大山(おおやま)328雨乞山(あまごいやま)233                     [三河] 

 

 オミクロン株の流行で、未だまん延防止措置が解除にならない。そろそろ遠出をしたいところだが、近場で面白そうなコースを見つけたので、措置の趣旨に従って県内で我慢することにする。
 向かうのは渥美半島の大山。昔〜し、1990年の2月に一度登ったことがある。当時は南側の越戸側からしか登山道がなく、越戸からピストンした覚えがあるがなにせ昔のことなので、ほとんど記憶がない。たいした歩きでもないので、記録も取ってなかった。
 最近は北側からハイキングコースが整備されたようで、ネット上の山行記録もほとんど北側からのものになっている。尾根を伝って雨乞山まで行けるようなので、自分の好きな低山縦走ができそうだ。天候に恵まれれば富士山が見られるらしい。

 以前はこんなトンネルは無かったと思うが、「あつみ大山トンネル」の北口のそば道があり、そこが登山口。ヒノキやスギの植林地に入っていく。
 何カ所かイノシシ除けの柵があり、チェーンを外したり掛けたりが面倒くさい。扉に付けられた説明書きを読むと、農作物への食害を防ぐための柵ではなく、「豚熱」の感染拡大防止のためらしい。渥美半島はキャベツだけでなく畜産も盛んなようである。

 

左の作業道が登山口

 

イノシシ除けの柵

 

 植林地を抜けて尾根に出るとウバメガシ主体の尾根道になる。少し登ると道の脇に白っぽい岩があり、登ってみると初めて展望が開ける。「くちなし岩」というちいさな名札が灌木にぶら下がっている。
 北側には小山の連なりの向こうに三河湾がのぞき、さらに向こうにやや霞んで白い峰々が並んでいる。雲も少しかかっているが、御岳、恵那山、大川入山、南アルプスの山々のようだ。愛知県から南アルプスが見えるとはちょっと感激。北岳あたりから聖岳あたりまで見えている。先月の茶臼山からの展望ほどの迫力はないが一番右手の赤石岳、聖岳は近い分だけ大きく見える。
 富士山も見えるはずなのだが、富士山あたりには雲が湧いていて残念ながら判別できない。

 

くちなし岩から南アルプス遠望

 

くちなし岩雨乞山方面 眼下の温室群

 

 さらに尾根道を登り、ヘソ岩への分岐を過ぎるとアンテナが何本も立つ大山の山頂に到着。山頂の三角点の横には小さな展望台があり、先客と入れ替わりに上がってみる。
 南側には太平洋が広がり、冬の低い日射しを反射して一面銀色に光っている。西側は伊良湖岬方面で、白い砂浜が真っ直ぐに延びている。半島の先には神島が浮かんでいて、やや右手の知多半島が意外に近い。知多半島との間には篠島 、日間賀島も見える。 

大山山頂展望台

 

太平洋

 

伊良湖岬方面(左手が神島)

 北側には先ほどのくちなし岩からと同様に御岳から南アルプスの山々が眺められる。今年は寒くて雪が多いので、山頂近くまで樹木に覆われていて普段は黒っぽく見える恵那山も、白く雪化粧している。
 空気が澄んでいれば、伊吹山や白山も見えそうだ。

 

大山山頂から恵那山

 

ヤマスタの記念スタンプ

 

 大山からは先ほどの分岐まで戻ってヘソ岩に向かう。緩やかな尾根道の周りの主体はウバメガシでヒサカキ、ヤブニッケイ、アセビなどの常緑樹にアカマツが混じっている。登山道の両脇にはウラジロが多い。
 尾根道はどこまで行ってもずっとこんな感じで単調極まりないが、針葉樹の植林地よりよっぽどいい。

ウラジロが茂る登山道

 

