三ヶ根山(さんがねさん                                    [三河] 350m

 

 中学時代の同級生の山歩きグループ に誘われて、遠望峰山に続き、地元の三ヶ根山に登る。この山も自宅近くから眺められるが、登ったことはない。三ヶ根山は遠望峰山と同じくドライブウェイが山頂まで通じているので、車で上がったことは何度もあるが、歩いて登ろうとは思わなかった。

 今回の参加者は男2名、女性3名。JR三ヶ根駅から形原温泉に抜ける県道沿いに駐車スペースがあり、そこが登山口。既に10台ほどの車が駐車スペースを埋めていて、何とか隙間を探して駐車する。日曜日とは いえ、こんなにハイカーがいるとは全く想像していなかったので驚く。

 登山口から針葉樹の植林地を谷沿いに少し進み、左手に折れて尾根道に上がる。ここからは尾根上の一本道。植林地の他はヤブニッケイやカシ類の常緑樹にアベマキやヤマザクラの落葉樹が混じる。足元にはセンリョウやフユイチゴなど。このあたりの典型的な植生。展望は利かず、淡々と登る。

 

尾根道

ロープウェイの山上駅の跡

 

 なぜかトップを歩くことになり、いつもの自分のノンビリペースより気持ち速めに歩くが、皆ちゃんと付いてくる。山歩き初心者も混じっていて歩き方はらしくないが、自分より よっぽどパワーはありそうだ。意外にアップダウンのある尾根をぺちゃくちゃ賑やかに登っていく。

 山頂近くの登山道脇にコンクリート造りの構造物が現れたが、これはかつてあったロープウェイの山上駅の跡。いつ頃まであったかは覚えがないが、唱和30年代には麓の形原温泉から観光客を山上に運んでいた。乗った記憶は無いが見た記憶はある。 コンクリートの端から下を覗くと雑木の間に温泉街の屋根や蒲郡方面の市街地が見える。近くには形原温泉から登ってくる登山道もある。
(調べてみたら1957年(昭和32年)に開業し、1976年(昭和51年)まで営業していたらしい。)

 

 
 ロープウェイの山上駅跡からは山頂の一角になり、登山道はぼぼ平らになる。
 三河湾スカイラインの車道を横切るところで北の方に白い山が目に入る。御嶽はすぐに分かったがその左手にも真っ白な山がある。
 おー、白山じゃないか。今日は遠くがよく見える。こんなにはっきり白山が見えるのは真冬とはいえ珍しい。

 

白山

 

御嶽

 

左から荒川前岳、赤石岳、聖岳

 御嶽の右手には聖岳の三角も見える。光線の角度にもよるのだろうが、南アルプスが最もはっきり見える。家に帰って距離を調べてみたら直線距離で白山は153km、御嶽は123km、聖岳は113kmだった。
 白山は市街地上空の汚れた空気を通して見ることになるためか、少し濁って見える。

 

光る三河湾と太平洋

 

三ヶ根観音

 車道を横切り昼食予定の茶店の前を通り過ぎると、三ヶ根観音の手前で三河湾の展望が開ける。冬の角度の低い太陽に照らされて海面が眩しい。渥美半島の蔵王山の右側には太平洋も光って見える。今日は山の遠望だけでなく、海の眺めも素晴らしい。

 三ヶ根観音の周りはいろいろな石碑が乱立している。元々は太平洋戦争関係の慰霊碑が主であったと思われるが、個人的な記念碑、慰霊碑のようなものもたくさん混じっている。
 比島観音も立っていて、フィリピンで終戦を迎えた親父もたびたび慰霊に来ていた記憶がある。

 

鈴鹿の鎌ヶ岳、雨乞岳、御在所岳

 

伊吹山(手前は西尾の茶臼山)

 車道を少し進むと右手に駐車場があり、トイレもある。そばの展望台に上がるとここからも山がよく見える。西の方角の展望が開け、伊吹山や伊勢湾越しに鈴鹿の山々も見える。

 

 先に進むと海側の展望が開け、稜線の先に巨大なコンクリート造りのモニュメントのような廃墟が目に入る。
 同行のSukくんの話によれば、閉鎖されたホテルで数年前に火事で焼けたとのこと。

廃墟
(手前の建物は営業中の三ヶ根の湯)

 

 かつて三ヶ根山の山上にはスカイライン沿いにホテルや土産物店、回転展望台などがあったが、その多くは撤去されたり、廃墟になっていたりする。
 現在は林立する慰霊塔や廃墟などちょっと異様なB級観光地といった感じを受ける。

 

殉国七士廟

 

三ヶ根山の最高地点

 東京裁判で死刑になった東条英機など7名の遺灰を納めたという殉国七士廟で折り返し、山頂部を戻る途中、右手の砂利道に入る。二本建つ電波塔の東側の塔の裏手あたりに登ることができ、ここがどうやら三ヶ根山の最高地点らしい。木の枝に三ヶ根山のプレートがぶら下がっていて、321mの標高の横にマジックで350mと書いてある。地形図をみると標高350mというのはほぼ合っている。南東側が開けているが、あまり展望は良くない。まあ、一番高いところに登ったよ。という程度のものだ。

 展望台、三ヶ根観音と過ぎ、昼食を取るため「ゆうとぴあ三ヶ根」に立ち寄る。昔のドライブインという雰囲気だが、中は旧日本軍の帽子などの戦争関係のものや写真にあふれている。展望はいいがトイレが寒い。
 銘々、カレーやら蕎麦やら注文し、おしゃべりをして1時間ほど過ごす。寂れた観光地の中で貴重な食事場所である。

 帰りは同じ道を下る。

 

 三ヶ根山ルートマップ


[山行日] 2024/1/14(日)
[天気] 快晴            
[アプローチ] 自宅(岡崎)  登山口     [約15km]

・路肩駐車、約10台。トイレなし。
 
[コースタイム]  
  行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間  
1:10 9:20 登山口 発    
10:20 三ヶ根山スカイラインの車道    
10:30 三ヶ根観音 0:10  
0:05 10:40  
10:45 展望台 0:05  
0:25 10:50  
11:15 殉国七士廟 0:10  
0:05 11:25  
11:30 最高地点(約350m) 0:15  
0:30 11:45  
12:15 ゆうとぴあ三ヶ根(昼食) 0:50  
0:50 13:05  
13:55 登山口 着   全行動時間
3:05     1:30 4:35