西尾茶臼山(にしおちゃうすやま                                    [三河] 291m

 

 「ええっ、違うのか!?」あれは三ヶ根山じゃないのか?


 2週間ほど前に中学時代の同級生の山歩きグループに誘われて三ヶ根山に登った。三ヶ根山は家の近くの田んぼから見える山。田んぼに出ると北、東、南と180°低い山並みが ぐるりと見渡せるが、その一番南の端にあるのが三ヶ根山。と思っていたので、どのピークなのか確認しようとパソコンソフトのカシミールで展望図を作ってみたら、何と違っていた。
 一番南に見えるのは茶臼山だった。山頂にアンテナが見えるのでずっと三ヶ根山だと思っていた。三ヶ根山は羽角山の右肩の上に少し(こちらにもアンテナがある)見えるだけで、その南側にずらりと並んでいたのは茶臼山だったのだ。

 茶臼山という名前の山は全国にたくさんあり、愛知県の最高峰も長野県境にある茶臼山。一方こちらの茶臼山は国土地理院の地形図にも名前がないような里山。しかし山歩きの対象にはなっているようで、ハイカーの間では通称、西尾茶臼山と呼ばれているらし い。気になる。

 友人が来る予定がお子さんの発熱で急にキャンセルになり、天気がいいので急遽その茶臼山に登りに行くことにした。標高291mの低山だし、家から登山口まで車で20分ほどなので、気楽に出かける。

 登山口のある平原の滝の駐車場に着いたらなんと満車だった。しかたなく、手前の路肩に止まっている車の間になんとか車をねじ込む。
 ウィークデイなのにこんなに登る人がいるというのは、ここも猿投山や本宮山と同じように健康登山(毎日登山)の山なのだろうか。

 

 
 駐車場の先に古びた茶店のようなものがあり、その手前にトイレもある。その近くにも車が止まっているが空いているスペースはない。
 沢に沿って、コンクリートで固められた傾斜のきつい道路を上っていくと、テントスペースや自炊施設があり、小さなキャンプ場のようになっている。その先が平原の滝。

 

平原の滝

 

 滝といっても沢水が何本かの竹の樋に導かれて筋となって落ちているだけで、滝という感じはない。左手の岩壁に濡れたような跡があるので、水量のあるときはこちらに細い滝ができるのかもしれない。滝の後ろにはお堂があり、その右手の登山道を登っていく。

 実は若い頃に平原の滝に来たことがあり、その時に遊び半分で茶臼山に登ったことがある。岩の多い登山道で周りは松がまばらに生えていたという記憶が残っているだけで、山頂の様子だとか他のことは何も覚えていない。
 道は斜面をジグザグに登っていく。足元はずっと擬木階段でなかなかしんどい。高齢者のグループや子供連れの女性などが下山してきてすれ違う。

 

展望台の眺め

御嶽

 

 階段が終わると尾根に出て少し右手に進むと擬木製の立派な展望台が建っている。上に上がると北と西側に展望が開ける。なかなかの眺めだ。 岡崎平野はもちろん、目をこらせば名古屋の高層ビル群も見える。
 先日の三ヶ根山の時ほどくっきりとは見えないが、御嶽、恵那山、木曽駒などが岡崎の街並みの上に遠望できる。白山は靄ってしまってほとんど空に溶け込んでしまっているが、伊吹山はなんとか見える。伊吹の左手には鈴鹿の山々が並んでいる。
 わずか30分の登りでこれだけの展望が見られるのは儲けものだ。

 

木曽駒(左奥)と恵那山

 

ぼんやりと伊吹山

 展望台から茶臼山山頂へは尾根伝い。記憶にあるような岩の露出した道だ。
 周りはアベマキ、リョウブ、ヤマザクラなどの落葉樹にソヨゴ、カシ類、シロダモなどの常緑樹が混在し、林床にウラジロなどのシダが生える典型的なこのあたりの低山の植生になっている。貧弱なマツから遷移は進んでいるようだ。

 前方から30人ほどの高齢者の団体が下りてきてすれ違う。こんなに登っていれば駐車場が混むはずだ。登っていく人もあって、身軽な格好でさっと追い越していく。

登山道

 

茶臼山山頂

 

蒲郡方面

 茶臼山の山頂も岩が露出していて、そこに三角点の標柱が埋まっている。木々に囲まれているが、西と東は切り開きがあり、西は伊吹、鈴鹿方面、東は蒲郡の町が見渡せる。蒲郡の竹島の橋も見える。
 まだ時間が早いので、ここはスルーして先に進む。

