乗鞍高原(のりくらこうげん)         [北アルプス] 1800〜1300m

 

 クロカンに適したフィールドは北信越から東北・北海道に多く、地形が険しいために中部山岳付近にはあまりいい場所がない。そんな中で、北八ヶ岳周辺と乗鞍高原は早くからコース整備が行われ、道具のレンタルもできて数少ないクロカンが楽しめるフィールドになっている。
 特に乗鞍高原は一ノ瀬園地という平らな場所があるので、初心者が最初にクロカンを経験するのにはもってこいの場所だ。しかし、乗鞍高原でクロカンができるのは一ノ瀬だけではない。リフトを使って三本滝まで上がれば標高差500m、ほとんど下りっぱなしという、ちょっと他にはないクロカンコースがある。

 

  乗鞍高原温泉スキー場のリフトを2本乗り継いで三本滝ゲレンデまで上がる。車道を少し下ってからツアーコースに入るような記憶があったので、緩い車道を下っていったがちっとも樹林が切れない。おかしいなと地図を出してみると最初から間違えていた。
 
  ゲレンデまで戻り、国設第5ペアリフトに沿ってツアーコースの入り口を探す。ゲレンデを少し登ると左側の樹林が薄くなり、シラビソの幹に赤いペンキマークがあった。森の中に入ると先行者のトレースがあったのでそれをたどる。

  夏道の「子リスの径」に沿っているようだが道は雪の下で分からない。かなりしっかりした森で、ところどころペンキマークがある。一度、小さな雪原に出てそれを横切ってまた森に入る。

林間を滑る
 

15年ほど前にこのコースを通った時はもっと展望が開けていたと思ったが、コースが違うのか、木が大きくなったのか、見通しはほとんど利かない。トレースがないとルートファインディングに苦労しそうだ。なるべく木立の少ない空間を選んで進む。傾斜は全体に緩やかだが、きついところはキックターンと斜滑降でぼちぼち降りていく。

ちょっと急な斜面をえいやっと直滑降で滑ったら顔面から突っ込んでしまった。顔が痛いほど冷たい。見回すと狙いどおりの林道の橋のたもとに出た。

 

雪に埋もれた林道
 

林道を少したどったあと、左の樹林に入るとすぐに広い雪原に出る。雪原の隅っこに東大ヒュッテが建っている。ここの雪原は気持ちがいい。振り返ると曇り空ながら乗鞍岳が山頂まで見えた。ダケカンバがアクセントになっている。

そのまま進むと孫市平の湿原だ。周りを森に囲まれた小さな雪原はぽっかり空いた雪の舞台のようで落ち着いた気分になれる。持ってきたおやきを食べお茶を飲んで一休み。

 

東大ヒュッテ前(背後は乗鞍岳) 孫市平の湿原


  なおも樹間を縫って北東に進むと三本滝から休暇村へ降りる県道(先ほど間違えて降りかけた車道)に出る。東大ヒュッテからこの車道までがこのコースで一番楽しいところだ。この車道はスキー場の初心者コースにもなっているが、かなり傾斜がゆるいのでストックで漕がないと進まないところもある。
 
 休暇村の前で県道を離れ、休暇村第1クワッドリフトの乗り場までゲレンデを滑る。いがや連絡コースの入り口が分からないので、リフト券売り場で聞く。入り口はすぐそばだった。

 スキーを脱いで除雪された車道を横断すると第5駐車場の入り口左側に大きな案内看板があり、標識がコースを示していた。このコースはゲレンデスキーヤーのためのもので午後3時以降の滑走は禁止されているとの事だが、特にバリケードなどはしてなかった。

連絡コースの入り口
 
  連絡コースは広くて圧雪されていて滑りやすい。真っ直ぐ行くとスーパー林道を越えていがやスキー場へ直行できるが、少々寄り道をする。スーパー林道の手前で右にそれて大曲池コースの入り口を探す。林道に沿ったサイクリングロードの脇に小さな標識があって大曲池コースを示していた。ペンションのオーナーが言っていたとおり、真新しい赤布が結び付けてあった。

  このコースはごく最近切り開きがされたようで、あちこちに白樺が切り倒してあった。作業のための踏み荒らしが多くでこぼこで滑りにくい。雪面に気を取られているうちに大曲池を通り過ぎてしまった。池に出るにはコースから少し右手に入らなければならなかったようだ。残念。

大曲池コースの入り口


  コースはやがて圧雪された広い道に出た。このあたりは一ノ瀬とともにXCスキーやスノーシューのコースになっているようだ。急に良くなってしまったコースを気楽に下っていくと、いがやスキー場に到着。一息入れてからゲレンデをテレマークターンで下る。傾斜が緩やかなのでへたくそテレマーカーでもなんとかなる。気持ちよく滑ってゲレンデの下でフィニッシュ。帰りはペンションに電話して迎えに来てもらった。

 

イコンをクリックするとマップがでます。 <乗鞍岳・梓湖(1/25000)>


[山行日]   2002/1/26(土)
[天気] 曇り
[アプローチ] 長野自動車道 松本I.C. →(R158)→ 前川渡 →(県道乗鞍岳線)→ 乗鞍温泉高原スキー場  [約40km]
・三本滝ゲレンデへは乗鞍第5ロマンスリフトと国設第1クワッドリフトを乗り継ぐ。リフト1回券300円×2。
[コースタイム] 三本滝ゲレンデ (0:30) 東大ヒュッテ前 (0:05) 孫市平湿原 (0:30) いがや連絡コース入り口 (0:20) スーパー林道 (0:10) 大曲池入り口 (0:30) いがやスキー場リフト下    (計2:05)
・コースタイムはあくまで参考です。
[装備] クロスカントリースキー(エッジ付き)

 

[ガイドブック] 橋谷晃「ネイチャースキー」 <山海堂 発行>
[スキー場] 乗鞍高原温泉スキー場
[宿] ペンションお花畑
・番所大滝近くのペンション。
・小さいながら露天風呂の温泉があり快適。
・このツアーコースを滑るにはスキー場への送迎が必要だが、こころよく引き受けてもらってとても助かった。