 ヘソ岩は尾根上の岩場の突起で、岩に上がると大山が見えるが、それ以外の方角に展望はない。ここからは尾根道を北に向かう。
 

 直腸がんの手術をしてから丸一年が過ぎたが、排便の調子は未だに良くなくて、ここ数日は特に芳しくない。お尻を気にしながら歩くのは辛いので、登山道を外れて藪に潜り込みキジ打ちをする。便意の割にはあまり出ない。

 

 稜線上にはくちなし岩やヘソ岩など、所々樹林から突き出した岩場があるが、観音の腰掛け岩もその一つ。大きめの岩場で360度展望が利く。
 雨乞山にもいくつか岩場が岩場があり、このあたりの地質的な特徴なのだろう。渥美半島の北側には中央構造線が走っており、それに関係するのかもしれないが、詳しくはネットで調べてもよく分からない。

観音の腰掛け岩から狼煙山

 

狼煙山山頂から大山を振り返る

 

タイミンタチバナ

 観音の腰掛け岩周辺はやや踏み跡が不明瞭で、少し登ると狼煙(のろし)山。どこからどこへ何を伝える狼煙だったのだろう。
 南の方角だけ展望が開けていて、風が避けられて暖かいのでカップヌードルの昼飯にする。大山のあたりには他にハイカーがいたけれど、ヘソ岩の分岐からは誰にも会っていない。

 

 狼煙山をなおも北に下ると椛(なぐさ)峠。狭く薄暗い峠。右手に下ると出発地に近いが、まだ時間があるので予定通り雨乞山に向かう。急な山道の途中でもう一度キジ打ちをする。
 稜線に近づくにつれて傾斜がきつくなり、ロープも現れる。
 稜線に上がって右手に少し進むと達磨岩。ここからの眺めも良く、行く手の雨乞山への稜線が見渡せる。

達磨岩から稜線伝いに物見山(右)、雨乞山(左奥)

 

 達磨岩から東へわずかな距離で物見山。ここも眺めがいい。足下は切れ落ちていてすぐ下にキャベツ畑が広がる。
 物見山からはアップダウンを繰り返し、大きめの岩場(名前は忘れた)を過ぎるとやっと雨乞山山頂。立派な山名柱が立っている。
 眼下に三河湾が広がり、海越しに御岳や南アルプスがよく見える。海越しに南アルプスを見るのは初めてで、こんな景色が見られる山は、他には伊豆半島くらいではないだろうか。

 

雨乞山山頂

 

渥美の火力発電所の煙突の向こうに知多半島

御岳

 

荒川前岳、赤石岳、聖岳

 雨乞山を越えれば後は下るだけ。はじめは岩場が多く眺めがいい。樹林帯を下り、最後は滑りやすい真っ直ぐな道をロープを頼りに下ると貯水池脇の雨乞山北登山口に降り立つ。
 後は車道を歩いて車まで戻るのだが、40分の舗装道路歩きはなかなか辛い。

東側山麓から雨乞山

 

 

大山〜雨乞山 ルートマップ


[山行日] 2022/2/24(木)
[天気] 晴れ       2022年2月の天気図(気象庁)
[アプローチ]

自宅(岡崎) (R248号、R23号)→  豊橋   (R259号、県道398号)→ 大山トンネル北口駐車場    [約65km]
      
・駐車所としては整備されていない空き地。トイレなし。10数台くらいは止められそう。

[コースタイム]  
  行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間  
0:40 10:00 大山トンネル北口駐車場 発    
10:40 大山山頂(328.0m) 0:10  
1:05 10:50  
11:15 ヘソ岩(250m)    
11:45 観音の腰掛け岩    
11:55 狼煙(のろし)山 0:30  
0:45 12:25  
12:35 椛(なぐさ)峠    
13:10 物見山 0:05  
1:30 13:15  
13:35 雨乞山(233m)    
14:00 雨乞山北登山口    
14:45 大山トンネル北口駐車場 着   全行動時間
4:00     0:45 4:45
 
[地図] 野田 (1/25000)