御在所岳( ございしょだけ)                                       [鈴鹿] 1212m

 

  今年は暖冬で、名古屋ではまだ雪が降っていない。御在所岳山頂のスキー場も、雪がなくて一部しか滑れないようだ。御在所の岩尾根を登ってアイゼンワークに慣れたいのだが、 「雪がなくては話にならない。」と思っていたら、先週の雨が鈴鹿では雪になったらしい。まだ買ったアイゼンを使ったことがないというNom君を誘って、御在所の中道を登ることにした。

 

 中道登山口の駐車場には平日にもかかわらず、10台ほどの車が止まっている。雪はないがスパッツを着けて出発する。

 閉鎖されている鈴鹿スカイラインを左手に少し進み、登山口からしばらくは樹林の中の急登を登る。雨水が走るのか、登山道は溝状になっている。今日も暖かく、おまけに風も弱いので春先の山行のようだ。

 ロープウェイの下をくぐり、「負ばれ岩」の基部で一休み。事前情報でこの先から登山道に雪があるようなので、アイゼンを着ける。

溝状の登山道

 

負ばれ岩

地蔵岩

 

 負ばれ岩から少しの間は路面が凍っていてアイゼンが効いたが、岩尾根の上は陽当たりがいいのか既に雪が溶けてしまっていて、半分くらいは岩やザレの上を歩く羽目になる。

 心配していたキレットの鎖場などはほとんど雪がなく、むしろアイゼンを着けたために歩きにくく、難易度が上がってしまった。ピッケルなどは邪魔物でしかない。アイゼン を履くのはキレットを越えてからでよかったみたいだ。 

御在所岳の山頂を見上げる

 

キレットの底から振り返る

キレットの底から釈迦ヶ岳を望む

 

 キレットを過ぎるとやっと登山道が雪や氷で覆われるようになってきて、歩きやすくなってきた。Nom君もアイゼンの効果を感じているようだ。樹林の中の急登が続き、鎖場やロープも 所々現れる。山頂に近づくにつれて傾斜がきつくなり、久しぶりの山行で、なかなか脚が上がらない。なんとかかんとか富士見岩に登りつく。

 

富士見岩から伊勢平野を見下ろす

鎌ヶ岳とロープウェイ

 

  富士見岩からは眼下に伊勢平野が広がり、新しくできた新名神が緩やかなカーブを描いて延びている。その向こうは伊勢湾で、左手には名古屋の高層ビル群が霞んで見える。恵那山は見えるが、御岳山はぼんやりしている。
 右手には谷を挟んで鎌ヶ岳がカッコいい。その手前を真っ赤なゴンドラが横切っていく。

 

山上公園とロープウェイ駅

わずかに霧氷

 

 富士見岩は山頂の一角になるのだが、ここから三角点まではなかなか遠い。四日市側から見る御在所岳はピラミダルだが、山頂は広く奥行きがある。
 前回登ったのはもう38年も前だし、 最後にロープウェイを使って来たのも26年前なので山上の様子はほとんど記憶がなくて、初めて訪れた場所のような感じがする。雪が溶けたアスファルトの車道を、「アイゼンの爪が丸くなっちゃうなあ」と思いながら歩く。
 スキー場も所々地面が見えているが、それでもリフトは動いていて、スキーをしている人もちらほら見える。道路脇のソリゲレンデで遊んでいるのは外国人の親子のようだ。

 ゲレンデの南側につけられた車道を進み、回り込んで三角点のあるピークに登る。御在所岳は霧氷の名所でもあるのだが、この暖かさでは望みようもない。まあ、時間がもう正午過ぎなので溶けてしまったのかもしれないが。

 

三角点(1209.4m)

向うが最高点(1212m)

 

 御在所岳の三角点はチェーン柵で囲まれていて近付けず、 標石を踏むことができない。観光地とはいえここまで囲わなくてもいいのにと思う。 三角点の周りも雪はまだらで、ぽかぽかとした陽射しを浴びているとホントに春山のような気がしてくる。ベンチがあり、風も弱いのでここでお昼にする。
 三角点のすぐ近くにリフトの降り場があり、スキー合宿らしい地元の中学生が先生に引率されて何組もやってくる。先生はそれぞれ御在所岳の標高や鈴鹿セブンマウンテンなどの説明をしているが、御池岳を指して藤原岳だと言う先生もいて、「おいおい、違うだろ」と突っ込みを入れたくなる。

