幌尻岳( ぽろしりだけ) [北海道] 2052m |
8月29日
旧JR富内線の振内駅に建つ鉄道資料館を見た後、むかわ町の恐竜博物館へ向かう途中、ラジオがとんでもないニュースを告げた。幌尻岳から下山途中の8人パーティーのうちの3人が増水した沢で流され、2人が死亡、1人が意識不明の重体とのこと。無理して下った登山者がいたようだ。
|
8月30日 |
バスは40分程未舗装の林道を走り、第2ゲートの登山口に到着。身支度をして、皆、熊よけの鈴をチリチリ鳴らしながら三々五々歩き始める。山道になるまで7.5kmほどの林道歩きがある。
3時のバスだと日帰り登山をする人もいるので、急ぎ足になるようだが、今日は皆幌尻山荘泊まりなので、おしゃべりしながらのんびり歩いている。最初は固まって歩いていても、ペースが違うのでだんだんバラバラになってくる。 |
|
第2ゲートの登山口
|
|
|
ダイモンジソウ
|
ミヤマモジズリ |
林道が付けられた谷はかなり深い。橋を二度渡り、終点近くになると木々に覆われてくる。支流の沢は滝になって本流に注いでいる。 |
|
|
切り立った崖につけられた林道
|
カツラの大木 |
二時間ほどの林道歩きで取水施設に到着。ここから山道になる。先行していた人もここで休憩している。ここは虫が多く、額を刺されてしまった。林道は虫が多いと聞いていて、網付きの帽子を持ってきたのだが、これまでほとんどいなかったので油断していた。後から次第に腫れてきた。 |
|
取水施設
|
取水施設からの山道は右岸側に付いている。すぐのところに岩場の「へつり」が2か所あり、途中にも一か所へつるところがある。取水施設で一緒になってしまったので、団子になって進む。 |
|
|
先行者が教えてくれたヒグマの足跡 | 岩場のへつり
|
取水施設から1時間ほどで渡渉開始地点に着く。ここで登山靴から沢シューズに履き替える。ネオプレーンでできたフェルト底の地下足袋のようなものだ。沢水が冷たいとネオプレーン 製のスパッツを着けた方がいいようだが、今は一番水温が高い時期なので、半ズボンに雨具の下を履いて済ませる。両手にはトレッキングポール。ポールの石突きのプロテクター は外す。 |
|
渡渉開始地点 |
最初の渡渉は皆要領が分からないので、誰か先に行かないかと待っている。そのうちガイド+夫婦のグループが渡り始めたので、皆それに続く。 |
|
最初の渡渉 |
|
|
唯一の橋
|
四ノ沢の滝 |
|
|
最初は渡渉が続く
|
河原歩きもある |
幌尻岳の額平川ルートはこの渡渉が最大のポイントでネックであるのだが、今日は天気も良く水位も低いのでちょっとした探検気分で面白い。一人ではどこを渡ろうか迷うところもあるが、同行者がいるので心強い。むしろ渡渉箇所よりも岸の大岩を高巻くようなところの方が厄介だ。 |
|
本流の小滝
|
小屋前には大きなブルーシートが敷かれ、これから下山する人々が支度をしている。ツアー登山らしい。12時半だがこれから下って5時のバスに間に合うらしい。
8月31日 |
|
|
エゾヒョウタンボクの実 |
命の水付近のダケカンバ林 |
所々木の根元をよじ登るようなところもあるが、斜面の傾斜ほど道の傾斜はきつくない。つづらに折れながら、エゾマツなどの針葉樹の森を高度を上げていく。雨具を脱ぐために立ち止まる人もいるので、いつの間にかグループを引き離して先頭を歩くことになっていた。雨は止んだが、斜面の上の方はガスがかかったままだ。 |
尾根はだんだん細く、稜線がはっきりしてきて、森林限界を抜けハイマツを分けるようになってきた。左手はもう北カールのはずだが、ガスに埋もれている。 |
|
ナナカマド |
|
|
ガスの向うに幌尻岳の山頂が見えた
|
チシマヒョウタンボクの実
|
この辺りからカールの縁をいく道はお花畑の中を通っていく。草原は秋色に変わり始めていて、咲いている花は多くはないが、それでもまだ名残りが見られる。チングルマの実が一面に覆っている斜面に、ウメバチソウ、コガネギク
、ウサギギク、タカネトウウチソウなどが咲き、嬉しいことにエゾツツジが数輪咲き残っていた。学生時代に大雪十勝を縦走した時以来の再会だ。 |
