イブネ(1160m)、クラシ(1145m) [鈴鹿] |
鈴鹿の御在所岳の西に、愛知川源流の谷を挟んで大きな山塊がある。鈴鹿セブンマウンテンのひとつの雨乞岳から北へ、標高1,000m前後の山々が連なり銚子ヶ口まで続いているが、その間の台地状の山がイブネ、クラシである。 |
道の駅「奥永源寺渓流の里」は山中の三桁国道沿いではあるものの、ゴールデンウィークということもあって、20台くらいの車中泊の車で賑わっていた。
なんとかカップうどんを食べて甲津畑の登山口まで移動。既に7〜8台の車が止まっていた。イブネはやはり人気があるようだ。
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右が登山道
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杉林
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杉谷善住坊かくれ岩は先を急ぐのでパス。スギ、ヒノキの植林地を進むと右手に、昭和初期までこのあたりで採掘をしていた鉱山関係者に祀られていた 、と言われる桜地蔵尊の祠がある。
道の駅でゆっくりトイレを使えなかったのでもよおしてきたが、左右の斜面は急で身を隠す場所がない。桜地蔵尊の先の植林地でなんとか登れる場所を見つけ、キジ打ちをして落ち着く。術後1年を過ぎてから整腸剤を飲むようになって少し排便回数が減ってきたが、まだ気にせず山歩きをする状態にはなっていない。 |
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桜地蔵尊
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橋を渡って渋川の右岸側に移ると林道から山道らしくなってくる。この道は千草街道といい、昔は近江と伊勢を結ぶ間道だったとのこと。近江商人が行き来をし、谷沿いに点在する鉱山を結ぶ道でもあったようだ。
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蓮如上人旧跡の碑と井戸
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蓮如上人と頓入一夜泊りの竃
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大峠への分岐を過ぎ、なおも進むと谷が少し開け、大きなモミの木の下に蓮如上人旧跡の碑が建っている。碑の近くには 、近江で布教活動を行っていた蓮如上人が、比叡山の衆徒に追われ逃げ込んで難を逃れたという炭焼き窯がある。 窯の前のベンチで休んでいると、下から次々と登山者が上がってくる。今日は鈴鹿の奥地でも賑わっているようだ。杉峠までに10組以上のハイカーに追い抜かれた。 蓮如上人旧跡から少し行くと太く立派なシデの大木があり、その先で吊り橋を渡る。右岸に渡り返した道はだんだん傾斜を増していく。
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シデの大木 |
吊り橋
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道の脇に「シデの並木」の説明板があり、この付近にミズナラ、カエデ、クマシデなどの巨木が68本あり、市の天然記念物になっているとのこと。並木とあるが街路樹的に植えられたものではなく、巨木の森という意味らしい。
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シデの並木あたり
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タチツボスミレ
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ヒナワチガイソウ
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シデの並木あたりから次第に傾斜がきつくなり、周りの新緑がますます眩しくなってくる。緑に囲まれて実に気持ちがいい。
沢からはミソサザイのさえずりが響いてくる。 ロープが張られた崩壊地を過ぎると杉峠にたどり着く。かつては杉の大木があったそうだが、今は開けた峠になってしまっている。峠の向こう側の愛知川源流も新緑に埋め尽くされている。
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杉峠
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峠で一休み。頭上をジュウイチが鳴きながら飛んでいく。パンをひとかじりして杉峠の頭に向かう。登りはじめはかなり急で、背後に雨乞岳がせり上がってくる。 |
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杉峠付近からイブネ(左)と南西尾根
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愛知川源流
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国見岳(左)と御在所岳(右)
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杉峠の頭の山頂手前からはアセビの花越しに昔登った懐かしい綿向山が顔を出す。 |
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杉峠の頭山頂付近のブナ林
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雨乞岳(イブネ山頂から) |
綿向山(杉峠の頭手前から)
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霧が出たら迷いそうな広い杉峠の頭でダイジョウへの尾根道を左に分け、佐目峠へは右手に少し下っていく。 |
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佐目峠からイブネを見上げる
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やっとのことでイブネ山頂に到着すると、さっそく苔に覆われた広場がお出迎え。お〜、これが噂の苔の絨毯か。 |
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イブネ山頂の苔の絨毯
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苔の原と背丈よりも少し高いアセビの間を進むと「イブネ」の簡単な標識があるが、全く山頂らしくない。周りにはあちこちにハイカーの姿があり、鈴鹿の最奥にしてはかなり賑わっている。昼前というのにアセビの陰に幾つかテントも立っている。
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イブネ北端からクラシ方面 |
クラシ山頂から御池岳
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イブネ山頂からほとんど平らな道を進み、北東尾根が登ってくるイブネ北端へ。そこから苔の中を少し下って明るい林に入りクラシに登り返す。こちらも展望がいい。スマホのアプリで調べると、北の方に見えるのは霊仙岳、御池岳、藤原岳、竜ヶ岳などの鈴鹿北部の山々。
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クラシ山頂から鎌ヶ岳 |
ハルリンドウ?
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家に帰って調べてみると、鈴鹿に登り始めた1980年頃の山渓のアルパインガイドはもちろん、2001年発行の昭文社の「山と高原地図」でも深いヤブと記述されている。いつから笹原から苔に変わったのかは分からないが、御池岳山頂の笹ヤブが鹿に食べられてなくなったのと同じようなことが起こったのかもしれない。
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雨乞岳北面の新緑 |
フモトスミレ
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コケリンドウ? |
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サワシバの若葉 |
着生シダ
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下りは同じ道を戻る。
新緑の道を気持ちよく帰ってきたが、登山口で車止めの鎖をくぐらず、横を抜けて林道に下りようとして、最後の一歩でコンクリート側溝の縁に躓いて転んでしまった。 |
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新緑のトンネル
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以前から右肩が痛く、転んだ際に右手で体を支えようとしたが肩に激痛が走り、そのまま肩から舗装道路に突っ込んだ。肩の痛みがひどく、しばらく立ち上がれなかった。やっとのことで体を起こし、ザックをはずして腕を上げてみたら動かすことはできる。骨折はないようだ。 |
[山行日] | 2022/5/4( 水) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[天気] | 快晴 2022年5月の天気図(気象庁) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[アプローチ] |
3日
東海環状自動車道大安IC → (R421号)→
道の駅「奥永源寺渓流の里」 [約19km]
4日
道の駅「奥永源寺渓流の里」 → (R421号、県道188号)→
甲津畑登山口 [約18km] |
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[コースタイム] |
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[地図] | 御在所山、日野東部(1/25000) |