妙義山・相馬岳(みょうぎさん・そうまだけ                       [関東] 1104m

 

 久々に1泊2日の遠出山行。行き先は妙義山。天候に恵まれ道中では雪の残る中ア、蓼科山、浅間山を眺める。
 足慣らしに中之嶽神社前の駐車場から石門巡りをするが、第二石門や天狗の評定は思いのほか怖かった。
 安中市内まで車で降りて、うどんの夕食。道の駅みょうぎに戻って車中泊。飛び石連休の狭間のせいか、駐車場は空いていて静かに寝られた。
 

道の駅みょうぎから白雲山を見上げる
左端が相馬岳

 

白雲山の中腹に大の字

 さて今日は表妙義の最高峰、白雲山の相馬岳に登る。大の字からの稜線縦走コースも無理をすれば行けないこともないだろうが、万一のことを考えて中間道からタルワキ沢往復の一般ルート にする。
 ちなみに妙義山は表妙義の白雲山、金洞山、金鶏山、裏妙義の谷急山、丁須ノ頭などの総称で、妙義山全体の最高峰は谷急山の1162mである。


 登山道は道の駅近くの妙義神社から始まる。鳥居をくぐり、総門をくぐり長い石段を登って随神門をくぐって鍵の手に折れてやっと本殿。小ぶりながら拝殿も本殿も彫刻でびっしり装飾されて いて豪華絢爛。登山の安全を祈願し左手の門から出て、中之嶽神社に続く中間道に入る。

 

妙義神社拝殿

 

 中間道は妙義山の白雲山、金洞山の中腹を巻くように延びる修験の道で、関東ふれあいの道にも指定されており、よく整備されている。
 最初は上り基調だが、やがて巻き道状態になり、小さなアップダウンで山腹を巻いていく。大の字から降りてくる道を合わせるとすぐに第一見晴し。岩の上に上がると眼下にビジターセンターのある妙義山パノラマパークが見える。富岡や安中の方面は朝靄と逆光で見にくい。

 

第一見晴しからの展望

 

 第一見晴しからも巻き道が続き、ほとんど水が流れていない大黒の滝を過ぎると第二見晴しの分岐。第二見晴しは帰りに寄ることにして先に進む。


 やや高巻きぎみに明るい樹林地を
進むと急に鉄製の階段が現れた。これを登るのかと思ったらすぐに下りの階段。この下りが長く、どんどん下ってしまい、かなり下ったところで巻き道に戻った。どうやら中間道が崩れたところを高巻きする階段だったようだ。
(下山後、ビジターセンターのリーフレットで知ったのだが、中間道は4年間ほど通行止めになっていて、昨年6月にこの階段が完成して通れるようになったらしい。)

 

大黒の滝

 

鉄製階段

 鉄製階段から少し行くとタルワキ沢入口に到着。ここで小休止してヘルメットを着ける。まあ、そんなに危険なところはないはずだが、リスクを認識したちゃんとしたハイカーですよという証明でもある。

 表妙義の稜線は天狗岳と相馬岳の間でぐにゃりと奥に湾曲していて、そこに突き上げるのがタルワキ沢。中間道と稜線の間の距離が長くなるので、必然的に傾斜が緩くなり、ここが登山ルートに選ばれたのだろう。
 岩がゴロゴロしてバランスが取りにくい歩きづらい道ではあるが、ジグザグにルートが造られていてそんなに傾斜は感じない。途中に鎖場が2カ所あるが大したことはなく、昨日の石門巡りの方がはるかに怖かった。

 

最初の鎖場

 

足掛かりがなくて登りにくい岩

 

 沢コースではあるが、ルートはどちらかというと沢の中の小さな尾根を登っていく感じ。それでも両側の岩壁が狭まっているところは、ゴルジュの底にいる感じがする。
 周りの岩は岩の中に小石が埋まったような感じで、手を突いたりすると痛い。持ってきたクライミンググローブが効果を発揮する。この岩も後で訪れたビジターセンターの展示で、火山噴出物が固まった凝灰角礫岩という岩石であることを知った。妙義山の山体のほとんどは凝灰角礫岩や溶岩などの火山性の岩石で出来ているとのこと。

 

凝灰角礫岩

 

