ有り。

 

[コースタイム]  
  行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間  
0:50 6:00 保久礼登山口(780m) 出発   23℃
6:40 キビタキ清水    
6:50 キビタキ小屋上分岐(1050m) 0:05  
0:30 6:55  
7:25 第二展望台(1240m) 0:05  
0:30 7:30  
7:40 天狗清水(1325m)    
8:00 大岳(1432.4m) 0:05  
1:25 8:05  
8:50 二口コース分岐    
9:10 青雲岳(1436m)    
9:30 守門岳(袴岳、1537.3m)山頂 0:55 22℃
1:20 10:25  
10:45 青雲岳    
11:05 二口コース分岐    
11:45 大岳手前で雲待ち 0:25  
0:35 12:10  
12:20 大岳    
12:45 第二展望台 0:05  
0:30 12:50  
13:20 キビタキ清水 0:05  
0:20 13:25  
13:45 保久礼登山口 着   全行動時間
6:00     1:45 7:45
登り 3:15      
下り 2:45      

 

 

[温泉]
 守門温泉「守門高齢者センター白石荘」 (魚沼市西名新田485)
  ・魚沼市の福祉施設らしいが、日帰り入浴もできる。
  ・月曜定休、入浴料600円。
  ・石けん、シャンプーあり、露天風呂なし。
  ・畳敷きの休憩室があり、のんびりできる。

 

[風景印] [ヤマスタスタンプ]
守門局
(新潟県魚沼市須原541)

・図案
守門岳、重文・旧目黒家住宅