霊仙山(りょうぜん ざん)                                         [鈴鹿] 1083m

 

 天気図を見ると絶好の登山日和。本当は一泊で蓼科山に行きたかったのだが、仕事の都合で日帰りしかできない。ということで、手近に雪が楽しめる霊仙へ行くことにする。
 年によっては無理をすれば車で登山口まで入れることもあるのだが、今年は雪が多く醒井養鱒場から歩かなければならないという情報はヤマレコで得ていた。まあ、片道4キロなので何とかなるだろう。

 

 養鱒場の除雪された駐車場に車を止める。意外なことに他に車がない。もう8時半なのに、今日は他に登山者はいないのだろうか。養鱒場のおじさんがやってきて駐車料金400円を徴収していく。

 駐車場横の林道は入口からいきなりしっかり雪があるので、最初からチェーンスパイクを履いて歩く。轍があって歩きにくいが、轍の無いところを歩くと、くるぶしまで踏み込むくらいに積もっている。仕方なく轍の溝を歩く。

林道入口 (右手が養鱒場の駐車場)

 

  轍は途中からなくなったが、先行者のトレースが溝になっていて、歩きにくいことには変わりない。そしてこの林道が長い。
 暑くなってきたのでジャケットを脱ぎ、足を取られないように下を見て黙々と歩く。周りは杉林で景色も単調だ。
 駐車場を出るときに一台車が入ってきたが、後ろから迫ってくる様子はない。(下山後に分かったが、この車に乗っていたのは渓流釣りの人だった。)
 予定していた1時間を15分もオーバーしてやっと登山口に到着。精神的にも、肉体的にも既に少々疲れ気味。

登山口に到着

 

 登山道に入ってもしばらくは杉の植林地を歩く。梢から落ちる雪でトレースが消えているところもあり、見失わないよう気を付けながら沢沿いの道を進む。
 榑ヶ畑の売店「かなや」はもちろん閉まっている。ここからは右手の山腹に取きジグザグに高度を上げる。チェーンスパイクの裏に雪が付き始め、時々叩き落さないと歩けない。先月の青笹山の時はそんなことはなかったのだが、今日の方が雪が湿っているのだろうか。

かなや

 

  ひと登りで汗拭峠に上がる。埋もれた標識には二合目とある。一合目は気が付かなったが、「かなや」あたりか?

 ここからは山腹を巻くこともあるが基本的に尾根道で、葉を落とした明るい林になる。ミズナラなどが多いようだ。枝に雪が積もっている。
 登るに連れて右手の枝越しに南霊山の姿が見えるようになってきた。

 

汗拭峠  (二合目)

 

ミズナラ林を登る

 

 五合目の見晴台は尾根が緩んだところで、琵琶湖方面の展望が開ける。湖岸の平地が一面白く雪に覆われているのが良く見える。先週から冬型の気圧配置が続いたので、平地でも積もるほど降ったのだろう。
 湖面の向うに比良の峰々がぼんやりと浮かんでいる。天気が良すぎて霞んでしまっている。霊仙は今回で4回目だが、しっかり琵琶湖が見えたことがない。

見晴台 (五合目)

 

  一休みして歩き出そうとしたらトレースがない。「ここまではあんなにしっかり付いていたのだから、突然無くなるはずはない。」と思い、少し戻ってみたが、他には踏み跡はない。尾根を少し進んでみてもズブズブと膝まで沈み込むだけで、周りのミズナラの林にそれらしきものは見当たらない。
 一瞬、諦めようかと思ったが、さすがにここで帰ったら林道を歩いただけではないかと気を取り直し、スノーシューに履き替える。久しぶりのスノーシューで少々おぼつかないが、取りあえずは沈まずに進める。

 

 進むに連れて傾斜がきつくなり、周りの樹木の背が低くなってくる。トレースは全くなく、ピンクのテープを目印にして進路を決める。真上にテープが見えても真っ直ぐには登れず、スキーのように斜登高を繰り返して高度を上げていく。

 雪はふかふかでスノーシューを履いていても膝下あたりまで沈む。スノーシューがこんなに活躍するのは初めてではなかろうか。ラッセルはしんどくて時々立ち止まって息を整えないと続かないが、気分は青空に向かって昂まっていく。