|
お花畑の稜線
|
|
|
ナガバキタアザミ |
エゾツツジ |
|
|
ムカゴトラノオ |
コガネギク(ミヤマアキノキリンソウ) |
お花畑を過ぎるとハイマツと岩の稜線になる。風が強く寒いくらいだ。再び雨具を羽織る。時々ガスが切れ西の方が見渡せるが海までは見えない。右手の遥か下に新冠ダムの幌尻湖が見える。 |
|
|
ウラシマツツジの紅葉 |
山頂が近づく |
山頂は凄い風。立っていると吹き飛ばされそう。ケルンの陰に身を寄せ、行動食
のパンをかじる。戸蔦別岳はガスで見えないが、出発時から周回コースは諦めているので未練はない。まあ、無事に山頂に立てただけで満足だ。 |
|
幌尻岳山頂にて |
下り始めると、下から次々に登山者が登ってくる。横浜のご夫婦はまだ元気そうで戸蔦別岳の周回ができそうだ。もう一組のご夫婦は少しお疲れ気味。周回を目指していたガイド+男性2人は1人が遅れ気味でどうだろうか。他にも見知らぬ人が歩いているが、後から聞くと日帰り登山の人だった。 |
|
カールの縁の稜線
|
12時前に小屋に着いたので、余裕を持ってパッキングをし直し、行動食のオールレーズンを食べ、沢装備で出発。焼津の男性よりも一足早く出発したので、帰りは自分で渡渉ルートを判断することになったが、登りの記憶がある程度残っている。冷静に歩くと渡渉箇所は登りの最初の方に固まっていることが分かる。あまり迷うことなく下ってきたが、岸辺の巻き道で大岩の上で滑って尻もちをつき、したたかお尻を打ってしまった。 フェルト底を過信してしまっていた。尾てい骨を打たなかったのが幸いで、打撲だけで済んでよかった。 |
|
|
こんなところにカライトソウ
|
渡渉地点の目印の赤テープ
|
沢下りが終わり、取水施設からは再び林道歩き。途中からガイド+東京のご夫婦と焼津の男性と一緒になり、話ながら歩く。 |
|
|
サラシナショウマ
|
ハンゴンソウ
|
|
|
クロイチゴ
|
エゾノホソバトリカブト
|
林道歩きもまもなく終了という頃に、後ろから小屋の管理人が運転する軽トラがやってきて、荷物を荷台に乗せて運んでもらった。ザックが無くなると体が浮くようで、しばらくはバランスが取れず歩きにくい。それでも身軽になって、気分も軽くバス停まで歩けた。
これで百名山踏破の最大の関門である幌尻岳が終わった。うまくいけば、今回羊蹄山も登り、一度で北海道をクリアすることが出来るかと思ったが、さすがにそれは虫が良すぎた。まあ、今回は遭難事故もあったことだし安全第一。羊蹄山は次回ということにしよう。北海道にはまだ暑寒別岳もあるし、大雪山にももう一度登りたいし
・・・。 |
[山行日] | 2017/8/30(水)〜31日(木) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[天気] |
8/30 晴れ時々曇り 2017年8月の天気図(気象庁) 8/31 雨のちガス、のち晴れ |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[アプローチ] | 8/28 自宅
6:50 →(自家用車)→
8:00 空港ジャンボ駐車場 8:15 →(送迎バス)→ 8:30 中部国際空港 9:30 →(JAL)→ 11:15 新千歳空港 11:55
→(レンタカーで観光)→ 16:30 とよぬか山荘
8/30
とよぬか山荘 7:00 →(シャトルバス)→ 7:40
第2ゲート |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[コースタイム] |
<コースタイム11:30> |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[ガイドブック] | 平取町HP 観光スポットに幌尻岳のページあり。 |
|
||
[宿] |
とよぬか山荘 |
|
幌尻山荘 |
||
[温泉] |
びらとり温泉ゆから |
|
[風景印] | 貫気別(ぬきべつ)局 ( 沙流郡平取町貫気別125-1) ・図案 |
|
振内(ふれない)局 (沙流郡平取町振内町20-2) ・図案 |