３月に母親が敗血症で倒れ、一命は取りとめたものの要介護4になってしまった。春から夏にかけて介護に明け暮れ、今年こそはと思っていた東北の山も、とても出かけられる状況ではなくなってしまった。
　夏の終わりになって、寝たきりながらも容態が落ち着いてきたところへ、満観峰に登ったTeから「猿投山に登りたい」との連絡があった。真夏の低山は暑いので自分ひとりでは登ることはまずないが、まあ下山後の温泉をメインにということで、出かけることにした。メンバーはSuが腰痛でキャンセルになり、代わりにIcが加わった。

　 猿投山は東海自然歩道が通っているので、県の観光課に勤めていた頃に仕事でも登ったことがあり、調べてみると今回で４回目。だが、さすがに暑い夏の時期に登ったことはない。
　しかしながら、平日にもかかわらず、猿投神社近くの登山者用の第一駐車場はほぼ満車だった。相変わらず人気の山だ。

　空いていた最後のスペースに車を止めて車道を歩き出す。今日は曇り空で湿度が高い上に沢沿いの道で風もなく、あたりに湿気が充満している感じだ。 帽子をうちわ代わりにして扇ぎながら歩くが、腕を振ると露が付くような感じがする。
　車道から登山道に入る御門杉まで来たときには既に汗びっしょり。特にTeがしんどそうだ。

登山者用第一駐車場

　御門杉からの登山道は最初が少し急で階段が続く。その後は少し緩やかになり、車道を一度横切って再び山道になる。意外に初参加のIcが元気で、先頭を登っていく。Teが遅れ気味になり、 真ん中の自分は後を気にしながら歩く。

　途中の休憩所で一休みしたときには全員汗だく。Teが腰掛けたベンチには汗でお尻の形に跡が付く程で、かなり汗をかいている。顔も赤みがかっていて、熱中症気味かもしれない。
　何度も登った山なので、ここで引き返しても構わないのだが、本人が行けるところまでと言うので、再び歩き出す。

　少し登ると大岩展望台との標識があり、少し戻ると大岩の上に出た。ここは風が通るので、ゆっくり休憩をとることにした。
　曇り空で遠望は利かないが、豊田スタジアム辺りまでは見える。左手の山の方はところどころ雨柱が立っている。こちらに来なければいいのだが。　

大岩展望台から豊田市街地方面

　大岩から少し登るとまた車道に出る。少し左に行くと東の宮 の鳥居があり、そばにはトイレもある。
　ここならエスケープできるが、Teも何とか行けそうなので、鳥居をくぐって東の宮を目指す。

　この辺りからは落葉樹にモミが混じる自然林で、木の丈が高い。あたりは蝉の声に満ちていていかにも、夏の山を登っているという感じ。ツクツクボウシの声が多いが、ミンミンゼミも混じっている。

　登り着いた東の宮は平坦地が広がり、一番奥に社殿が建っている。拝殿前の一段下には礎石が長方形に並んでいるが、神楽殿の跡だろうか？社殿の背後の高みが実は猿投山の最高地点。三角点よりも高いが、神社地で立ち入り禁止になっている。
　お賽銭をあげて登山の安全をお願いし、一休みして山頂に向かう。

東の宮社殿

　かえる石を過ぎ、幾つかのアップダウンを繰り返し、時には巻き道を通り、やっと山頂に到着。Teもなんとか無事にたどり着いた。
　山頂は2010年に登ったときよりも整備がされていて、ベンチもたくさん設置されている。5〜6組のグループが休んでいるが、座るところには困らない。
　山頂は北側が開けているが、展望図にある御嶽や白山は曇り空でもちろん見えない。
　おにぎりを食べ、デザートのゼリーを食べ、Teに煎れてもらったコーヒーを味わい、まったりノンビリする。気温は24度で下界よりもかなり低い。風があるので涼しく快適である。

　帰りはかえる石から 右に踏み跡に入り西の宮を目指す。
　この季節に来たことがないのでこれが普通なのかどうか分からないが、林床にはやたらキノコが生えている。数も多いが赤いの、白いの、黄色いのと色も様々。ちょっと異様な感じ。

御船石

　御船石のところで東の宮からくる登山道に合流し、右に行くと大碓命（おおうすのみこと）の墓地に突き当たる。急な石段を下ると東の宮よりも立派な感じの西の宮の境内に降り立つ。こちらにも拝殿の前に神楽殿のような礎石が並んでいる。
　なおも下ると車道に出て、登り返すと登ってきた登山道に行き当たる。

　Teがかなり疲れているようなので、自分だけ先に下り、 車を取ってくることにした。山道と車道を急いで下って駐車場に戻り、車を御門杉まで回送するとちょうど二人が下りてくるところだった。

　後は猿投温泉でたっぷりかいた汗を流し、帰路につく。