 家の近くからも見える高いアンテナの敷地を回り込み、西茶臼山に向かう。広い尾根に踏み跡が幾つもあり、地図アプリで現在地を確認しながら進まないとルートを外れそうだ。

  西茶臼山との鞍部あたりで稜線が狭まり、左手が崖になっいて眼下に採石場を見下ろすことができる。採石というより、風化花崗岩のサバ土を採っているような感じだ。
 採石場の向こう側は三ヶ根山が長く横たわっている。

採石場を見下ろす

 

 ここから西茶臼山への登りはかなり傾斜がきつい。ところどころロープも張られている。少し緩やかになると西茶臼山山頂。一休みしてまずは折り返しのイナバ山を目指す。
 山城の堀切のような溝を越え、支尾根を少し下ると尾根のこぶのようなイナバ山山頂に到着。ここからも西の方の展望が開ける。北側は木が生えているが、少し先に進むと御嶽の方角が見渡せる。
 振り返ると茶臼山の斜面が広がっていて、新緑の頃は緑がいい感じになりそうだ。
 ここで昼にしようと思っていたが、風が吹き抜けるので西茶臼山まで戻ることにする。

 

イナバ山山頂

 

茶臼山を振り返る

 西茶臼山に戻ってきて久しぶりにカップヌードルのランチ。初めて買ったあっさり味のカップヌードルだが、なかなかうまい。
 西茶臼山は北側が樹林で風が遮られ、陽を浴びてぬくぬくと暖かい。南側は展望が開け、三ヶ根山の右手に三河湾が広がっている。よく見ると三河湾に浮かぶ佐久島、日間賀島、篠島が見え、伊勢湾の神島も見える。今日も三河湾は鏡のように光っている。
 茶臼山を過ぎてから誰にも会わなかったが、昼飯の間に登り1組、下り2人のハイカーが通り過ぎていった。

 

三河湾の向こうは大山

 

佐久島の向こうに
篠島(左)と日間賀島(右)

 食事を終えて茶臼山を登り返し、山頂を過ぎて東側の尾根を下る。枝道が多いので下りは余計にルートファインディングに気を遣う。
 このまま樹林の中を下るだけかと思っていたが、思わぬところで北側の展望が開けた。かたわらの枝に枯れ木展望台という札が下がっていて、確かに目の前に枯れ木が2本立っている。
 御嶽は午前中より少し霞がすすんでぼんやりしている。ひょっとしたらと思ってその右側を遠望すると、やはり奥三河の山並みの上に
南アルプスの白い峰を捉えることができた。荒川前岳、赤石岳、聖岳の三山で、三ヶ根山からも見えたが、三河南部の低山から見られると思うとちょっと感動する。

 

枯れ木展望台

 

南アルプス

 枯れ木展望台の少し先に左に分かれる踏み跡があり、これを下る。ヤマモモの木が目立つ岩がちの尾根をどんどん下る。途中、最初に登った展望台が隣の尾根に見える。

 朝、登るときには特に下ってくる登山道の標識が見当たらなかったので、どこに降り立つのか不安だったが、出てきたところは沢沿いのキャンプ場の休憩所のある広場だった。

隣の尾根の展望台

 

 思わぬ形で茶臼山に登ることになったが、予想外にいい山だった。岩の道や樹林の中など登山道が変化に富んでいるし、展望も良い。針葉樹の人工林も比較的少なく、季節の変化もありそうだ。家からも近いしトレーニングの山としていいかもしれない。

西尾茶臼山ルートマップ


[山行日] 2024/1/29(月)
[天気] 快晴            
[アプローチ] 自宅(岡崎)  平原の滝P     [約11km]

・24台ほど止まれる駐車場あり。その奥のトイレの近くに7〜8台ほど駐車可能。
 
[コースタイム]  
  行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間  
0:25 10:00 登山口 発    
10:10 平原の滝(130m)    
10:25 203展望台 0:10  
0:40 10:35  
10:55 茶臼山(290.9m)    
11:15 西茶臼山(264m) 0:05  
0:05 11:20  
11:25 イナバ山(220m) 0:10  
0:10 11:35  
11:45 西茶臼山(昼食) 0:35 8℃
0:25 12:20  
12:35 茶臼山(290.9m)    
12:45 枯れ木展望台 0:10  
0:25 12:55  
13:20 登山口トイレ 着   全行動時間
2:10     1:10 3:20