宮島・弥山( みやじま・みせん)                              [中国] 535m
神と仏の山 No.8

 青春18きっぷを使って各駅停車を乗り継ぎ、安芸の宮島の弥山に登ろうと計画したのだが、女房から待ったがかかった。宮島なら行きたいと言う。厳島神社が見たいのか、今が旬の牡蠣が食いたいのかは分からないが、そういうことなら貧乏旅行はやめて豪華にホテル泊まりにし、牡蠣も穴子めしも、もみじまんじゅうも食う という計画に変更した。

 宮島の厳島神社は平清盛が海に浮かぶ現在の社殿を造ったことで知られるが、神社自体はもっと古い歴史を持っている。神社の背後の弥山の山頂は巨石が重なり合っており、古代には磐座 (いわくら)祭祀が行われていたと思われる。つまり、弥山は厳島神社のルーツを抱く神聖な山なのである。神仏習合の平安時代には空海もここを修行の場としている。

 JR宮島口駅の近くの老舗で、まずは名物の「あなごめし」を食べ、フェリーに乗って宮島に渡る。わずか10分程の船旅で着いてしまう。
 宮島は高校の修学旅行以来で40数年ぶりだが、当時のことはほとんど何も覚えていない。まあ、修学旅行なんてものは、そんなものである。修学旅行の記憶は宮島に来る前の山陰で食中毒騒ぎがあったことと、ミュンヘンオリンピックの最中で、男子バレーボールの東ドイツ戦を夜中に見ていたことぐらいだ。

大鳥居の背後にそびえる弥山 (左の丸いピーク)

 

  ホテルに荷物を預け、厳島神社の裏手あたりから連絡バスに乗り、ロープウェイ乗り場へ。8人乗りのゴンドラと30人乗りのロープウェイを乗り継いで山上の獅子岩駅まで上がる。
 平日のためか、ロープウェイは日本人と外国人が半々くらい。世界遺産の厳島神社のせいなのか、外国人旅行者が目につく。

山麓と中間駅を結ぶゴンドラ

 

 獅子岩駅そばの展望台からは既に素晴らしい展望が広がる。眼下には青い瀬戸内海が広がり、漁船や貨物船が白い航跡を引いている。多くの島が点在し、特にお灸のような三角の島(小黒神島)が海面から突き出していて面白い。広島の市街地のビル群が意外な近さで見える。

 

獅子岩展望台からの小黒神島 岩国方面

 

 弥山山頂は隣りのピークで、もうすぐそばに見えている。コースタイムは30分程。道は遊歩道のようにしっかり整備されていて非常に歩きやすいが、一旦下って登り返さなければならない。
 最低鞍部で紅葉谷から登ってくる登山道が合流し、樹木の間を弥山の左手から巻きながら登っていく。時々樹林が切れて、宮島の裏手の海岸や広い瀬戸内海が見える。

獅子岩駅から見上げる弥山山頂

 

 
 つづら折りの石段を登り切ったところが広場になっていて、弥山本堂と霊火堂(れいかどう)が向かい合って建っている。弥山本堂は空海が修行したところ、霊火堂はその中で、空海が修行していた時に使っていた火が燃え続けているお堂。霊火堂の火は広島の平和記念公園の「平和の灯火」の元火のひとつとのこと。
 霊火堂の隣の小さな建物ではお守りなどをずらりと並べて売っている。その数十種類。ありとあらゆる願いを叶えてくれそうだ。弥山本堂の中では10種類近くのおみくじも売っている。
 

空海が修行していた時の霊火「消えずの火」が
燃え続けている霊火堂
こんなところに鹿が

 

 霊火堂の右手の階段を上って山頂に向かう。少々道は狭くなるが、それでも路面は固められ、階段などもあってよく整備されている。

 三鬼堂の前を通り、文殊堂、観音堂を過ぎると大きな岩の間を通るようになり、行く手を巨石が塞ぐ。くぐり岩と名付けられたとおり、その下の階段を抜ける。くぐって右手に回り込み、突然開けた眺望に驚きながら大岩の間をすり抜けると、弥山の山頂に到着。

 山頂は巨石のひしめき合う広場になっていて、正面には大きな展望台があり、そちらに目を奪われてあやうく三角点を行き過ぎるところだった。三角点にタッチして、まずは展望台に上がる。この展望台は昨年新しくされたものらしい。

くぐり岩

 

山頂の展望休憩所 弥山山頂

 

ロープウェイ獅子岩駅の向うに大奈佐美島
 
西隣りのピーク、駒ヶ林山頂の大敷岩

 