コルが近い

 タルワキ沢を1時間ほどで登り切ると狭いタルワキのコル。ここから稜線を南に進む。
 最初は傾斜がきついがすぐに穏やかな尾根道になる。北側の斜面は比較的緩やかで樹木も生えているが、左手の中間道側はすっぱり切れ落ちていて、稜線を歩いていても少し股間が縮み上がる。隣の天狗岳の岩壁は下の方が見えないくらいで、のぞき込む勇気も出ない。

 

タルワキ沢のコル

 

天狗岳の岩壁

 15分ほどで相馬岳の山頂に到着。いままで見えなかった浅間山が正面にどんと現れてちょっとビックリ。東側は樹林に遮られているが、西側は広く展望が開けている。
 左手には一旦下った稜線の先にいかにも妙義山という感じで金洞山が続いている。ここから金洞山への稜線が妙義山の一番危険なコースになる。
 金洞山のギザギザの上には平らな荒船山の山頂台地が乗っかり、さらにその上には八ヶ岳の赤岳から天狗岳の白い峰が重なる。有名な山が3つ重なるなかなか見られない景色だ。
 浅間山の右手にも白い山。スマホの山座同定アプリで調べてみると岩菅山だった。こんなところから志賀高原の岩菅山がみえるのだなあ。

 

相馬岳山頂

 

浅間山

金洞山

 

金洞山の背後に荒船山と八ヶ岳

 

岩菅山

 今日は連休の狭間ではあるが人気の山なので、ここまでぼちぼちハイカーとすれ違ったが、山頂では入れ違いで自分ひとり。風が冷たいのでフリースとウインドブレーカーを羽織り、おやつを食べながら景色を楽しむ。
 すると、単独行の女性がやってきてヘルメットを被って身支度をしている。おっ、これは難コースに向かう縦走者らしい。やっぱりいるんだねえ、高いところに強い人が。その方は無言で自分の前を通り、鞍部に降りていった。

 

リョウブの若葉

 

 さて、下山は同じコースを戻る。タルワキ沢を下っていると次々にハイカーが登ってくる。
 沢を降りきって中間道に戻り、行きにパスした第二見晴しに立ち寄る。第二見晴しは中間道から少し外れて、ちょっとした岩場を鎖で登る。
 富岡方面の市街地は見えないが金鶏山から金洞山のパノラマが広がる。眼下の谷は 落葉樹の明るい緑と針葉樹の暗い緑のコントラストが鮮やか。金鶏山の左には西上州の赤久縄山や御荷鉾山も見えている。
 

第二見晴しから金鶏山(中)、金洞山(右)

 

 第二見晴しからは中間道をのんびり下る。道の周りはヤマツツジの花盛りでイヌブナやミズナラの新緑の中に色を添えている。やはりこの季節の山はいいなあ、とつくづく思いながら歩く。

 

新緑の中間道

 

ミズナラ

キランソウ

 

ヤマツツジ

 

妙義山・相馬岳ルートマップ


[山行日] 2025/4/30(水)
[天気] 快晴 
[アプローチ] 29日 上信越道・松井田妙義IC (県道51号、213号) 道の駅・みょうぎ  
[約3km]

 ・89台駐車可。トイレ有り。物産販売所あり。
 

[コースタイム]  
  行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間  
0:30 5:55 道の駅「みょうぎ」P 発    
6:15 妙義神社    
6:25 第一見晴し 0:10  
0:30 6:35  
7:05 タルワキ沢入口 0:05  
1:15 7:10  
8:10 タルワキのコル    
8:25 相馬岳 0:40 13℃
1:10 9:05  
9:20 タルワキのコル    
10:00 タルワキ沢入口    
10:15 第二見晴し 0:15 17℃
0:40 10:30  
11:10 妙義神社 0:20 22℃
0:10 11:30  
11:40 道の駅「みょうぎ」P 着   全行動時間
4:15     1:30 5:45
登り 2:15      
下り 2:00      

 

 

[温泉]
 みょうぎ温泉「もみじの湯」
  富岡市妙義町妙義1-1
  ・10:00〜20:00、月曜定休、入浴料620円(3時間)。
  ・石けん、シャンプーあり。
  ・露天風呂から妙義山の白雲山を見上げることができて気分がいい。