満観峰(まんかんほう)                                  [富士山周辺] 470m

  

 昨年、伯耆大山に一緒に登った高校時代の友人に誘われて、焼津の満観峰に行く。420mの低山ながら富士山の展望台として 最近人気が出てきた山らしい。
 かつては薩多峠の近くの浜石岳が富士を見る山として知られていたが、最近は満観峰の方がよく名前を聞くようになってきた。

 焼津市が運行するバスもあるのだが、3人なので焼津駅からはタクシーを利用。
 タクシーは観光駐車場を通り過ぎ、狭い「花沢の里」の谷川沿いの道どんどん登っていく。歩いているハイカーのひんしゅくを買いながら、結局法華寺の門前まで入ってしまった。イヤ〜申し訳ない。

法華寺近くの登山口

 

 法華寺の先に登山口があり、そこから畑の間の細い道を登っていく。コブシの花や菜の花が咲き、のどかな感じだ。今日は朝は冷え込んだもののどんどん気温が上がってきていて、シャツ一枚で暑いくらいだ。
 一旦林道に出て、再び山道に入る。周りはスギの植林地が多く、雄花がいっぱいついていて樹全体が茶色くなっている。きょうは花粉症が辛そうだ。

 

畑の間を登る

 

  もう一度林道を横切り、何に使われていたのか分からないコンクリートの水槽が埋め込まれた廃屋の横を通り過ぎると鞍掛峠に着く。ここにも林道が通っていて、ベンチが置いてある。標識がしっかり設置してあって、ハイカーの多さが分かる。
 
鞍掛峠からは左下がりの巻き道になる。右手の上は満観峰から日本坂峠に続き、花沢山に至る稜線だ。

 

 このあたりも植林地だらけで、林床にはアオキが多く、赤い実が目立つ。

 話をしながら歩いていると単調な巻き道も気にならず、いつの間にか尾根の上に出た。「丸子の出合い」の小さな標識があり、そこからは右手にひと登りで山頂だった。 

丸子の出合いから山頂方面

 

満観峰山頂

 

静岡市街地の上に富士山

 山頂はかなり広い広場になっていて、ベンチや東屋がたくさんあり、既にあちこちでハイカーが休んでいる。
 肝心の富士山は雲の間からわずかに頭を出してくれているが、山頂部はまだ真っ白なので、白い雲に紛れてしまってよく見ないと分からない。
 富士の手前には静岡の市街地が広がっている。高いビルも見えて大きな街であることを再認識させられる。市街地の右手には遠州灘が広がり、海岸の松林が遠目でもよく見える。あれがトランス・ジャパン・アルプス・レース(TJAR)のゴール地点かと思うと、自分とは何も関わりは無いのに少々感慨深い。

 保温ポットの栓の調子が悪く、電車の中で湯が漏れてしまったので、残念ながら今日のお昼はカップ麺ではなく、パンとおにぎり。ドリップコーヒーは友人のをご相伴にあずかる。
 富士山にかかる雲はなかなか取れず、諦めて日本坂峠へのルートで下山にかかったが、少し行ったとところで、富士の左斜面が中腹まで見えた。

 

 

満観峰から花沢山(左奥)を望む

 

やっと見えてきた富士山

 満観峰の山頂から日本坂峠への稜線上はかつては茶畑だったようで、国土地理院の地形図には茶畑の記号が残っているが、実際は畑としては放棄されていて、お茶の木が背丈以上に伸びている。荷揚げ用のケーブルの朽ちた支柱や 、錆び付いた作業用モノレールなどが道沿いに残されている。こんな稜線上の畑はやはり維持するのが大変なのだろうと思う。
 茶畑の間にはスギが植えられていて煙のように花粉を飛ばしている。あ〜、目がかゆい。

 

放棄茶畑の中を行く

 

東名高速道路 日本坂峠の石仏

 

 433.8mの三角点ピークを越え、鞍部を過ぎると「家康ベンチ」と標識のあるベンチが現れた。相変わらず雲は多いが、ここからも富士山が見える。眼下には東名高速道路が静岡の市街地の中を、うねうねと日本平に向かって延びている。

 日本坂峠は狭い峠で、花沢山との鞍部にもなっている。峠の手前に石仏がある。
「日本坂」の名前は東名や新幹線のトンネルの名前としてよく聞くが、「日本」の名前の由来は「日本武尊」がここを越えたという言い伝えによるものらしい。昔、聞いたような気がする話だが、すっかり忘れていた。

 

 日本坂峠からは右に折れて、急な斜面をジグザグに下っていく。途中、焼津の街や港が見下ろせる展望台がある。
 焼津辺展望台には「やきつべ」とふりがながふってある。「やきつべ」は「やいづ」の古い言い方らしいが、焼津の地名も日本武尊が草を焼き払って賊を退治したという 古事記の話に由来する。

 

焼津辺(やきつべ)展望台

 

桜と竹林

花沢の里

 

 また林道を横切り、山道を降りきると法華寺の裏の墓地に出る。門前まで行けば出発地点に戻ったことになる。あとは花沢の里の中を観光駐車場まで下るだけ。
 「花沢の里」は重要伝統的建造物群保存地区に指定されていて、小さな谷沿いに趣のある民家が建ち並んでいる。立派な門長屋のある家が多く、中庭が広そうだ。 日本坂越えの旧街道沿いの街で、明治期後半以降にはみかん栽培などで財をなした農家が多かったらしい。狭いながら落ち着いた感じのいい街並みで、こんなところがあるとは全く知らなかった。花沢の里の名に恥じず、椿や梅が花盛りだった。

 

背後に満観峰

ビジターセンターの厄除の御札

 

 帰りもタクシーを呼び観光駐車場から焼津駅へ。
 タクシーの運転手さんに教えてもらった「磯料理黒潮」という飲み屋で下山後の打上げ。いつもの単独行ではこんな気にはなれないが、これがグループ登山の楽しみ。和気あいあいと話が弾み、山行の評価も上がる。

 

海鮮料理で一杯

 

  満観峰 Route Map


[山行日] 2023/3/7(火)   
[天気] 快晴       2023年3月の天気図(気象庁) 
[アプローチ] JR岡崎 7:34 →(新快速)→ 7:56 豊橋 8:09 →(こだま702号)→ 8:52 静岡 8:56→(各駅停車)→ 9:05 焼津→(タクシー)→  9:35法華寺

 

[コースタイム]  
  行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間  
0:35 9:40 法華寺前発    
10:15 鞍掛峠 0:05  
0:40 10:20  
10:50 丸子の出合い    
11:00 満観峰山頂(470m) 0:45  
1:15 11:45  
12:40 日本坂峠    
13:00 林道 0:05  
0:20 13:05  
13:15 法華寺前発    
13:25 花沢の里ビジターセンター 0:10  
0:05 13:35  
13:40 花沢の里臨時駐車場   全行動時間
2:55     1:05 4:00
登り 1:15        
下り 1:40