 展望台からは360度のパノラマが広がる。展望台の検査に来た風の作業服の人に「四国はどっち」と聞くと、予想よりは東寄りの方角を指さされた。江田島の向うにさらに島々が重なり、なおも遠くに陸地が霞んでいる。あれが四国のようだ。眺望が利く時は石鎚山も見えるそうだが、今日はちょっと難しい。北側を見下ろすと厳島神社の大鳥居も見える。
  初代内閣総理大臣の伊藤博文は弥山信仰が篤く、度々弥山を訪れて「日本三景の一の真価は頂上の眺めにあり」と称えたそうである。海から直接そそり立つ500m超の山頂だけに、確かに眺めはいい。
 

 山頂からは違う道で弥山本堂前に戻る。岩の窪みに溜まった水の水位が潮の満ち引き合わせて上下するという干満岩、弘法大師が建てたという大日堂を経由する道だが、こちらの方が人通りが少ない。

 弥山本堂のわずか手前でロープウェイ駅に戻る女房と分れ、歩いて下山する。少しは山らしさを味わいたい。
 弥山には弥山の東側の谷から登る紅葉谷コースの他、弥山の西側から登る大聖院(だいしょういん)コース、大元(おおもと)コースがあり、今回は丁目石や石仏が多く残る、古くからある大聖院コースを下ることにする。

丁目石

 

仁王門
 
新しい石畳の道

 少し歩くと割と新しい仁王門が現れる。仁王門の先で次のピークである駒ヶ林を経由する大元コースと分れ、右手の石段を下る。

 大聖院コースは麓の大聖院から一気に突き上げるコースで傾斜がきつく石段が多い。下りに使うには少々しんどいが、標高差500mなので、なんとかなるだろう。
 森の中をどんどん下ると、通行止めの標識があり、それに従って沢を渡ると対岸に付けられた新しい石畳の道になる。平成17年に土石流が発生して登山道が流失し、付け替えられたらしい。石畳の道から元の登山道に戻るところには、石張りの仰々しい砂防堰堤が造られていた。

 さらに松林の中をジグザグに下ると、ポンと東屋のある広場に出る。里見茶屋跡というところで、ここからは大鳥居だけでなく、厳島神社の社殿や五重塔、千畳閣なども見下ろすことができる。このコース随一の眺望ポイントだ。

石段が多い

 

里見茶屋跡から厳島神社を見下ろす

 

大聖院の屋根

 展望を楽しみ、汗も引いたところで再び石段を下る。沢筋に出たところに白糸の滝という岩盤を流れる小さな滝があるが、たいした滝ではない。その下にはこれも土石流から再建された滝宮神社が建っている。
 ここから登山コースの入口になる大聖院の山門まではわずかな距離だった。

 

 先に下って喫茶店でケーキを食べていた女房と落ち合い、大鳥居を見に行く。夕暮れ時でたくさんの外国人旅行者や学生服の修学旅行生が集まっている。

 ちょうど潮が引いていて、鳥居の根元まで歩いて行ける。海岸から見ている分にはそうでもないが、近くで見るとやはりでかい。砂地の上に基礎もなく置いてあるだけなのに、よく倒れたり流されたりしないものだと、改めて感心する。

 ホテルへの道すがら、もみじまんじゅうを食べながら表参道商店街のお土産物屋をぶらついて帰る。

夕暮れの大鳥居

 

 翌日は厳島神社にお参りした後、牡蠣の専門店でワインを飲みながら生ガキ、焼ガキに舌鼓を打ち、広島駅でビールを飲みながらお好み焼きを食べる。広島の味、完全制覇!

 

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[山行日] 2014/12/9(火)
[天気] 曇りのち晴れ
[アプローチ] JR岡崎 8:12 →(特別快速)→ 8:43 名古屋 8:52 →(のぞみ9号)→ 11:06 広島 11:15 →(普通)→ 11:45 宮島口 (昼食)12:40 →(宮島フェリー)→ 12:50 宮島
      
宮島ロープウェイHP 
往復1,800円、片道1,000円
[コースタイム]  
  行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間  
0:25 14:10 宮島ロープウェイ獅子岩駅 出発    
14:35 弥山本堂・霊火堂 0:10  
0:10 14:45  
14:55 弥山山頂 0:15  
0:50 15:10  
15:20 弥山本堂下 下山路分岐    
15:30 仁王門    
16:00 里見茶屋跡 0:05  
0:30 16:05  
16:25 大聖院山門前    
16:35 厳島神社裏 到着   全行動時間
1:55     0:30 2:25
 

 

[名物] あなごめし
・宮島口駅前「うえの」
・明治34年創業の老舗
・平日でも昼食時は満員
・薄味で美味しい
・あなごめし、1,728円(味噌汁、漬物付)  
牡蠣
・宮島表参道商店街「牡蠣屋」
・生ガキ、焼ガキ、グラタン、カキフライ、かきめしなど、牡蠣メニューのみ
・ワインの品揃えが豊富。
・生ガキ、420円(宮島産)。うまい!