 

雨乞岳(左)とイブネ(右)

 

御池岳(左奥)、藤原岳の天狗岩(右奥)、間に遠く能郷白山

 

 昼を食べ終わって、最高点にも行ってみる。こちらの方が西側の展望がいい。目の前に大きく雨乞岳が広がり、その右手のイブネの台地も思いのほか存在感がある。イブネの山頂は白く平らで魅力的だが、冬にアプローチするのは愛知川を越えなければならないので少々しんどい。永年の憧れの地であり、春の目標とする。
 北に目を転ずれば、鈴鹿の山並みが続き最後に巨大な御池岳が横たわる。その右手の藤原岳との間には遠く能郷白山が白く輝いている。藤原のさらに右手遠くに霞んでいるのは白山だろう。北アルプスの山並みは何となくそうかなあ、くらいにしか見えない。
 御在所の山頂であまり天気が良かった記憶がないが、今日は琵琶湖まで見えて気分は良い。

 

 下山は傾斜が緩やかな裏道を選んだ。しかし、雪のないゲレンデを下って行っても国見峠を示す標識が見当たらない。おかしいなあ、と思いながらもリフト乗り場まで下ってしまった。
 リフトの係員に下山路を訪ねると、旧道はゲレンデの途中から尾根を下っているとのこと。旧道ということはあまり使われていないと言うことらしい。ロープウェイ駅の方から新道が峠へ下っているようだが、また登るのは嫌なので、少し戻って、それらしいトレースを辿って下る。
 洗堀された溝に沿って踏み跡が下っているが、地図で確かめるとこの溝がほぼ旧道らしい。少し下ると鞍部がはっきり見えてきて、心配するほどのこともなく峠に降り着いた。

国見峠から裏道へ

 

  国見峠からははっきりした登山道を裏谷に沿って下る。谷間だから日陰で雪がたくさん残っているだろうと思っていたのだが、登りの尾根道とさほど変わらない。
 藤内小屋まではアイゼンを履いたまま行けるかと思っていたのだが、岩の上を歩くことが多くなってきて、小屋まで6〜7割のあたりのガレ場のところでアイゼンを外した。アイゼンは外すタイミングが難しいのだが、この後あまり滑ることなく下れたので正解だったと思う。

藤内壁

 

 藤内小屋まで下ってきたら、尾根から見えた赤いトタン屋根の小屋は荒廃していた。藤内小屋は水害で倒壊したが、再建されたと聞いていたので、対岸の木立の陰の建物が新しい小屋かと思った。崩れかけた小屋裏手で休憩した後、建物を回り込んだらなんと小屋の入口があった。ちゃんと営業していたのだ。小屋前にベンチもあって、こちらで休憩すればよかったと後悔することになった。

 小屋からはほとんど雪もなくなり、快調に下る。途中新しい堰堤が出来ていて、そこからは工事用の車道を歩いて鈴鹿スカイラインまで下る。最後はスカイラインのアスファルト道路を駐車場まで戻るのだが、この登りがしんどかった。

スリット式の堰堤をくぐる

 


 御在所岳ルートマップ


[山行日]   2020/2/4(火)    2020年2月の天気図(気象庁)
[天気] 晴れ     
[アプローチ] 26日  新名神 菰野I.C. →(県道577)→ 湯の山温泉 →(県道577)→ 中道登山道駐車場    [約6km]

・無料駐車場。50台くらい駐車可。トイレなし。
・鈴鹿スカイラインの冬季閉鎖期間中は、スカイライン側からは利用できない。
 
[コースタイム]
  行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間  
0:40 9:20 中道登山口駐車場(550m) 出発    
10:00 おばれ石 0:05  
2:15 10:05  
11:05 7合目    
12:20 富士見岩    
12:20 御在所岳山頂三角点(1209.4m) 0:35  
1:35 12:55  
13:20 国見峠    
14:30 藤内小屋(約660m) 0:05 4℃
0:50 14:35  
15:25 中道登山口駐車場 到着   全行動時間
5:20     0:45 6:05
登り 2:55   (コースタイムの17%増し)    
下り 2:25   (コースタイムの7%増し)    
 
[地図] 御在所山(1/25000)
[装備] ピッケル、アイゼン