右手には南霊山

 

広い雪の斜面を登る

もう少しで登りきる

 

 少しずつ傾斜が緩くなり、やっとの思いで山上台地の一角に到着。眼前には踏み跡の無い真っ白な雪原が広がる。う〜ん、すごい。登ってきた甲斐があった。

 この時点で随分時間を費やしてしまっているので、山頂に立つのは諦めざるを得ないが、取りあえず行けるところまで行こう。どこを歩いてもいい、というのは何と嬉しいことか。窪地の端にできた雪庇を避けるくらいで、気を付けなけらばならないものはない。
 進むにつれて益々展望が広がり、山上台地の全貌が現れる。霊仙の山頂はこんなに広かったのかと、改めて驚かされる。

 

山上台地の一角に到着

 

雪庇

海老の尻尾

 

 冬のこの時期にしては風も弱く、いつまでも雪原を歩いていたいのだが、どこかで引き返さなければならない。まだ食事もしてない。
 まだ伊吹山が見えていないので、展望が利きそうな台地の北側のピークを最終目的地に決めて登っていく。
 先ほどのラッセルの疲れが残っていて、登りになると脚が攣りそうになるが、なんとか頑張って登り詰める。北隣に大きく伊吹山が立ち上がり、左には金糞山も白い峰を伸ばしている。伊吹が見えて気分的にケリがついたので、戻ることにしよう。

伊吹山
 

伊吹山から霊仙山へのパノラマ

 

霊仙の山頂台地のパノラマ

 

 山上台地の端を少し辿って、風当たりの弱いところを見つけてランチにする。腹が冷えたためかあまり食欲はないがカップヌードルを掻き込む。
 登ってくる時には判らなかったお虎ヶ池の鳥居が眼下に見える。お虎ヶ池は完全に雪に埋もれてしまって、どこが池だかわからない。
 

お虎ヶ池の鳥居

 

 食事を終えて山上台地を戻り始めたら、山頂方面から3人連れのパーティーが雪原を横切って近づいてきた。全員、スノーシューを履いている。聴くと今畑から登って来たとのこと。健脚揃いのようで、あっという間に下って行った。わかんを履いて登って来た単独行者ともすれ違い、結局、今日出会った登山者はこれで全てだった。
 下山も深雪にトレースを刻みながら好きに下っていけるが、バランスを取るために余分な力がかかるのか脚が攣りそうになるので、休みながら時間をかけて下る。汗拭峠からの下りが急なので、スノーシューを脱ごうか迷ったが、結局林道に出るまで履いたまま下ってしまった。
 登山口の休憩所でスノーシューを脱いで、林道はツボ足で下ったのだが、これは失敗だった。休憩所で休んでる間に、単独行の人が下って行ったのでその跡を辿ればいいと思っていたが、それでも時々脛まで踏み込んでしまった。結局、下りでも林道歩きに1時間を要した。
 だれか林道を除雪してくれないだろうか。そうすれば、下ばかり見て歩かずに済むし、もう少し楽な山行になるのだが。


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[山行日]   2017/2/16(木)
[天気] 快晴     2017年2月の天気図
[アプローチ] 北陸道 米原I.C. →(R21、県道17号)→ 醒井養鱒場P  [約5km]

・養鱒場の南駐車場。400円。トイレなし。
 
[コースタイム]
  行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間  
1:15 8:50 醒井養鱒場の南P 出発   1℃
10:05 登山口 0:10  
0:30 10:15  
10:30 榑ヶ畑 かなや前    
10:45 汗拭峠 0:05  
0:50 10:50  
11:40 五合目 見晴台 0:10  
1:20 11:50  
13:10 お虎ヶ池上 (昼食) 0:20  
0:35 13:30  
14:05 五合目 見晴台 0:05  
0:50 14:10  
14:40 汗拭峠    
15:00 登山口 0:20  
1:00 15:20  
16:20 醒井養鱒場の南P 到着   全行動時間
6:20     1:10 7:30
登り 3:55        
下り 2:25        
 
[地図] 彦根東部(1/25000)
[装備] ダブルストック、チェーンスパイク、スノーシュー

 

[風景印] 醒井局
 (滋賀県米原市枝折127)

・図案
  霊仙山、醒井渓谷、養鱒場のニジマス